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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第五章 双子の巫女
145/190

145、ムーンストーン

サトルは着地を決めた後、次の攻撃を仕掛けることなく、先ほど月刀とぶつかり合った右拳をじっと見つめていた。

戦闘中にも関わらず、隙だらけなサトル。


僕はこの隙に攻撃を仕掛けるべきかどうか迷っていた。

ようやくこのチャンスを逃すべきではないと結論に至り、動き出そうとした時にサトルはこちらを向いて言った。


「勇お兄ちゃん。その刀は何?」


「へっ?」

あまりにも予想外な質問に僕は間の抜けた返事をした。


「その刀は何でできているの?」


「何って、、、鉄??」

僕はそもそも月刀が何の素材でできているのか知らない。

リムにも詳しくは聞いていなかった。


「そんなわけないよ。僕のブレイブアーマーはオリハルコンでできてるんだよ。オリハルコンはAE上で最も硬いと言われているんだ。そのオリハルコンに傷をつける事ができるなんて鉄じゃあり得ないよ!」

と言いながら先ほど月刀とぶつかり合った拳を僕に見せつけた。

サトルの拳にはクッキリと月刀の斬った跡が残っていた。

幸いにも完全に両断とまではいかなかったので、サトルの手は無事だろう。


「そうなの?実は僕もこの刀が何でできているのか知らないんだ」


「さっきからおかしいとは思っていたんだ。ふつうの刀なら僕の拳を受ける事なんてできない。すぐにポキッと折れちゃうはずなんだ。でもその刀は僕の拳を問題なく受けている。。。」

と言った後にサトルは考え込みながら、

「オリハルコンと渡り合えるものといえば、アダマンタイトかな。。。」

「でもオリハルコンとアダマンタイトだったら、それほど硬度に差がないはずだ。僕の鎧はあきらに斬られているのに、勇お兄ちゃんの刀は刃こぼれしている様子はない。。。」

と引き続き考え込んでいるサトル。


そして、ようやく気づきがあったみたいで、

「まさか、、、ムーンストーン!?」

と言った。


「ムーンストーン??あの宝石の??」


「違うよ。宝石のムーンストーンはその昔月から運ばれてきた本物のムーンストーンをイメージして作られた偽物だよ」


「本物のムーンストーンは月の鉱石が長年月光を浴び続ける事によって生まれると言われているんだ。僕も能力でどんな鉱石も作り出せるけど、ムーンストーンは無理だった」


「サトルは詳しいな」


「自分の能力を活かすためには知識も必要だからね。でも本当にムーンストーンかどうかは別として、勇お兄ちゃんの刀は要注意だね」

と言ってサトルは改めて、戦う構えをした。


「サトル様」

とテティスが心配そうに声をかけ、前に出ようとする。

しかし、サトルは、


「問題ないよ」

と言って、テティスを制した。


そして、サトルは僕を見て言った。

「勇お兄ちゃん。ここからは手加減しないよ」


おいおい。

今まででも十分過ぎるほどに強かったのに、手加減をしていたって言うのか。


これ以上の力を発揮されるとキャパオーバーだと思いながらも、

「望むところだ!」

と答えるしかなかった。


「いっくよー」

と言う掛け声と共にサトルが動き出す。

今までと同じで真正面から距離を詰めてくる。


しかし、、、


速い!

さっきの比じゃない。

あっという間に僕との距離を詰めたサトルは、拳を繰り出した。

僕は何とか目では追えたものの、体がついてこれない。


何とか拳の動線上に刀を割り込ませることができたが、拳と刀がぶつかると一気に押し込まれて吹っ飛ばされた。

僕は勢いを殺す事もできず、そのまま洞窟の壁に激突。


「ぐはっ」

大きな衝撃を受けて、胃液を吐き出す。

意識を失いそうになるほどの衝撃だが、ここで意識を失うわけにはいかない。


すかさずサトルは距離を詰めてきて、僕の顔面目掛けて拳を放った。


ドッゴーーーーン


ものすごい音と衝撃が洞窟内に響き渡る。

僕はみっともなく転がりながら、何とか拳をかわしていた。

サトルは拳が洞窟の壁に突き刺さって、抜くのに時間がかかっている。


僕はその隙に何とか起き上がり体勢を整えた。

しかし、さっきの衝撃で背中には激痛が走っている。

起き上がれたと言うことは、骨は折れてはいないと思うが、受けたダメージは小さくない。


僕は間合を長くして超接近戦を避けるために、月刀に力を流しこんだ。

月刀を纏う青白い光が、月刀の先端からさらに先に伸びて、月刀の倍くらいの長さにまで伸びる。


サトルは相変わらず真正面から向かってくる。

サトルの間合いになる前に僕は月刀を振り抜く。

しかし、僕の攻撃はサトルの腕の部分で防がれる。


鎧を両断することはできないが、サトルの突進を止めることはできた。

さらに僕は月刀を上段に振りかぶって、思いっきり振り下ろした。


しかし、サトルは月刀から伸びた青白い光の部分を両腕を交差して受け止めた。


僕は青白い光の伸びた部分を引っ込めて、月刀を振り下ろす。

すかさず、青白い光を伸ばして斜めに切り上げた。


意表をつかれたサトルは、反応する事ができずに月刀を脇腹にまともに受けた。

体の部分もオリハルコンでできているみたいで、鎧を斬り裂くことはできなかったが、衝撃でサトルを吹っ飛ばした。


飛ばされて大の字に倒れるサトル。

僕は追い討ちをかけるべく、サトルが起き上がる前に月刀から伸ばした青白い光を振り下ろす。


しかし、その攻撃はまたしてもサトルの腕によって阻まれる。

そのまま押し返されて、僕はバランスを崩す。

その隙にサトルは起き上がり、一気に僕との距離を詰めた。


サトルは右拳を突き出す。

僕は何とか月刀を合わせるが、体勢が整っていないので、あっさりとはじかれた。


サトルは続けて左拳を僕の顔面を目掛けて振るう。

僕は月刀を弾かれて防御ができない。

僕は拳をかわそうと横に倒れ込んだ。


しかし、顔面への直撃は避けることはできたものの、サトルの拳を左腕に受けて僕は吹っ飛ばされた。

回転しながら吹っ飛び、地面に2度打ちつけられる。


身体中に激痛が走るが、サトルの追撃に対応するため、すぐに起き上がる。

サトルは僕が起き上がると同時に再び、突進してきた。


僕は月刀を構えて、サトルの攻撃に備えようとする。

しかし、左腕が上がらない。

おそらくさっきの攻撃を受けた際に折れたのだろう。


月刀を右手だけで構える。

片手でサトルの攻撃をどうやって防げばいい?

そう考えている内にサトルは目の前まで迫っていた。

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