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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第四章 出会
130/190

130、【番外編】AEのクリスマス②

僕たちは今夜、街の子供達にプレゼントを配ることになった。

男の人はサントを言うそうで、名前もサンタに似ているなと思った。

サントは僕の提案にとても喜んでくれていた。


僕たちはサントから街の地図を受け取った。

地図にはプレゼントを配る家に印がしてあった。


サントの病室を出た後に芽衣が、

「面倒くさーい。勇っちのせいだー」

と物草言っていたが。。。


僕たちはプレゼントを回収するために鹿車のところに戻ってきた。

幸いなことに鹿車はその場所あって、荷台のプレゼントもそのままだった。

とりあえずは安心したものの、荷台の中には大量のプレゼントの箱があった。


「これを一晩で配るってのか」

と唖然としていると、


「だから言ったでしょー。勇っちが安請け合いするからー」

と僕の表情を見た芽衣が笑いながらツッコミを入れてきた。


「やるしかないね!頑張ろう」

と姫乃先輩は絶賛前向き中なのでありがたかった。


改めて鹿車を見ると、ぶつかった衝撃で、破損はあるものの動かす分には問題なさそうだ。

鹿も見た感じ怪我はなく、元気そうにしている。


僕たちは試しに鹿車に乗ってみた。

僕が手綱を握るが、全く経験がない中でどうすれば良いのか分からない。

とりあえず昔テレビで見たように手綱で鹿の尻を打ってみた。

鹿はこっちを一瞥したが、すぐにそっぽを向いて動き出さない。


こいつ。。。

僕を舐めてるな。。。


と直感で感じて、さっきよりも強く鹿の尻を打ってやった。

すると、鹿は後ろ足でぼくを蹴り上げた。


「ぐわぁぁぁ」

咄嗟のことで防御ができず、僕は後方に吹っ飛ばされてゴロゴロと転がった。


「あっちゃあー」

と芽衣が気の毒そうな顔で僕を見る。


すると姫乃先輩がスタスタと鹿に向かって歩いていった。

姫乃先輩はソリに座ると、鹿を振り向かせて向き合った。

こちらから姫乃先輩の顔は見えないが、鹿は太々しい顔をしていた。


「鹿くーん。ちゃんと走ってくれないとダメだよねぇ」

と姫乃先輩が言った。

途端に鹿が表情を一変させた。

この世の終わりを感じさせるようなものを見たかのように、怯え出して震えている。


その後、姫乃先輩が手綱を持って、

「進めー」

と言って、手綱を軽く振るうと鹿は素直に進み始めた。


「やっほー。気持ちいいね!」

風を切って進むソリに、姫乃先輩は上機嫌だ。

姫乃先輩の指示を鹿は忠実に従うようになっていた。


姫乃先輩と仕方の間に何があったのか。。。

知らない方がいいだろう。。。



僕たちがプレゼントを配るエリアに到着する頃には日は沈み、プレゼントを配り始める頃合になっていた。


サントの話によると、家の屋根に着いている排気用の穴からプレゼントを入れるそうだ。

ようは煙突から入れるってことだね。

この日はプレゼントのために、それぞれの家が煙突の中を綺麗に掃除して待っているそうだ。

尚更プレゼントを届けないなんてできないなと思った。


1件目の家に到着すると、試しに僕がプレゼントを入れに行ってみた。

煙突は屋根の上にあったので、よじ登ろうとしたがなかなかうまくいかない。

僕はいろいろな場所でチャレンジしてみるが、一向に屋根の上に登れずにもがいていると、


「ちょっとプレゼント貸して」

と姫乃先輩が言った。


姫乃先輩にプレゼントを渡すと、糸でプレゼントを掴みスルスルと糸を伸ばした。

糸は煙突の上まで行くと、プレゼントを離して、プレゼントはポトッと煙突の中に吸い込まれていった。


「やった」

と喜ぶ姫乃先輩。


喜ぶ姫乃先輩もかわいい!

違う違う。先輩はプレゼントを入れることができるけど、僕はできない。

先輩ひとりにプレゼントの配布を任せるわけにはいかない。


僕はどうにかして、プレゼントを配れないか考えていると、

「勇っちー」

と芽衣が声をかけてきた。

「芽衣が氷の魔法で柱を出すから、そこから屋根に行ってみてよ」


「そんなことできるのか?」


「わかんないけどやってみる。プレゼントを持ってそこに立ってみて」

と芽衣が言うので、僕はプレゼントを持って、家のすぐ横にたった。


芽衣が手のひらを僕の足元に向けて魔法を発動させる。

すると、僕の足元が青白く光り、氷の柱がゆっくりと出てきた。

氷の柱は僕を乗せたまま伸びていき、屋根と同じくらいの高さになった。

氷の柱は芽衣の意思で消すことができるようで、僕が屋根に移るとすぐに消滅した。

僕は屋根にわたり、ようやく煙突にプレゼントを入れた。


「芽衣サンキュー」

屋根から降りた僕は芽衣にお礼を言った。


その後、姫乃先輩は単独で僕と芽衣はコンビでプレゼントを配ることになった。



ーーー1時間後ーーー


僕たちはそれぞれプレゼントを配っていたが、進捗は芳しくなかった。


僕と芽衣は魔法で氷の柱を出して屋根に登るのだが、魔力の消費量が多い。

それに僕が落ちないように、ゆっくり伸ばしてくれるので、どうしても時間がかかった。


姫乃先輩は糸でプレゼントを掴む・煙突の真上で離すという作業に苦労していた。

まだスキルを使い出したばかりで、細かい作業は難しいようだ。


このまま続けていたら朝までかかっても配り終えることができないかもしれない。


何かいい方法はないかな?

僕ができること。

考えても僕がひとりでできることは少ない。

「ん?ひとり?」

突然ですが僕の頭に光が走った。

何もひとりで全てをこなす必要はないんだ。

僕たちは3人いる。3人で協力をすれば。。。


僕は配る作業を止めて考えた。

「ん?勇っちどうかした?」

と芽衣が心配そうに僕を見る。


これならいけるかもしれない。

僕は顔を上げて、姫乃先輩を呼んだ。


姫乃先輩がこちらに来たので、姫乃先輩と芽衣に僕の考えを話した。


「うん。いいんじゃないかな」

「おっもしろそう。やってみよー」

2人とも僕の案に賛成してくれた。


準備が完了した。

姫乃先輩が糸を僕の体に巻きつけている。


僕はプレゼントを持ちながら、

「いつでもOKです」

と言うと、


「じゃあいくよ」

と言って、姫乃先輩は僕の体を持ち上げた。

僕の体は糸によって、煙突の近くに運ばれる。

僕は煙突にプレゼントを入れた。


微調整は僕ができるので姫乃先輩は煙突の近くに僕を運ぶだけでいい。

僕がプレゼントを入れ終わると、すぐ横に次のプレゼントが用意されていた。

芽衣がプレゼントを氷の魔法で棒を作って僕の近くまで届けてくれたのだ。

僕はそのプレゼントを両手でしっかりと掴むと、姫乃先輩が糸を動かして次の家の煙突まで運んでくれた。

そして僕は煙突の中にプレゼントを入れた。

バラバラにプレゼントを配るよりも格段に効率が上がった。



その後も順調にプレゼントを配っていって。


「「「おわったーー」」」


なんとか僕たちはプレゼントを配り終えることができた。


「一仕事した後は気持ちがいいねぇ」

と芽衣が言ったので、


「お前は最初乗り気じゃなかったじゃん」

とツッコミを入れた。


「でもなんとか全部配り終えたね」

と姫乃先輩が言った。


ちょっと街でブラブラしようと思っていただけなのに、とんだことになったもんだ。

でも街の子供達の夢を崩さずにすんだ。


「じゃあ私たちも打ち上げ兼クリスマスパーティとしましょうか」

と姫乃先輩が言った。

「いいねー!」

「そうしましょう!」

もちろん芽衣も僕も同意だ。


僕たちは食堂に来た。

今日みたいな日は食堂も遅くまで営業しているみたいだ。


僕たちは料理と飲み物を頼んだ。


料理が運ばれてくる前に、

「あのぉ。これ僕からのクリスマスプレゼントです」

と言って、2人にプレゼントを渡した。


病院でサントの治療が終わるのを待っている間にこの世界では珍しいアクセサリーの店を見つけたのだ。

そこで、僕はプレゼントを購入していた。


「わぁぁ。かわいい!」

「勇っちにしてはセンスいいじゃん」


と2人とも満足してくれたみたいだ。

僕は2人にイアリングを購入した。

姫乃先輩には三日月、芽衣には氷の結晶のデザインのイアリングだった。

2人ともすぐに耳に付けてくれた。


「「ありがとう!」」

と2人が改めてお礼を言ってくれた。


そうこうしているうちに料理が運ばれてきた。

クリスマスにちなんで鳥の丸焼きを注文してみた。


僕たちはジュースのグラスを合わせた。


「「「メリークリスマス!」」」

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