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第21話 セックス馬鹿にしてんじゃねえよ!

『私が許さないから』


 撫子のセリフは一瞬で場をざわつかせた。

 それほど『百万円』はパワーワードだった。


 いや、知っている。

 口から出まかせってやつだろう。


 百万円って大金だ。

 高校生がポンと出せる額じゃない。


 でも、この娘なら実際に用意しちゃうのでは?

 そう思わせるだけの迫力が撫子にはある。


「日和さん、あなた本気⁉︎」


 ビビりまくりの恵は泣きそうな顔になる。

『電動バリカンで丸坊主にされる』くらいの罰ゲームを想像しているのだろう。


 無理もない。

 性交委員に常識なんて通用しない。

 それは今日までの三ヶ月半が証明している。


「私ってね、約束を破る人間は好きじゃないの。たとえ口約束でもね」

「でも……」

「愛理くんは有言実行の人よ。どこかの生徒会長さんと違ってね。これって立派なことじゃない」


 撫子ちゃん、かっけぇ〜。

 男子のために怒れる女子ってポイント高いかも。


「愛理くんには救いようのないバカな一面があるけれども。sixとsexのスペルを間違えたり……」


 知ってたんだ⁉︎


「でも、愛理くんの努力は半端ないの。それを『拒否権』なんてヌルい一言で水の泡にするっていうのなら、私はあなたを許さない。泣いても許さないから」


 勝敗は明らかだった。

 恵には何一つ良いところがない。


 テストで総合二位だった。

 それはいい、勝負は時の運という。


 でも嘘つきのレッテルを貼られた。

 生徒会長としては致命的だろう。


 これまで恵を支えてきた優越感やプライドが音を立てて崩れていく。


「愛理くん」


 撫子が目配せしてくる。

 トドメを刺してやれ、という意味らしい。

 愛理は一つ息を吐く。


「一個だけ言わせてもらっていいですかね、会長」


 腕まくりする。


「セックス馬鹿にしてんじゃねえよ!」


 思いっきり壁ドンをかます。


「ッ……⁉︎」

「一度もセックスやったことない人間がセックス馬鹿にしてんじゃねえよ! 俺が言いたいのはその一点なんです!」


 場がシーンとなる。

 撫子一人がクスクスと笑う。


 これでいい。

 恵に対するヘイトは愛理が引き受けた。

 最高に気持ちいい形でぶつけた。


『ざま〜みろ!』


 そう思った男子は多いだろう。

 嫌われても仕方ない態度を恵はとってきた。


 だからペナルティを与えた。

 相手の得意分野で倒してやった。


 最高に恥をかくようなやり方で。

 インチキ無しの正攻法で。

 つまり精算完了だ。


「撫子ちゃん、百万円の話だけれども……」


 恵の手首をつかむ。


「俺、お金に困ってないんで。これから会長の体で楽しむことにするわ。せっかくの戦利品だしね」


 敵意の輪から恵を引っ張り出しておく。


「会長ダセ〜」

「一条に食われてやんの〜」

「生意気女が敗北するシーンは最高だぜ!」


 口数の減らない面々を指差しながら、


「二位の人間をバカにしていいのは一位の人間だけでしょう。そこらへん勘違いしないように」


 ド正論で殴っておいた。

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