わたくし悪役令嬢ですのよ
思い付き!ヒロインはXX持ちです!
「いよいよ、ね」
「はい!エリーお嬢様!」
微笑んで、小さく息を吐き出し馬車を降りる。手を取ってくれるのは専属侍女のソフィアだ
ポニーテルにした亜麻色のサラサラの髪をぴこぴこ揺らし、キャラメルブラウンの瞳はキラキラとわたくしを見つめている
ちなみにわたくしはお母様譲りのアメジストの瞳にお父様譲りのプラチナの髪だ。ただし、髪はいくらストレートにしようとしてもドリルになるけど
……本来なら、ソフィアはわたくしに日々虐められ、心がこの時点で病んでいる。わたくしが物語通りの傲慢で冷酷な性格をしていたらの話だけど。
実際のところは、ソフィアとわたくしは本当の姉妹のように育った。わたくしが記憶をきちんと取り戻したのは5歳のころだけれど魂自体が影響下だったのか5歳になるまでのわたくしも傲慢なところは無かった
その代わりというか、人見知りをまったくしない上に凄く甘えんぼで、身分が下の者にもすぐトテトテ駆け寄ってお話したがる令嬢で、両親は貴族の立場をどう教えようか頭を抱えたらしい。ごめんねごめんねぇ
さて。
わたくしは悪役令嬢転生というものをしたらしいのよね…ここは剣と魔法の中世ヨーロッパ風味で御都合主義感の否めない世界。
わたくしはルフトラーネ王国筆頭公爵家令嬢、エリザベート・サー・インテグラル・ツェペリン・デクストラ・ヴァーネルン…なげぇよ!!
ま、愛称はエリー。ソフィアを筆頭にお屋敷のみんなは親しげにエリーお嬢様と呼んでくれる
そんな私には日本で生まれ平凡なOL三年生までの前世の記憶がある。前世の幕引きは定番のトラックではなく高齢者マークのプリウスによって唐突に訪れた
老害プリウス死ね
そして、この世界は私が死ぬ2日前に読んだ少女漫画とやたらと固有名称が一致するのだ。
まあ、この世界が元で地球にあの漫画が作者のアイデアとして生まれたのかも知れないわよね。ここはどう考えても現実だし
そして本日わたくしとソフィアは15歳。物語の舞台となるお話王立フィル学園の入学式に2人で来たところだ。
んで。
わたくしは3年生に進級出来ない。二年生の最後に処刑されちゃうからだ
罪状は国家反逆罪
まあ、冤罪ではない。婚約者である王太子が田舎の男爵家の世間知らずな天真爛漫馬鹿女にメロメロになってエリザベートはブチギレ
それはもう徹底的に殺そうとする
最初は雌ブタだけ殺そうとするのだが、途中から王太子にもキレて2人まとめて始末しようとする
これはひどい!
何って、エリザベスも酷いけどそもそもシナリオがクソなのよねあの漫画