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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第五章 双子の巫女
139/190

139、ロエイの街

ロエイの街も近くなってきた。


「今更だけどロエイってどんな街か知ってる?」

僕はミトに聞いた。


「はい。私も聞いただけの知識ですが、ロエイの街は竜が封印されている街として有名です」


「本当に竜が封印されているの?」


「さぁ」


「さぁって。。。」


「この数百年竜が蘇ったなどの話はないので、本当なのかどうかわからないのですよ。その竜の封印を巫女が守っているそうです」


「そんな竜がいるかもしれないところによく街なんか作ったね」


「先程も言ったとおり、竜がいるかいないかわからないのです。逆に竜が封印されている場所として観光地としても有名みたいで、竜をモチーフにした商業が発達したそうです」


「なるほどね。巫女って言うからにはやっぱり女性なの?」


「そうみたいですよ。なんでも竜を封じた者の血縁らしく、代々受け継がれているみたいです」


「柱も近くにあるんだよね」


「街からはそれほど離れていないみたいです。柱にも柱守と言う柱を管理している者がいるみたいですよ」


「それ僕もやっていたよ。毎日柱を見に行くだけだったけどね」

とウィンが言った。


「後は温泉があると言うことですかね」


「温泉!温泉があるの?」

と姫乃先輩が驚いた声を上げた。


「はっはい」

と姫乃先輩の勢いに戸惑いながら答えるミト。


「温泉かぁー。楽しみだなぁ」

姫乃先輩は温泉が好きなのか、目を輝かせながら温泉についてミトに詳しく聞いていた。


そう言った話をしながらも馬車は進んでくれる。

今まででは考えられないくらい快適な旅だ。



数日後僕たちはロエイの街に到着した。

検問を通って街に入ると、


「竜まんじゅういかがですかー」

「鱗煎餅焼きたてだよー」

と声が聞こえてきた。

これが竜産業か。。。と体感しつつも竜まんじゅうを買ってみた。

まんじゅうの頭に竜を形取った焼き印がしてあった。


一口食べてみると、

うん。普通のまんじゅうだ。

元の地球でもそうだが、まんじゅうの違いがわからない。


まんじゅうを食べながら、街を見渡していると、様々な人が忙しなく動いている。

活気のある街だった。

また温泉街という前情報の通り、街のあちらこちらから温泉の湯気が上がっていた。


「それじゃあ私は馬車の置き場と宿を確保してきますね」

と言ってミトは別行動をとった。

「ミトさん!温泉付きでよろしくね!」

と親指を立てながら言う姫乃先輩にミトは苦笑いをしていた。


僕たちは宿が確保できるまでの間、街を散策することにした。

とりあえず昼食を取ろうと食堂を探す。


それなりに賑わっている食堂があったので、僕たちはその食堂に入った。


「肉なのよー」

とリムはいつものテンションだ。


メニューを見てみると、竜の名前がつく料理が多数並んでいた。

竜の丸焼き

竜の煮込

竜揚げ

などだ。


僕がお店の人に竜の料理がどう言ったものか聞いてみたところ、蛇を竜に見立てているそうだ。

なので竜料理=蛇料理みたいだ。


僕は蛇を食べるのに抵抗があったので、普通に鶏肉料理を注文した。


「やっぱり名物は頼んでみるべきだよな」

と言って、翁くんは竜の丸焼きを注文した。


料理が運ばれてくると、竜の丸焼きはその名のとおり、蛇の皮を剥いでそのまま焼いて味付けしてある料理だった。


「ちょっとグロいが、まぁ食べてみるか」

と言って蛇の肉を口に運ぶ。


「どう?」

と気になって聞いてみる。

他のみんなも気になっているのか翁くんに注目していた。

ちなみに竜料理を頼んだのは翁くんだけだ。


「おっ思っていたよりもうまいぞ。鶏肉と魚の中間っぽい感じだな」

と高評価だ。


それならと思い僕も翁くんから一口貰って食べてみた。

確かにあっさりとしたお肉という感じで、美味しく食べることができた。


今までは旅中で蛇を取って食べることはしていなかったが、今後はそれもありかなと思った。

でも毒がある場合はどうなるんだろうか。。。

などと考えていると、、、


「もーらいっと」

と言って翁くんが僕の注文した鶏肉の3分の1を持っていった。


「わっ。ちょっと待って!」

と言って取り返そうとしたが、


「俺のもあげたんだからいーじゃねぇか」

と言ってパクッと一口で食べた。


「量が違うよー」

と反論するが、


「うん。こっちもうまい」

と言いながら咀嚼している。


「くっそー。それなら!」

と言って翁くんの蛇料理の3分の1くらいを取って、一口で食べてやった。


「あーてめー」

と翁くんは言うが、


「お相子だもーん」

と言って蛇肉を飲み込んだ。


そこからは2人で料理の取り合いが始まった。

元の地球でこんな風に戯れ合ったことはなかった僕にとっては、とっても楽しいひと時だった。


結局のところ翁くんの蛇肉の大半は僕が食べて、僕の鶏肉の大半は翁くんが食べた。

周りのみんなは僕たちのやりとりを呆れた感じで見ていた。


その時、グラグラと建物が揺れた。

「地震!?」

それ程大きな揺れでは無くすぐに治った。

AEでもやっぱり地震はあるんだなと思った。


「また地震よ」

「最近多いわねえ」

と近くのテーブルから話し声が聞こえた。

ここ最近は頻繁に地震が起きているようだ。

だとすると大地震の前触れなのか。。。

地震大国に生まれ育った僕も大地震は怖い。

特に元の地球とは違ってAEは建物の強度も低そうだったので、尚更不安になった。


食事を終えた僕たちは、街の散策を続けた。

途中で足湯があったので、みんなで暫く浸かりながら雑談をした。


足湯の後、街をぶらぶらしていると、ひょっこりとミトが戻ってきた。

僕たちの場所をどうやって知ったのだろうか。。。


「宿の手配ができました。もちろん温泉つきです。。。あと少し情報を集めてきたのですが」

と言って、ミトは集めてきた情報を共有してくれた。


ミトから共有のあった情報は以下のとおりだ。

▪️一年ほど前から地震が頻繁に起きていて、徐々に数が増えてきている。以前は1年に一回起きるかどうかだった。ここ最近は毎日1、2回程度は発生している。

原因は不明だが、封印されている竜が怒っているとの噂がある。


▪️竜の怒りを鎮めるために、竜の巫女が毎日のように竜が封印されている洞窟に行って、竜を鎮める儀式を行なっている。


▪️柱は特に変化はない。

 黒の組織が来ているという話も聞かない。


▪️この街にもアミア王都から流れてきた人が大勢いる。


ミトは僕たちがのんびりとしていた間にこれだけの情報を仕入れてきてくれていた。

申し訳ないとは思うものの、これは自分で戦うことのできないミトの主義なので慣れるようにしていかなくてはならない。


僕たちはミトの確保してくれた宿でその日はゆっくりと過ごした。

姫乃先輩はおそらく温泉を堪能した事だろう。

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