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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第五章 双子の巫女
150/190

150、序列2位

俺たちは黄柱に向かって走っていた。


目的は黄柱の状態を確認しに行くこと。

向かっているのは俺と姫乃の2人だ。

四宮とウィンは竜と戦っている。


本音を言うと、俺が竜との戦いに行きたかった。

しかし、どう見ても戦闘力としてはウィンの方が上だ。

それに二手に分かれる以上、どちらも戦える人間は必要だ。


俺はこちらに回るしか無かった。

あそこで俺のわがままを通すわけにはいかなかった。

後方では、竜との戦闘音が聞こえてくる。

その度に俺は歯痒い思いをした。


俺は何度こんな思いをすれば良いのだろうか。

強くなりたい。

そう思いながら、人一倍修行に当たる時間を取っている。

しかし、桜にも完敗した。

赤虎の時も俺は仲間に貢献できたとは思えない。


ここ最近では勇の成長が著しい。

赤虎の時もウィンと勇がいなければ勝つ事はできなかっただろう。

勇に負けたくない。

この思いは日々強くなっている。


「くっそっ」

俺は一人でぼやいた。


四宮も自分の特性を活かして、仲間に貢献している。

Gアイスドリルはかなりの威力だ。

おそらくあの巨大な竜にも効果はあるだろう。


それと不思議なのが隣で走っている姫乃だ。

見た目は小綺麗でお嬢様っぽいのに、地に這いずってでも目的を達成しようとする根性を見せる。


そして、人を惹きつける何かがある。

四宮も姫乃に感化されて一皮剥けた節がある。

本人自体の能力は突出したものは無い。

力もなく、魔法も秀でるものは無い。

スキルの糸も汎用性こそは高いが、戦闘向きでは無い。

しかし、機転を活かして戦闘に大きく貢献していたし、近くにいると安心できるような、力が沸くような不思議な感覚があった。


姫乃とは少し前に知り合ったばかりだが、以前にどこかで会った気がしていた。

どこかはわからないが、懐かしい感じがする。

それは勇にも言える事だ。

最近のことなのか、もっと昔のことなのかわからない。

喉元に何かが引っ掛かる感じで、すっきりしなかった。


「翁くん。ずっと険しい顔をしているけど大丈夫?」

姫乃が俺の様子に気づいて声をかけてきた。


「あぁ。問題ねぇ」

と俺は素っ気なく返事をした。


遠目で黄柱が見えてきた。

ここからではまだわからないが、とりあえず柱は健在のようだ。

早く柱の状態を確認して、四宮たちに合流しなくてはと思い、走るスピードを上げた。



少し進むと俺たちの進行方向にふたつの人影がある。


「誰かいるぞ。注意しろ」

と姫乃に注意を促すと、姫乃は頷いた。


近づくにつれて、相手がはっきりと見えてくる。

ひとりは金ピカの鎧を着た大男。

もうひとりはガラの悪い感じの男だ。

どちらも知らない奴だ。


「真壁くん。。。」

姫乃が相手の名前を言った。


「姫乃の知り合いか?」


「うん。同じ学校で私や勇くんと一緒に転移をしてきたの」


「じゃあ味方か?」


「味方では無い。。。と思う。。。」

姫乃の回答ははっきりとしないものだった。

しかし、確実に味方というわけで無いようだ。

敵の可能性の方が高いと考えておいた方がいいだろう。


道を変えるかとも思ったが、俺たちを待ち伏せしていたのであれば、道を変えても無駄だろう。

それにこんなところにいるという事は、柱に関係している可能性が高い。

目的が同じならどこかで、ぶつかる事は免れない。

俺たちはそのまま進んだ。



「止まれ」

近くまで行くと、金ピカが言った。

「お前たちはこれ以上は進めねぇ」


「は?何なんだお前らは?」

俺は金ピカに言った。


「お前らはあの柱に行くんだろ?行かせねぇって言ったんだよ。このまま帰るなら見逃してやるぜ」


「無理にでも通ると言ったら?」


「そりゃあ。俺を倒すしかねぇな。まぁ俺はどっちでもいいけどな」

予想通りすんなりと倒してくれそうにないな。


「いーっひっひっひ。ひーめーのぉ会いたかったぜぇ」

と姫乃が真壁と言った男が言った。

よく見るとこの男は見たことがある気がする。

どこだったかは覚えていない。


「何だ。この女と知り合いか?」

金ピカが真壁に言う。


「へっへえ。この世界に一緒に転移してきた奴でして」

と真壁が答えた。

「あとこの男も前に俺の邪魔をした奴でして」


邪魔?何のことだ?全く心当たりがなかった。


「なるほどな」

と金ピカが笑みを浮かべて、

「じゃああの女はお前の好きにしろ。俺はこの男で我慢してやる」

と言った。


「いいんですかい?」

と真壁は舌舐めずりをした。


「全く運がないぜ。せめてWだったら少しは楽しめたかもしれんがな」

と金ピカは言った。


「Wって誰のこと?」

と姫乃が聞くと、


「あっ?お前らの仲間の魔法使いのことだよ」

と金ピカが答えた。


ウィンのことか。

「ウィンじゃなくて悪かったな」

と俺が言うと。


「本当だぜ。はずれクジを引いたもんだ」

と金ピカは言った。


「はずれクジかどうか確かめてみろよ」

と俺は言って構えた。


「ひゃっはーーー」

と俺たちよりも先に真壁が飛び出して姫乃に襲いかかった。

いつの間にか手には海賊刀を握っている。


「翁くん。頑張って」

と言って姫乃は後ろに下がり距離を取る。

それを真壁は追いかけて行った。

俺が気にせず金ピカと戦えるように離れてくれたようだ。

姫乃は戦闘力自体は高くはないので心配ではあるものの、俺に姫乃を心配する余裕はない。


この金ピカは間違いなく強い。


俺は王威の剣を抜いて、金ピカと向き合った。

金ピカは武器も持たずに、構える事もしない。


「一応名前くらいは聞いておいてやる」

と金ピカが言う。


「俺は翁。澤口 翁だ」


「そうか。変な名前だな。俺はビナス。黒陽9将序列2位のビナス様だ」

とビナスは名乗った。


黒陽。。。

やっぱり黒の組織だったのか。

王威さんからは黒の組織とは戦うなって言われているのに破ってばかりだな。

俺は鼻で笑った。


しかも幹部の序列2位か。

よくわからないが偉い順なのだろう。

ただ、ビナスが頭のキレる奴とは思えない。

おそらく強さで序列が決まっている可能性が高い。

そうなると、思っていた以上にやばい。。。


「序列2位か。。。ちなみに桜は何位なんだ?」

と聞いてみた。


「あぁ。あのメスガキか。確か、、、8位くらいだったか」

桜で8位。。。


「そりゃあ。やべぇな」

と俺はボソッと言った。


「じゃあそろそろやるか?」

とピテルは身体に力を入れた。

それだけで周囲の木々が揺れた。

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