6/10
誘い
金曜日、雪乃は珍しく残業無しで退社する。お疲れ、私。
お風呂入ってさっさと寝よう、って考える時点で色気もへったくれもないな。
帰宅途中に星野からメッセージが入った。星野からなんの用だよ?
「24日空いてますか?」
ストレートな質問だな、しかも勘がいい。共通の知り合いっていたかな?
和幸のことは、一切社内で話したこと無いけど。
雪乃は少し躊躇した後、
「なんで?」
と、返した。返事が来ない。
ほほう、これは間違いなくクリスマスデートのお誘いね。
星野はいい奴だけど残念ながら恋愛の対象外だなあ、と雪乃は思う。
電話の着信音がする。星野からだった。
「今、電話大丈夫ですか」
「ええ、大丈夫よ。それでなに、まさかクリスマスイブにデートの誘い?」
一瞬の間がすべてを物語る。
「会って話したいことがあって」
星野が口籠るような調子で答えた。
直接的すぎて悪かったなぁと、雪乃は後悔する。
この電話で告白させているようなもんじゃん。
「悪いけど、24日は埋まってるわ。別の日にしてくれる?」
雪乃は答えた。
ある意味、ホッとしたような息遣いが、星野から電話越しに伝わってきた。
「じゃあまた、ちょっと日程を考えてから連絡します」
星野が言った。
そう、じゃあね、と言って雪乃は電話を切った。




