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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第四章 出会
117/190

117、女の子

私は姫乃さんと一緒に街中を走る。

街の人たちが避難のため、ごった返しているために思うように進まない。

早く翁くんか勇くんを見つけて、ウィンちゃんの救援に向かわないと。

ウィンちゃんは強いと言っても女の子なのだから。


「四宮さん!上を行きましょう」

道を進むのは困難と思ったのだろう。

姫乃さんは上を進むことにしたみたいだ。

姫乃さんは頭がいいだけではなく、機転がきく。

私には無い物だ。


姫乃さんのスキルは糸だ。

糸を高い所に巻き付けて、スパ○ダーマンのように屋根の上を進んでいく。

私は重力のスキルを使って、空を進んだ。

道で溢れている人たちから見たら奇妙に見えただろう。

でもそんな事に構ってはいられない。


こうして、翁くんたちを探していると、大きな音がして新たな虎が街に入ってきた。

虎は1体ではなかったみたいだ。


姫乃さんと私は一度停止して顔を見合わせた。

お互いに頷いて、意思の疎通を図る。


このまま放置はできない。

私たちで食い止めなければ。


私たちは新たに侵入してきた虎の元に急いだ。

近くで見ると、虎は更に大きく感じた。


せめて住人が避難を終えるまで持ち堪えなければ。


「ファイアボール」

私は魔法を放った。

バスケットボールくらいの火球が虎に向かって飛んでいく。

虎は避けようともせずに体にファイアボールを受けた。

しかし、全く効いていない。


姫乃さんは糸を放ち虎を串刺しにしようとするが、虎の皮膚は硬く弾かれてしまった。


「グラビティ」

私は重力で押し潰そうとするが、予想通り虎が巨体のためほとんど効果がない。

動きを止めることさえもできなかった。


どうしよう。

もう私にできることがない。

どうやって時間を稼げばいいのだろう。。。


私が考えている間にも姫乃さんは果敢に攻撃をしている。

しかし、姫乃さんの攻撃では大きなダメージを与えることはできなく、かすり傷程度であった。


反対に姫乃さんは徐々に削られていく。

全ての攻撃をかわすことは難しい。

今も防御しながらではあるものの、尻尾の攻撃を受けて飛ばされた。

ボロボロになりながらも、姫乃さんは諦めずに向かっていく。

女の子なのに何であんなに頑張れるんだろう。

非力な女の子じゃできることは限られてしまうのに。。。


私は、私はどうすれば。。。

と思っていると、目の前に虎の顔があった。

いつの間に近づかれたのか。

虎の瞳には伍という漢数字が浮かんでいるのが見えた。


虎は私を噛み砕こうと大きな口を開けた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



月刀は虎の瞼の上から、目玉を切り裂いた。

僕の手には何かを潰すような、何とも気持ち悪い手応えがあり、虎の目から血が吹き出す。

しかし虎は怯まず、僕を噛み砕こうと、大きな口を開けてきた。


僕は月刀で虎の鼻先を斬り、虎が怯んでいるうちに脱出した。


虎は前足や尻尾を振り回して攻撃してくる。

だが、片目が潰れていることで、精度は確実に落ちていた。


僕は攻撃をかい潜りながら、月刀で斬る。

いくら足を攻撃しても致命傷にはならない。

それはわかっている。


僕はチャンスを待っていた。

何度も虎の攻撃をかわして、何度も足を切り刻んだ。


虎もじれてきているようだ。

虎は僕を噛み砕こうと頭を低して攻撃してきた。


今だ!

僕は虎の噛みつきをかわして、虎の頭上に乗る。


僕は足に力を移して発声する。

「飛神」

僕は真上に向かって、足を蹴った。

僕は通常のジャンプでは到底行くことのできない高さまで、一瞬で移動した。


僕は月刀に力を流す。

青白い光を月刀が纏った。

「ここからだ!伸びろ」

蝶と戦った時にできた纏っている光を伸ばすんだ。

月刀の長さでは虎に致命傷を与える所まで届かないかもしれない。


「伸びろぉーー!」

月刀が纏う青白い光が伸びて、刀身が倍くらいになる。


僕は刀身を下に向けて、虎の頭を目掛けて落下した。


「うおぉぉぉぉ」

と叫びながら落下して、虎の頭に月刀を突き刺した。

虎の顎下からは月刀の青白い光が突き抜けている。


「うおぉぉぉ」

僕はそのまま月刀を虎の鼻先を目指して振り切った。


虎の頭が左右に分かれて、大量の血液が噴き出す。

そのまま虎は力尽きた。


「やった。やったぁ」

と僕はガッツポーズをとった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



俺は虎の額に拳を叩き込んだ。

着地してすぐに虎の前足に刺さっている王威の剣を引き抜く。

剣の傷跡から血が噴き出した。


俺はジャンプして虎の首に向かって、剣を振り下ろした。

浅い。

というか虎が大きいので、剣の長さが足りない。


その時、虎の尻尾が俺の左側を捉えた。

俺は数十mふっ飛ばされる。


「くそっ。油断した」

何とか着地したが、打たれた左腕がジンジンする。

イグニッションを使っているので、防御も上がっているはずなのに。

俺は虎との距離を詰めて、ジャンプした。

虎はこの行動を読んでいたのか、前足を振るう。

剣で受け止めるが、左手に力が入らず払い除けられた。


前足を顔面に受けてまたふっ飛ばされる。

何とか着地したが、軽い脳震とうで頭がくらくらした。


虎は好機と見たか、勢いよく距離を詰め、俺を噛み砕こうと口を開けた。


俺は体が思うように動かず、かわすことができない。


ガキィーーーン

噛みつこうとしてくる虎の上顎を剣で、下顎を足で押さえた。

虎はすごい力で、口を閉じようとしてくるが、俺は何とか潰されないように耐えている。


しかし、虎の力の方が強く、徐々に顎が閉じていく。

やべぇ。このままだと噛み砕かれる。

しかし、手も足も使ってしまっているので、身動きが取れない。


ジリ貧だ。

いつかは潰される。

手足も塞がっている。


俺にはもうこれしかないのかもしれない。


さっきまで練習していた新しい技。

まだ全力で試したことはない。。。

しかし、迷っている間にもどんどん状況は悪くなる。


俺は覚悟を決めた。


「イグニッション全力」

今まで以上に体から金色の光が溢れ出す。

力が漲り、虎の口を若干押し戻す。


これなら一瞬であれば片手を離せる。

俺は全神経を右手に集中した。

勝負は一回。

失敗は死だ。


俺は上顎を押さえている剣から右手を離した。

右手の手のひらを虎の喉に向ける。


「いくぜ!イグニッション フルバースト!」

全身を覆っていた金色の光が、右手に集約して一気に金色の光となり放出された。

金色の光は虎の喉を突き破り、一直線に空に向かって線を描いた。


金色の光の放出が終わると、イグニッションも解けた。

イグニッションの力全て放出したのだ。


風穴の開いた虎は当然生き絶えている。

口を閉じる力が無くなったので、俺は虎の口から出た。


俺の服は虎の唾液でベトベトだ。

くんくんと服の臭いを嗅いだ。

「くっせぇーーー!」

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