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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第四章 出会
114/190

114、攻防

ピテルは手をかざすと、ピテルの隣に一本の根っこが飛び出してきた。

しかし、よく見ると根っこではない。

花がついているのだ。

根っこだと思った部分は茎か?


再びピテルが手をかざすと、ピテルの周辺に花が何本も飛び出してくる。


どんな攻撃をしてくるかわからない。

僕は注意深く花を見る。

すると開いていた花が蕾のように閉じた。


シードキャノン(タネ砲)


とピテルが発声した途端に、花が何かを飛ばした。

僕は咄嗟に後方にジャンプすると、元々僕のいた場所が大きく弾けた。


タネを大砲のように飛ばしたのか?

威力が半端無い。

まともに受けたら粉微塵だろう。

そんな砲撃をしてくる花があんなにいっぱい。。。

僕はゾッとした。


花たちは一斉に蕾の形を取っていく。

「吹き飛ぶがいいべ」


ピテルが言うと、花たちが一斉に僕たちに向かって、砲撃を開始した。

避けようも無い、耐えようも無い。広範囲、高威力。

僕には回避する術が思いつかない。


僕は目を瞑った。


「氷壁」


目の前に大きな氷の壁が現れた。

花からの砲撃は氷の壁に命中して爆発する。

しかし、氷の壁は傷一つ付いていないようだった。


砲撃が止んでも、氷の壁は健在だ。

「たいした威力じゃないねぇ」

とウィンはピテルを挑発する。

思っていたよりもウィンは負けず嫌いのようだ。


ピテルはウィンの挑発には聞く耳を持たずに手を上げた。

花は再びタネ砲を放つが、何度打ち込んでも氷壁ぐ破れる事はなかった。


「ふふん」

とウィンが自信たっぷりに鼻の下を人差し指で擦った。


ピテルはそれにも構わずに手を振る。

すると、氷壁の内側の地面から花が飛び出てきた。

すぐさま蕾の形になり、砲撃の準備に入る。


「氷壁」

発射の瞬間に花の目の前に氷の壁が現れる。

花は発射するのを止める事ができず、そのまま発射して氷の壁に直撃した。

近距離での爆発により、花自体もダメージを受けたようだ。


バイン(つる)

とピテルは次の攻撃を仕掛けてくる。


地面から多数の細いつるが飛び出した。

つるはしなるように攻撃を仕掛けてくる。

僕は鞭のような攻撃をかわして、月刀で両断した。

そのまま走り近くにある数本を根本の方から両断する。

しかし、斬っても斬っても次々に新しいつるが飛び出してきた。


姫乃先輩もウィンも対処はしているものの、やりにくそうだ。

つるは数も多いし、動きが不規則だ。

鞭のように攻撃してくる時もあれば、針のように刺してくる場合

もある。

また、くねくねと動きを読みにくくしてくる。

急に方向を変えたりもしてくるので気が抜けない。


つるはウィンに攻撃を集中してきている。

この中では間違いなくウィンの戦闘力が1番高い。

ウィンを倒せば勝ち格とでも思っているのだろう。

ウィンは斬撃の魔法で多数のつるを一気に殲滅しているが、数が多い。

倒しても倒しても新たなつるが出てくるのだ。


つるに集中して対応していた時、僕たちの背後に花が飛び出てきた。

花は蕾の体勢を取って、すぐに砲撃を行いそうだ。

ウィンはつるの猛攻に合っている。


ピテルの本当の狙いは僕と姫乃先輩だったようだ。

ウィンをつるで惹きつけているうちに、花の砲撃で僕たちを先に倒すつもりだろう。

砲撃を撃たれたら、僕たちには防ぐ術はない。


「クッ。こいつら邪魔!」

ウィンは後ろから飛び出した花に対処しようとするが、つるが間隔を開けずに攻撃を仕掛けてきていて手が回らない。


僕は足に力を流した。

頭で考えた訳ではない、反射的に脳が身体を動かした。


僕は花に向かって斜め上に足を蹴る

「飛神」

僕は月刀を前に突き出して、光になる感覚と共に花を撃ち抜いた。


「おぉ」

ウィンが感嘆の声を上げた。


僕は落下しながら、ピテルを見た。

ピテルも僕の行動に驚きを隠せないでいる。

僕はピテルと僕の間に障害物がないことに気がついた。


僕は月刀に力を流し込む。

今までやったことがない事をやろうとしている。

これも感覚で、何となくできる気がした。


僕は月刀を思いっきり、ピテルに向かって投げた。

月刀は青白い光を纏いながら、ピテルに向かって飛んでいく。


「おぉ。イサミンやるなぁ。それなら!」


「トルネード!」

とウィンは魔法を唱えた。

竜巻が発生して、月刀に向かっていく。

竜巻は月刀と重なると、月刀は竜巻の力をも纏い飛んでいく。


ピテルも脅威に感じたのか、根っこを集めて防御を堅める。


しかし、月刀は根っこを物ともせずに貫いて、ピテルの腹に突き刺さり、背中を突き破った。


ピテルの腹に風穴が空いて、大量の血液が噴き出す。

そのまま、ピテルは倒れた。


力を使い切ったのか、月刀は後方の木に刺さっていた。


姫乃先輩が糸を使って、月刀を僕の手元に運んでくれた。

僕の手元に月刀が届く。


ピテルが倒れたからか、植物の動きは止まっている。


ピテルを見た。

するとピテルはムクっと起き上がった。


「あー。やられたべ。おまえらつえーなー」

とピテルは何がともなかったかのように言った。


風穴の開いたピテルの腹も塞がっている。

心なしかピテルが痩せた気もするが。。。


「傷が塞がっている。。。」

姫乃先輩も驚いている。


「あー。これだべか。オラも一応は黒陽9将だべ。身を守る術も用意しているべ。オラは腹に回復エネルギーを貯めているべ、深手を負うと自動で回復するべ。でもこんなところで使うとは思っていなかったべ」

だから痩せたように見えたのか。


「そんなことペラペラ喋っちゃってもいいの?」

ウィンが聞いた。


「オラの方が強いからかまわねーべ」

と言うと、ピテルが強く禍々しいエネルギーを纏った。


来る!

ピテルから発せられたエネルギーは膨大だった。

ウラヌスなどとは比にならない。

僕はまとも立っていることもできないくらいの力だった。

これは勝てないと僕の心を折るには十分すぎるほどの力の差だ。


とそう思った。

その時柱が強い光を放った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「イグニッション」

俺はスキルを発動した。

全身から金色のオーラが発せられる。

体に力が漲っていくのを感じながら、俺は地を蹴った。


一瞬の内に桜との距離を詰める。

桜は近接も中距離も満遍なく強い。


その点俺は近距離特化だ。

距離を詰めて戦うしかない。


俺は桜に向かって、王威の剣を振り下ろした。

それを待っていたとばかりに桜はトリアイナで防ぐ。


キンッ

と甲高い音が響く。


すかさず俺は桜の腹に蹴りを入れた。

桜は派手に後ろに吹っ飛んだが、手応えは全くない。

蹴りが当たる瞬間に桜が後ろに飛んだのだ。


桜は着地するとすぐに俺に突進してくる。

ありがたい。

桜も近距離で戦ってくれる。

距離を置いて削られるのは勘弁だった。


「キャハハハハハ」

桜は間合いに入ると、突きを連続で放つ。

俺は剣で何とか捌く。

避けることはしないで剣で捌いた。

トリアイナは三又の槍だ。

避ける範囲は大きくなるし、前回の戦いでも避けた時に槍を回してきて、攻撃を喰らった。

剣で防いだ方が確実でと思った。


俺は懸命に桜の突きを剣で捌く。

しかし、桜の突きは鋭い。

イグニッションを使っていても、徐々に追いつかなくなってくる。


イグニッションを使ってもこれかよ。

どれだけの力を持っていやがる。


俺の剣を抜けて、トリアイナが顔目掛けて飛んでくる。

俺はギリギリのところでトリアイナをかわした。

しかし、頬を僅かに刃先が掠めてツーっと血が流れる。


危なかった。

と思った時、桜は突き出した槍を引っ込めずに横に薙ぎ払った。

全く想定をしていなかった攻撃に反応ができず、顔面にトリアイナが打ち付けられる。

威力は高くないが俺の動きを止めるには十分だった。

桜は追い討ちをかけてくる。


「キャハハハハハ」

と甲高い声を発しながら、トリアイナを連続して振るう。

ペースが乱れた俺は攻撃をかわしきれず、至る所に斬り傷を増やした。

致命症は避けたものの、堪らず後ろにジャンプで距離を取る。


「逃がさないわよ。翁くん」

と言って、俺を逃さないためにジャンプの体勢をとった。


しかし、桜は追ってこない。


「なっなによ。これ?」

四宮がグラビティを発動させて、桜を押さえ込んでいた。

接近戦だと俺も巻き込んでしまうため、四宮は援護しにくい。

ここぞと言う場面で援護をしてくれた。

さすが四宮だ。


「ふんっ」

と桜は身体に力を入れると、グラビティはかき消された。

しかし、俺が体勢を整えるには十分な時間だ。


「四宮。助かった」

「翁くん。気をつけて」

俺は頷いて前に出る。


「ウフフ。仕切り直しね。もっともっと私を感じさせて」

桜はトリアイナをくるくると頭の上で回転させながら言った。


桜はまだ本気を出していない。

それでも俺はあしらわれてしまっている。

先手を取っていかないとまず勝てない。

俺は桜に向かって突進した。

そのまま真っ向からは攻めず、間合いに入る少し手前でジャンプした。

空中で王威の剣を上段に振りかぶり、そのまま桜に向かって振り下ろした。


「グラビティ」

振り下ろすタイミングで四宮が俺の剣にグラビティをかけた。

イグニッションの力に重力の力を加えた俺と四宮の連携技。


「グラビティソード!」


重力が掛かってくるのを感じながら、俺は思いっきり剣を振り下ろした。


ガッキィン!

桜はトリアイナでグラビティソードを防いだ。

桜の足元が衝撃で雪に埋もれる。

桜は威力を全て受け止めきれず、トリアイナが桜の額に当たる。

桜の額から血が流れた。


「いいわぁ。翁くん。感じるわぁ」

とそれでも余裕を見せる桜。


「うぉぉぉぉ」

俺はそのまま振り下ろす剣に力を入れる。

まだグラビティの効果も残っている。


「あぁ。濡れてきちゃう」

と言いながら桜も潰されまいと押し返してくる。

四宮がグラビティを合わせ掛けしてくれて、一気に押し込もうとするが、それでも桜は耐える。

こんな華奢な体のどこにそんな力があるのか。


膠着状態を打破しようと桜が足を踏ん張った。

その時足元の雪が力に耐えられずに崩れた。

桜は体勢を崩す。

俺は桜の抵抗が弱まったので、そのまま剣を振り切った。

桜のトリアイナを弾き、俺の剣が桜の胸を切り裂いた。

切り裂いた。。。切り裂いた。。切り裂いた?


深々と胸を切り裂いたはずなのに、感触がなかった。


桜の服の胸の部分が剣で切り裂かれ切れている。


ポトッ

と桜の足元に何がが落ちた。



「パット。。。。」

一瞬全ての時間が止まったように感じた。



「みぃたぁなぁ!」

そこには鬼の形相をした桜がいた。

「これを見たものは生かしてはおけない」


桜が体からエネルギーを発する。

膨大なエネルギーにこちらまでヒリヒリしてくる。

今まで桜は身体能力とトリアイナの力だけで戦っていた。


今まで桜はスキルすら使っていなかったのだ。

鬼の形相となった桜にはもう遊びはなさそうだ。


やばい!

と思った時、柱が強い光を放った。

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