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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第四章 出会
128/190

128、幕間  ズルい女  ▪️▪️▪️ ▪️▪️

私は 高校2年生

私は自分が嫌いだ。

ズルい女だと思っている。


私には幼い頃の記憶がない。

現在の父と母から産まれたと教えられているが、実際のところは違う。

私の血液型はO型だが、以前興味本位で父と母の血液型を調べたことがあった。

父はA型、母はAB型。

O型は産まれない。。。

でもそれに気づいていないフリをして今まで過ごしてきているし、

父も母も自分の子供のように愛情を持って育ててくれている。

私も父と母が大好きなので、それほど気にしてもいない。


ただ、ときどきは自分は何者なのか。

誰から産まれたのか。

何故、今の両親に育てられているのかなどを考えてしまう時はあった。


一度両親には内緒で戸籍を確認したことがあった。

戸籍上では今の両親から産まれたことになっていた。

でも血液型と辻褄が合わない。

どういうことなのかさっぱりわからなかった。


私は何者なのだろうか。

誰も教えてはくれない。

誰にも聞くことができない。



周りのみんなは私のことを頭脳明晰とか運動神経抜群とか言ってくれるけど、私はそんなにすごい人間ではない。

周りのみんなから幻滅されないように、家に帰ってからめちゃくちゃ勉強しているし、体育で縄跳びをやるならば事前に家でめちゃくちゃ練習している。

それを人に悟られないようにして、今の地位を築いているのだ。



今日もいつものとおり学校に向かって歩いている。

晴れた日は気持ちがいい。

何かいいことあるといいな。

と思っていると登校している勇くんを発見。


「おはよう。今日はいい天気だね」

と勇気を振り絞って私は声をかけたが、恥ずかしくて早足で通り過ぎてしまった。


後ろから

「おはようございます」

と勇くんが挨拶を返してくれた。

やったぁー!と心の中でガッツポーズをしながら私は校門に向かっていった。



私は高梨勇くんのことが好きだ。

きっかけは1年前、まだ勇くんが中学校3年生だった。

ある朝、私が登校している時に声が聞こえた。


「おばあちゃん大丈夫ですか?」

中学生がおばあちゃんに声をかけていた。

おばあちゃんは重たそうな荷物を持っていたのだ。


「僕が荷物を持ちますよ。どこまでいくのですか?」

と言って中学生はおばあちゃんの荷物を持ってあげた。

おばあちゃんは駅まで行くみたいで、「一緒にいきましょう」と言っておばあちゃんの手を引いてあげていた。


その日は昨夜雨が降ったため道路には水たまりがあった。

中学生はおばあちゃんが水たまりに入らないように、自分が水たまりに入りながら誘導してあげていた。

靴はドロでぐちゃぐちゃになっていた。


今からおばあちゃんを駅に送っていたら、確実に遅刻だろう。

でもそんな事は全く気にしていない様子だった。


私は何もしてあげる事ができなかった。

私は見ていただけ。キミの行動を見てよかったねと思っていただけ。

ズルい女だ。



キミは私のことはほとんど知らないと思うけど私はキミが中学生の時から知っていたよ。

登校中にキミが見知らぬお婆さんに手を貸していた時から、キミを見かけるたびに、目で追ってしまっていた。


ある時は泣いている子供を助けていた。

不良グループに絡まれている男子を助けに入って、殴られている時もあったかな。


キミはいつも人を助けていた。

私は見ていただけ。キミを助けに行くこともできなかった。

ズルい女だ。



この高校に入学したことを知って私の胸は高鳴ったよ。

入学後も私はいつもキミを探していた。

いつも目で追っていた。


キミは入学後もいろんな人を助けていた。


そんなキミが実は自分に自信がなく。

自分の事になると途端に臆病になる。

同級生にちょっかいをかけられても黙って耐えている時もある。


そんなギャップのあるキミを見ていると、守ってもらいたいという気持ちと、見守ってあげたいという気持ちが入り乱れ、いつの間にか好きになっていたんだ。


そんなキミと一緒に転移した。

こんなズルい女でも頑張らなくてはならない時がある。

私がキミを守るんだ。


今まで何もできなかった分を取り返したい。

これもズルい女の自己満足かもしれない。

それでも私はキミを守ると決めたんだ。


私の苦難の旅が始まった。

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