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インフルエンザ
部署の忘年会に雪乃も当然ながら参加した。
「無能な上司と仕事のできない部下に挟まれて課長として一年間よく耐えた。お疲れ様、私」
という挨拶はもちろんせずに、皆の労をねぎらい乾杯の音頭をとった。そりゃあいくら私だって、そのくらいの空気は読む。
宴もたけなわとなった20時頃、着信が入る。和幸からのメッセージは短かった。
「インフルエンザになった。40度。友人として助けてくれ」
奴は友達いないからな。大人の40度は辛い。仕方ないな。
「顔も見たくないが、人として見捨てることはできない。友人として救助に向かう、しばし待て」
そうメッセージを打ち、雪乃は一次会で切り上げて、食材とマスクと氷囊を買い、和幸の家に向かった。どうせ奴はそういうものを準備してない。
「本当にありがとう、恩に着る」
「あんたに友達いないの知ってるから」
「助かった」
「伝染さないでよ」
簡単な料理をいくつか作り、冷蔵庫にしまう。
「これ食べて今日明日、生き抜いて。私帰るね、お大事に」
やれやれ終電だ。お人好しにもほどがあるな。




