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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第四章 出会
109/190

109、新しい視点

僕たちは青柱を目指して、ブルの街を出た。

メンバーは僕、姫乃先輩、リム、ウィン、ミトの5人だ。

もともと僕と姫乃先輩の2人だったのに賑やかになったものだ。


ミトは青柱に向かうと決まると、即座に姿を消した。

数十分後に現れたと思ったら、旅に必要なものを揃え終えていた。

「戦いは全くダメですが、こういう事は任せてください」

と言っていた。


ミトは服装もボロボロな物に着替えていた。

普段はボロボロの服を着ていることの方が多いそうだ。

服も道具の一つと考えているようで、交渉する相手によって服装を変えているらしい。


姫乃先輩に草履を人数分作ってもらい歩いて青柱を目指す。

「ほぅ。これはすごいですね」

とミトは草履のアイデアに驚いていた。


少し街から離れたところで、10人くらいの人間が僕たちを待ち伏せしていた。

僕たちというよりもミトをだ。


「ミトどこへ行くんだ?俺たちの仕事を手伝うんだろ?」


「それはしっかりとお断りしたはずですが、、、」


「断るって選択肢はお前には無いんだよ」


「そう言われましても、私はこの方々と一緒に行かなくてはいけないので」


「選択肢は無いって言ってるだろ。力づくでも戻ってもらうぜ」

と言いながら、指をポキポキ鳴らした。


「そうですか。。。では勇さんお願いします」


「えっ?」

僕はミトを見た。

ミトは力強く頷く。


「えぇ?」

と改めて周りを見た。


「僕が魔法で一気に消しちゃおうか?」

とウィンが怖いことを言う。


「だめだめ。殺すのはだめ!絶対!」

と慌てて止める。


「なぁんだ。めんどいなぁ」

と言いながら唇を尖らせる。


「言うことを聞くのかどうするんだ?」

と相手の男は焦れながら言う。


僕は観念して、前にでた。

「あのぉ。。。すみません。。。帰ってもらえますか?」


「なんだてめぇは?」


「ここは穏便に帰って貰えませんか?」

と改めて懇願した。


「ふざけるな!」

と言って、男は殴りかかってくる。

僕はひらりとかわして、足をかけて転ばした。

他の男たちも一斉に殴りかかってくるが、僕は一発も貰うことなく、男たちを打ち倒して、丁重に帰ってもらった。


「勇さん!さすがです」

「イサミンすごいよー」

とミトとウィンが褒めてくれたが、僕はジト目でミトを睨んだ。

ミトは全く気にしていなそうだった。


気を取り直して、青柱を目指す。

夜はウィンが魔法でかまくらを作った。


「なんですか!?これは!!雪で作られているのに中は暖かい!」

とミトはかまくらにも驚いていた。


夕食はミトがスープを作ってくれた。

携帯用の干し肉とスープだけだが、スープがあるだけでも満足度は格段に上がった。

それにミトのスープは味付けもそこらのお店よりも美味しい。

ミトが言うには、スープは色々な物を入れる事ができるので、栄養のバランスも良くなるそうだ。


ミトの本職は情報屋だ。

商売柄いろいろな場所に行かなくてはならない。

しかし、ミトの戦闘の素質が無く、1人旅はできなかったらしい。

どこかのパーティに入れてもらうしか無いのだが、戦闘のできないお荷物を好んで入れるパーティは少ない。

そこでミトは旅の準備や料理などを身につけて、下働きのプロを目指したそうだ。

戦う事だけに特化した冒険者は多く、ミトは様々なパーティに声をかけられるようになったらしい。


そんな話をしていると、興味のないリムは眠たそうに欠伸をした。

そろそろ明日に備えて寝ることになったが、ここでもミトは率先して見張りを申し出てくれた。


翌朝、目を覚ますとすでにミトがスープを作ってくれていた。

ありがたくいただき、僕たちは青柱に向かって出発した。


僕たちは適度に休憩を取りながら進んだ。

休憩のタイミングについても、ミトがアドバイスしてくれた。

今までは疲れたら休憩をしていたが、そこで敵に襲われた場合、充分に戦えない。

疲れる前に休憩を取る方が良いと言って、休憩はミトの指示に従った。

ミトは僕たち全員の様子を見ながら、休憩の指示をしてくれていた。

そうする事によって、全体の歩くペースも速くなり、1日に進む距離も長くなった。


こうして僕たちはミトのおかげで、今までには無い視点を取り入れた旅をする事ができた。



順調に旅を進めていくと、遠くに柱のような物が見えてきた。

「あれが柱ですかね?」

とミトに聞くと、

「さようです。あれが青柱です」

とミトは答えた。

「僕も緑柱は知っていたけど、青柱も大した違いはないんだね。青くも無いし」

とウィンが言うと、

「ははは。あくまでも区分けするための名前ですからね。実際に色はありませんよ」

とミトは言った。


そのまま青柱を目指して進んでいくと、遠くから声が聞こえてきた。


「誰かが戦っている」

と僕が言うと、


「あそこを見て」

と姫乃先輩が指を差した。

指が示した方向を見ると、複数人が戦っている。

20人が2人を取り囲んでいる。

多勢の方は全員黒い服装をしていた。


「あれは黒の組織ですね」

とミトは言った。


「どうしますか?」

と姫乃先輩に聞くと、


「状況はわからないけれど、2人の方に助太刀しましょう」

と答えた。


「そうだね。相手は黒の組織だし、どう見てもあの人数差は不公平だもんね。僕が消しとばしてあげるよ」


「ウィン。殺しは無し。絶対」

と僕が言うと、


「ううう。わかったよ」

とウィンは面倒くさそうだ。


「リムは戦えないのでここで見ているのよ」


ミトを見ると、

「行ってらっしゃいませ」

と手を振っていた。


「よし!じゃあウィンが魔法で牽制して、僕と姫乃先輩で無力化していきましょう」


「了解!」

「わかったよー」

と2人が同意した。


「じゃあお先に!」

とウィンが言うと、


「跳躍」

と魔法を唱えて大きくジャンプして行った。

めちゃくちゃ便利な魔法だな!と感心しながらも僕たちも急がなくてはいけない。


「僕たちも行きましょう!」

「うん!」

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