ダウン
土曜日の午前中、部屋の掃除と洗濯を終えたところで、雪乃は強い寒気を感じた。
窓を開け放って掃除したために身体が冷えたのだろう。
さすがに12月の中旬ともなると、午前中は10℃を越えない。
失敗したな、でも布団にくるまってれば、冷えはそのうち回復するだろう。
昼ご飯を食べる元気がでない。
布団にくるまりながら雪乃は悲しい気持ちになる。
馬車馬のように働いて、結果休日に寝込むのかよ。畜生。
少し眠った後、遅い昼ご飯を作って食べる。
ふうむ、参った。37.5℃、熱があるぞ、こりゃ。
久々に風邪引いた。
和幸からメッセージの着信があった。
「元気か?」
元気なわけないでしょ、ホントに間が悪いわね。
「風邪」と返す。
「今すぐ行く」と即レス。
まったくもう。
「来ないで。今からまた寝るから」
と雪乃は返す。
しばらく間があってから着信。
「わかった。なにかあったら知らせて。すぐ行くから」
失敗したわ、スルーか元気だと言えば良かった。
夕方、38℃。最低。
完璧に風邪だ、インフルエンザではないことを祈る。
あれ、キツいからな。
去年、雪乃はインフルエンザに罹患した。
身体中が痛くて、39℃以上となった。夜ほとんど眠れず、
こういう風に苦しんで人は死ぬのだと実感した。
あのときは和幸が来てくれた。奴はオロオロするだけで役立たずであったが、
一晩中一緒にいてくれただけで少しは安心できた。ありがたかった。
しかし今回はなぁ。
20時過ぎに和幸から着信。
「家の前まで来たが、入って良いか?」
ふう、お節介なんだから。でも。
「ありがとう。上がって」とレスする。
錠を開ける音、和幸の心配そうな顔。
「プリン買ってきた。喰うか?」
「ありがと」
「熱は?」
「夕方38℃。それ以降、怖くて計ってない」
「インフルかな?」
「和幸、マスクした方が良いよ」
「まあ、俺はかかったばかりだから」
「型が違ったら、またなるよ」
「心配すんな。それよりなんかできること無いか?」
「今は無い。インフルエンザではないことを祈ってて」
わかった、と和幸は言って台所の洗い物をしに行った。
「ありがと、助かるよ」
「大したことできなくてごめんな。粥でも作っておこうか?」
「大丈夫。それより、ここで点数稼いでも、私は許さないからね」
「友人として来たのだから心配すんな」
「バカ」
私は安心して眠ってしまい、翌朝起きると熱は平熱近くまで降りていた。
おそらくこれならインフルエンザではないだろう。やれやれ。
机の上に書き置きがあった。
「なんかあったらすぐ連絡しろ。あと医者行け。」
わかったわよ。ありがとう。




