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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第一章 目覚め
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1、始まりの朝


真っ暗な闇の中を幼い3人は手を取って走っている。

僕は真ん中で、左側には男の子。右側には髪の長い女の子。

遥か先に小さな光が見える。3人は光に向かって必死に走っていく。

その光は少しずつ大きくなってくる。

そして光のもとにたどり着くと、3人は闇から抜け出し光に包まれていく・・・


「ジリリリリー」

はっと僕は目を開けた。

目覚ましを止め、ふと時計を見ると6時半を回っていた。


「はぁ。またこの夢か。」

一年前くらいから月に一度はこの夢を見る。


僕はボーっとしながら制服に着替え、洗面台に向かう。

洗面台上の鏡を見て僕は

「はぁー」

とため息をつく。 


鏡に写る人物はお世辞にもかっこいいとは言えない。

癖の強い髪はあちこちに跳ね上がり、目の下には昨日遅くまでゲームをしていたため、薄っすらとくまができている。


なんと言っても身長。。。


今年ようやく155cmを超えることができた。

僕はこの身長の低さがコンプレックスだった。


小学校の時から今までクラスの身長順の並びで1番前を譲ったことがない。

前へ習えで手を前に伸ばすことが一つの憧れだった。


「はぁ」

ともう一度ため息をつき顔を洗いリビングに向かう。

すでに母さんが朝食を用意してくれていた。

母さんは大手会社の管理職をしている。

結婚せずに僕を産み育ててくれた。

父のことはあまり知らない。

母さんも話したがらないし、今更僕も聞こうとしなかった。


ただ、昔一度母さんと父の話をしたことがある。

「母さんはね、あなたのお父さんが大好きだったの。大恋愛の末、あなたができたの。ただ、深い事情があって、結婚はしなかったの。母さんも父さんも軽い気持ちであなたを産んだわけではないのよ。」

母さんは父さんの悪口を一切言わなかったが、子供の僕は受け入れることができなかった。

 

僕はテレビのニュースを見ながら、朝食を食べ始める。

今日はご飯と味噌汁と目玉焼きにソーセージ。

特別感の無い朝食だが、毎日遅くまで働いているのに欠かさず朝食を作ってくれる母さんのご飯が大好きだった。


醤油をかけた目玉焼きの黄身をご飯に乗せて潰しながらニュースの声に耳を傾ける。

「〇〇市で行方不明者がでました。目撃者によると突如足元が光ったかと思ったら、急にいなくなってしまったそうです」

「3年前から同様の行方不明者が確認されて、年々増加しております。今回の行方不明者は3名 澤口 翁くん 17歳 四宮 杏奈さん 17歳 野口 ・・・」

 

「また行方不明者か。」

「怖いわねぇ。勇も気をつけてね」

「わかってるよ。ごちそうさま」


ご飯をかき込み、味噌汁を飲み干して席を立つ。

テレビでは行方不明者のニュースが続いていた。

「光による最初の行方不明者は3年前でしたよね」

「そうですね。泉 真霧さん確か当時は15歳でした」


「そろそろ学校に行かないと」

「今晩も母さんは帰りが遅くなるから。ご飯は温めて食べてね」

「了解ー。じゃあいってきます!」

 

僕は高梨勇(たかなし いさむ)高校1年生。

学校は家から近い所を選んだため、徒歩で登校する。

学校は家から徒歩20分程度なので毎日の通学は苦にならない。

途中で最寄りの駅を過ぎたくらいからしだいに生徒が増えてくる。


「勇 おはよう」

友達の淳が声をかけてくる。


「おはよう。昨日はオンラインゲームに来なかったな。」

僕と淳はゲーム仲間だ。


僕は昔からゲームが好きで、今はオンラインのRPGに夢中になっており、夜のゲームがメインの生活になっている。

ゲームの話ばかりするので、クラスメイトからはオタクだと思われている。

いじめられてこそいないが、たまに不良グループに絡まれることもある。

友達は多い方ではなく、顔も勉強も運動も中の下程度でクラスでも目立たない存在だ。

もちろん彼女なる存在などはできたためしがない。

 

淳とゲームの話をしながら学校へ向かっていると

「おはよう。今日はいい天気だね」

後ろから凛として透き通った声が聞こえてきた。

振り向くと腰まである黒髪の女性が早足で僕たちを追い抜いて行った。


2年の姫乃先輩だ。

「おはようございます」

とっさに返答をして、追い抜いていった姫乃先輩の後ろ姿を呆然と眺める。


淳が

「姫乃先輩と知り合いなのか?」

と、尋ねてくるが


「いや。知らないよ。たまたま声かけただけじゃないかな。」

姫乃先輩は1つ上の高校2年生、容姿端麗、頭脳明晰などの四字熟語がぴったりで、それを鼻にかけないことから、学校中の人気者だ。


僕も憧れはあるものの、高嶺の花、鑑賞できるだけでもありがたい存在だ。

噂では先日も不良グループのリーダーから告白をされたがお断りをしたそうだ。

あんなに綺麗なのに特定の彼氏がいるなどの話は聞いたことが無い。

僕は姫乃先輩に声をかけてもらえるなんて、今日はいいことがあるかな?などと考えながら学校へ向かった。

 

正門の近くまで来た時に

「勇っちおはよう!」

と背中を叩かれた。


僕はよろけながら後ろを振り返ると、星野芽衣が立っていた。

「相変わらずさえないねぇ」

と笑顔の芽衣に


「芽衣ぃ。いきなり何すんだよー。お前は相変わらず元気だなぁ。」

とため息をつきながら言った。


「ほら。早く行かないと遅刻しちゃうよ。」

と芽衣は僕の背中を押しながら学校に入って行く。


「自分で行けるから、先に行けよ。」

と僕は言うと

「なんで?同じクラスだし、芽衣と一緒に行こうよ」

と僕の腕を掴み強引に引っ張って行った。


芽衣は高校1年生で同じクラスだ。

明るく物怖じをしない性格で、容姿も良いことからクラスのなかでもトップクラスの人気を誇っている。

クラスにも芽衣を狙っている男子は多く、よくこうして一緒に登校する僕に冷たい視線をあびせてくる。

男子たちの突き刺さる視線にダメージを受けながら僕は自分の席についた。


「ふぅ。ようやく席に着けたよ。」

僕はそうため息を吐きながら、教科書を出して、これから夢の世界に入る準備をするのであったzzz


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2023.09.04 改行と誤字を修正しました。

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