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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第四章 出会
127/190

127、幕間 星野 芽衣②

ゴゴゴゴゴゴゴ。

大地が揺れる。

最近は地震が頻繁に起きている。

大地震というほどではないが、これだけ頻繁に地震が起きると何かの予兆だと感じる。

そうもうすぐ始まるのだ。



「ねぇ真壁。暇だから面白いことやってくれない」


「えっ。芽衣様それは無茶振りですよ。勘弁してください」


「だってもう1ヶ月以上もこの街でボーッと待ってるんだよ。暇で死んじゃうよ」

私たちは柱の力を開放するための任務についている。

今は街から少し離れたところで、息抜きをしていた。

横ではビナスが大いびきをかきながら爆睡していた。

あたま空っぽの人はいいな。


柱の力を開放するには、柱の状態が開放できる状態にならないといけない。

それは周期的に訪れるものである。

この黄柱はそろそろその周期だと言われてここに来た。

しかし、1ヶ月以上経ってもその気配は見られなかった。


「はぁ。つまんないなぁ」


また真壁で憂さ晴らしでもするか、と思って真壁に声をかける。

「真壁。今日も特訓するよ」


「ひぇぇぇ。俺死んじゃいますよーー」


「つべこべ言わない。さっさと構えないと本当に死んじゃうよ」

と言うと真壁は慌てて海賊刀を構えた。


「アイスビット」

私は魔法で多数のツララを作った。

ツララは宙に浮かんでいる。

これは地球で生活している時に見たロボットアニメを参考にして作った魔法だ。

ツララは自動で敵を攻撃したり、私を守ったりする。

ツララで刺すこともできれば、先端を飛ばして攻撃することもできた。


この魔法の練習台が真壁だ。

ツララが真壁に襲いかかり、真壁は海賊刀で必死に防いでいる。

まぁ真壁が防げる程度に抑えてあげているんだけどね。

でもそのおかげで真壁の実力も飛躍していることは事実だ。

後で何か奢ってもらおう。


「芽衣様」

そんな時に組織の人間が近づいて来た。

特訓は一時中断だ。

真壁は命拾いをしたかのようにホッとした顔をしている。

後でもっとキツくしてやろうと心に誓った。


組織の人間は基本的には近づいてこない。

来る場合は定時連絡や緊急の連絡。

今回は定時連絡だ。


そのためにわざわざ町から離れたところに来ていたのだった。

息抜きに集中して、そのことを忘れていた。。。


「ほい。じゃあいつものようによろしく」

と言うと相手は話し始めた。


「はい。まずはウラヌス様がアミア王国の王都で大量虐殺を行いました」


「へぇ。ウラヌスがねぇ。何したの?」


「それが、、、毒を使ったみたいです」


「毒!?さいってーだなあいつは」

もともと紳士ぶった態度のウラヌスは気に入らない。

紳士ぶってるくせにやる事がゲスい。

機会があればぶっ殺してやろうと思っている奴の1人だ。


「次にまだ確定ではありませんが、9将の補充がされるかもしれないそうです。」


「あー。序列4位の抜けた穴ね。まぁどうでもいいかな」

私たち黒陽9将は序列で順位付けされている。建前上は同じ9将でも1位が1番強いことになっている。

私は9位。

ちなみに横でイビキをかいているやつは2位なので、そこそこ強い。

ビナスみたいに順位を気にする者もいるが、9将は変わり者が多いので、私みたいに順位を気にしない者の方が多い。

一応は強さで順位付けされているが、みんな本当の力は隠しているので、実際は戦ってみないとわからない。

スキルの相性もあるしね。


「他には?」


「ピテル様と桜様が青柱の開放に成功しました」


「おっ桜ちんやるなぁ。これで2つかな」

桜ちんは性格は置いておいて、顔は可愛いから好きだ。

ピテルはどーでもいい。


「それと、三大厄災の赤虎が討伐されました」


「えっ!?」

これには驚いた。

三大厄災は私たちの目的にとっても邪魔な存在だ。

いつかは組織で討伐する予定でいたが、そう簡単な話ではないので、討伐の準備を進めていたところだった。

そのうちの1体が討伐されたのだ。


「誰が討伐したの?もしかしてマキリちゃん?」


「いえ。組織の人間ではないです。転移者のパーティで、高梨 勇が止めを刺しました」


「えっ?勇っちが?」

「はぁ何で高梨がっ?」

真壁も驚いているようだ。


「ほぅ。三大厄災を倒した人間がいるのか。どれほどの力が試してみたいものだ」

いきなり起きてくるなよ。

こう言うのだけは興味津々だからなぁ。

バトルジャンキーは困る。


「ビナス。手はだっしゃダメだよ。勇っちは私がやるんだから」


「わーてる。わーてる。そう怖い顔すんな」

とビナスはキモイ笑いを浮かべている。

ほんとにわかっているのかなぁ。と思いながらもそれ以上は言わないでおいた。


「以上が今回の大気報告です」


「はーい。ありがと。もう行っていいよ」

と言うと、すぐにいなくなった。


「勇っち、、、」

私の知っている勇っちは弱くて頼りなかった。

その癖に正義感だけは強い。

私はそんな勇っちが好きだった。

いや。今でも好きだ。

離れ離れになってから、尚更この想いが強くなっている。

できるなら仲間として、一緒にいたい。


その勇っちが赤虎を倒した?

勇っちに何が起きたんだろう?

私はすぐにでも勇っちの様子を見に行きたくなった。

でも今はここから離れるわけにはいかない。


「あーあ。早く勇っちに会いたいな。。。」

私は空を見た。

雲がゆっくりと流れていた。

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