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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第四章 出会
107/190

107、情報屋

コミト村に戻ってきた。

とりあえずは宿に拠点を置いて、次の目的地を決める予定だ。

宿は2部屋借りる事として、僕とリム・姫乃先輩とウィンの部屋割りとなった。


その後、僕たちは食堂で久しぶりに腹一杯食べた。

そこで今後の動き方を確認した。


柱の場所を特定する事が当面の目標だ。

ウィンに黒の組織のことを聞くと、幹部とやり合った事があるそうだ。

でもその幹部は男性だったみたいで、芽衣とは違う。

ただ、黒の組織は柱の開放を目指しているという話が聞けた。

この国にも柱があると言うことなので、僕たちは柱を目指す事にした。

柱の場所もわからないのだが。。。


地図を広げて次の目的地を相談する。

王都に行くのはもちろんNGだ。

もう安倍晴明とは遭遇したくない。


僕たちは有力な手がかりがないので、とりあえずは行った事のない街を目指す事とした。

「ここからだとブルの街が一番近そうね」

と地図を確認しながら姫乃先輩は言った。


次の街はまだ無事だといいな。

と僕は心の中で思った。


僕たちはブルの街に着いた。

ブルの街までは2週間程度で到着した。

雪道を歩く事にもだいぶ慣れてきたものだ。

リムは相変わらず僕の肩の上だが。。。


ウィンも旅慣れたものだった。

夜はかまくらを作って暖をとったが、ウィンがかまくらを作る魔法を唱えた時には驚いた。

ウィンは魔法を創ることができるそうだ。


「僕は魔法使いじゃないよ。魔法創造士だよ!」

と腰に手を当てて、胸を張って言っていた。

普段は目立たないが、胸を張ると双丘が存在が確認できて、僕は抱きついてしまった時の柔らかさを思い出して顔を赤めた。



僕たちはブルの街に入る。

なんとブルの街には人がいた。

この国に入って初めてだった。


僕たちはまず宿屋で部屋を借りた。

一部屋しか空いていないため、4人で同じ部屋に泊まることにした。

着替える時には僕は廊下で待っていた。

今回も望んでいたトラブルは無く着替えは済んでしまった。


次に食堂に向かった。

「いらっしゃい。空いているところに座りな」


と店主が迎えてくれた。

食事時だからか、ちらほらと席は埋まっていた。

僕たちは4人掛けの席に座って、注文をした。


「久しぶりに暖かい肉が食べられるのよぉ」

リムはフォークを持って、テーブルにカチカチと当てていたので、行儀が悪いと姫乃先輩に嗜められていた。


リムの料理が待ち遠しい気持ちは僕も同じだった。


注文した料理が運ばれてきた。

肉はステーキのようなもので、魚は煮付けだ。

他にもサラダやパンを注文した。


「「「「いただきます」」」」


久しぶりのまともな食事はとても美味しかった。

味付けが濃い料理が多く、寒い地方の風習なのかな?と思った。

ウィンも楽しそうに食事をしていた。

みんなと食べるだけでもウィンにとっては特別な事みたいだ。


その日は早めに就寝とした。

みんな疲れが溜まっていたからか、すぐに寝てしまった。

ウィンだけはみんなと寝る事に慣れていないため、緊張でなかなか寝付けなかったらしい。


翌日から黒の組織と柱の場所の聞き込みを開始した。

この街にも冒険者ギルドがあるみたいなので、そこで話を聞いてみたところ、意外と簡単に柱の情報は得る事ができた。

柱はこの街からそう遠くない場所にあるらしい。

また、黒の組織についても、ミトという人物が情報を持っていると言う事だったので、紹介してもらえるようにお願いした。


ミトは明日ギルドに来てもらえる事になったので、今日のところは宿に戻る事にした。


僕はリムを連れて街を出て、街の近くでトレーニングを行って過ごした。


夕食時に僕たちは食堂に向かった。

僕たちは昨日と同じテーブルに座り注文をした。

「今日は進展があってよかったね」

とウィンが言うと、

「そうね。ミトという人がどんな人かはわからないけど。。。」

と姫乃先輩は答えた。


料理が運ばれてきたので、ぼくたは黙々と食べ始める。

僕たちが食べ終えた頃に隅のテーブルから怒声が聞こえた。


「てめぇ。もういっぺん言ってみろ!」

ガタイのいい男が、ひょろっとした男の胸ぐらを掴んで拳を振り上げている。

「何度でも言いますよ。今AEは崩壊の危機なんだ。あなたたちみたいに、毎日を惰性に生きている人たちとは組む事はできません」

「てめぇ」

と言って、ガタイのいい男はひょろっとした男を殴り飛ばした。

テーブルを押し倒して、ひょろっとした男が転がる。


「ふんっ」

と言ってガタイのいい男は店を出て行った。

するとひょろっとした男も何でもないように立ち上がり、テーブルを元に戻した。

そして、店主に代金を払ってそのまま出て行った。


「何だったんでしょうか?」

と僕が聞くと、

「ああいうのは関わらない方がいいのよ」

とリムは言った。


食事を終えた僕たちは、そのまま宿に戻り就寝した。


翌朝、僕たちは冒険者ギルドに向かった。

僕たちはテーブルに案内されて、ミトを待った。

しばらく経ってもミトは現れない。


「すっぽかされたかな。。。」

「もう少し待って、来ないようならギルドの人に言って帰りましょうか」

「こんなに遅れるなんてろくなやつじゃないのよ」

などと話していると、


「お待たせしました」

と全身を濃いめの緑で統一された服装の男が声をかけてきた。

緑で統一は奇抜だが、思いの外似合っていて、貴族のようにも見える。


「私が情報屋のミトですが、私の話を聞きたいというのはあなた方ですか?」

とミトは礼儀正しく言った。

年齢は僕と同じか少し上くらいだが、服装といい、高貴な方なのだろうか。

あまり失礼なことをしたら後々面倒だろうか。。。と思った途端に


「お前!遅いのよ!リムたちがどれだけ待ったと思っているのよ!」

とリムが怒鳴り声を上げた。


ノォ〜〜〜〜。

僕は心の中で叫んだ。


「それは大変申し訳ございませんでした」

とミトは冷静に謝罪した。


「ふん。わかればいいのよ」

とリムは矛先を引っ込めてくれたので、僕はホッと胸を撫で下ろした。


「座ってもいいですか?」

とミトが聞いてきたので、

「どうぞ」

と姫乃先輩は返した。


ミトは椅子に座ると、

「早速ですが、私に聞きたい事があるそうですね」


「はい。黒の組織について詳しいと伺いましたので、知っていることを教えていただければと。。。」

姫乃先輩が言う。


「そうですね。黒の組織については、他の人よりは知っているかもしれません。でも何のために知りたいのですか?」


「僕たちの友達が黒の組織にいるのです。自らの意思で組織に入っているかもしれないけれど、もしかしたら無理矢理入らされている可能性もあります。だから、、、」

と僕は答えて、続けた。

「もう一度会って確かめたい。そしてできれば一緒に元の地球に帰りたい」


「そうですか。あなた方は転移者でしたか。それは苦労されたでしょうね」


「では教えていただけますか?」

と姫乃先輩は言った。


「そうですねぇ。金貨500枚でお教えしましょう」


「「「「500枚!!」」」」

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