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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第五章 双子の巫女
147/190

147、竜

ーーー少し前ーーー


私たちは柱に向かって進んでいる。

大小あるものの地震の頻度も高くなってきている。

何かの前触れではないのかと思い、柱へ急いでいる。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

今までにないくらいの大地震が起きた。

揺れは長時間続いている。

私たちはその場に留まり、周辺の様子を見る。


すると、後方で天に向けて光の柱が伸びた。

「何あれ?」

と杏奈が言うが、私にもわからない。

ただ、良くないものである事だけは何となく分かった。


あの光の原因を確認しに行くのか、このまま柱を確認しに行くか考えていると、光の柱から巨大な竜が現れた。


それは緑色の竜で、遠目からでもその大きさが分かった。


「あれはやべーな」

と翁くんが言う。

同感だ。あんなのとやり合うなんて危険すぎる。


「でもあれを放置したら大変なことになるんじゃない?」

とウィンちゃんが言う。

それももっともだ。

放っておいても、いつこちらを襲ってくるかわからない。

それに近くの街に被害が出る可能性もある。

ただ、黄柱の状況も気になるのは確かだ。


私は考えた上で、提案をした。

「二手に分かれましょう」


「翁くんと私が黄柱に向かって柱の状況を確認。ウィンちゃんと杏奈が竜の足止め。人選はあれだけ巨大な竜に有効打となり得そうなのが、ウィンちゃんの魔法と杏奈のアイスドリルくらいだから」


「異論はねぇ。けど、四宮は大丈夫か?」


「倒すわけじゃ無くて、足止めなら私が適任かも。それにウィンちゃんがいるから」


「僕の心配もして欲しいものだけどねぇ」

とウィンちゃんが笑みを浮かべながら言った。


「ウィンは俺たちの中でも最大戦力だからな」


「柱に異常がなかったら、すぐに合流するわ。勇くんも合流してから、本格的な竜の対処を考えましょう」


話がまとまり、私たちは二手に分かれて対処する事になった。

すぐにウィンちゃんはジャンプで、杏奈はスキルで飛びながら竜へ向かった。


私も翁くんと柱へ向かうために走り出した。


「柱にも何かあるかもしれない。急ぐけど体力は温存していきましょう」


「だなっ。柱で何も無くてもどのみちあの竜との戦闘は避けられねぇ」

と私たちは走りながら会話をする。


「勇は大丈夫なのか?」


「大丈夫。何となく無事なことはわかる気がするの」


「まぁ。わからないことを心配してもしゃーねーしな」


「そうだね。私たちができることをやりましょう」


私たちは黄柱に向かって走り続けた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


僕は四宮さんと竜に向かって進む。

僕は「跳躍」を使って大きなジャンプをする。

このスピードにはなかなか付いてこれる人は少ない。

でも四宮さんはスキルを使って、僕のスピードに付いてきていた。


竜に近づくにつれて、改めて竜の巨大さがわかる。

前に戦ったことのあるジャイアントアーケロン以上に大きい。

でかい敵には有効となる魔法は限られてくる。


「まぁなるようになるかな」

といつもと同じノリで竜を目指した。


あまり時間をかけずに僕たちは竜の近くに到着した。

まだ竜は僕たちの存在に気がついていない。

まずは先制攻撃だ。


「氷塊」

「Gアイスドリル!」


と僕と四宮さんは氷の魔法を放った。

氷塊とGアイスドリルは真っ直ぐに竜目掛けて飛んでいき、竜に突き刺さる。


「グォォォォォ」

竜は雄叫びを上げた。

しかし、これは攻撃を受けた悲鳴と言うよりは、僕たちを認識して戦闘行動へ入るための雄叫びのようだった。

あれくらいの攻撃では竜は蚊に刺された程度なのだろう。


竜は雄叫びを上げ終えると、息を吸い込んだ。

ブレスが来る。竜にブレスは付きものだ。この竜もそうだろう。


「氷壁」

僕は魔法で氷の壁を出した。


竜は吸い込んだ息と共にブレスを吐き出した。

しかし、僕の予想に反して竜が吐き出したと言うよりも放ったのは、ブレスと言うよりも光線のようなものだった。

力が集約された光線では氷壁もそんなには持たない。


「四宮さん!逃げるよ!」

と言って、氷壁が光線を防いでいる短い時間で、僕たちは光線の範囲から脱出した。

思ったとおり氷壁はそれほど長い時間は持たずに貫かれて崩壊した。


光線は地面に着弾すると、周りの木々を巻き込んで溶かしていく。

高熱タイプのようだ。


「あの光線は厄介だなぁ」

と僕は木の上に立ちながら、悠然と空に浮かぶ竜を眺める。


次に竜は翼を羽ばたかせた。

これは想像通りの強風。

だだ、範囲が広すぎる。

これでは、攻撃範囲から逃れることはできない。


「ウィンさん。氷壁をお願い!」

と四宮さんが言った。

普通の氷壁では吹き飛ばされるかもしれない。

でも飛ばされないくらいでかいのは間に合わない。


僕の心配を感じたか、四宮さんは言った。

「大丈夫だから。お願い!」


僕は四宮さんを信じて、氷壁を張る。

「氷壁」

すると即座に四宮さんが、

「グラビティ」

と氷壁に向かって、スキルを発動した。

なるほど、グラビティで押さえておけば飛ばされないで済む。

僕たちは氷壁の裏に隠れて、強風や飛ばされてくるものから身を守った。


強風が止んで周りを見ると、周辺の木々が根こそぎ吹き飛ばされており、強風の威力を物語っていた。


こんな奴どうやって倒せばいいのか。

ジャイアントアーケロンは巨大だったけれど、前に進むばかりで攻撃らしい攻撃はなかった。

でもこいつは違う。

攻撃力も一級品だ。


仲間たちがここに着くまでには、まだまだ時間がかかるだろう。

どうやってそれまで持ち堪えるか。


まぁ今回は四宮さんがいる。

「ひとりじゃないし、何とかなるだろう」


と言った時、

隣に誰かが着地した。

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