試合を楽しみたい。
手のしびれを感じつつライトの守備に就いたときスタンドから拍手が送られた。
最初は誰に対しての拍手か考えていたが徐々に橋栗コールが聞こえてきた。こういう時はどうするんだっけ?とりあえずお礼しよう。ありがとうございます。
5回表、ここまで3イニングを投げ抜いた大岩はさすがに限界だったようで、回復することは叶わず肩を休めることとなった。
代わりマスクを被っていた副主将がマウンドへ。その他にも守備位置を大幅に変えた。俺はそのままだった。
大岩はベンチに下がり唯一ベンチに残っていた俺と同じ初心者のやつが守備へ就いた。
副主将が投球練習を行っている様子をこの一か月一度も見たことがないので心配だった。
その心配は的中してしまった。フォアボールの嵐でたまに出る長打が俺の弱肩のせいでランニングホームランになってしまいノーアウトのまま打者三巡で27失点を喫す。
その後も打線が留まることを知らず41失点目になりなおも満塁のところでバッテリーの守備位置を交代。
交代して3人目のバッターが俺がちょうど守っているところにフライを打ち上げてきた。
初めてだったのでとても緊張したが落ち着いて取った。ホッとしているところに虚を突かれるように1塁ランナーがホームベース目がけて走っていった。肩が弱すぎて生還を許してしまった。申し訳ない。
その後、代わった一年の制球は安定しており四球の嵐になることはなかったが外野の頭を超える打球を量産された。
それでも最後はなんと三振に抑えた。
この回72失点。スコアボードの点数欄には2桁しか記録できないらしく171点の下二桁の71がスコアボードに表示されていた。
5回裏、既に試合が始まって4時間30分が経過した。13時30分に始まった試合はもう18時を迎えた。辺りも暗くなり春季大会としては異例となるらしい点灯試合となった。
さきほどの回、動揺を受けていた相手エースは調子を取り戻し3打者を9球連続空振りに抑えゲームセット。
俺が所属する伊那大鹿高校野球部は8-171という波乱の試合で幕開けをした。
1 2 3 4 5 6 7 8 910 R H E
総技607 725 72 7198 3
大鹿3 0 0 5 0 8 343
試合終了のあいさつをし相手チームの校歌斉唱。壮観なスコアボードを眺めて長かった試合を振り返った。試合のスコアこそ野球とは思えないくらいにボロボロだったものの1試合をやり切った充実感と野球をする楽しさを味わうことができた。課題は山積みだ。
球場を出てバスに乗り込もうとしたときに声をかけられた。声の主は先ほど試合をした総合技術高校の生徒だ。背番号をつけていないので先程スタンドにいた部員のうちの一人だろう。それにしても見覚えがある。
話を聞くとどうやら中学の同級生らしい。道理で見たことがある。彼は確か外部で野球をしていたから推薦入学で長野まで来たのだろう。頑張ってほしい。
話が終わってすぐもう一人声をかけてきた人物がいた。背番号1を付けたガッチリの相手エースだ。
ナイスバッティング。驚かされたよ。と端的に称賛を頂いた。彼は3年生で県内屈指の好投手のようで彼の姿を見つけた報道陣に囲まれインタビューせざるを得ない状況になった。しどろもどろになったところで久米さんに助けてもらった。その後LINEを交換しバスへ戻った。
試合後、バス内で行われたミーティングで、夏大で最後まで試合をすることが目標となった。
正直とても疲れていた。ほかのメンバーも同様だったようで球場を去ったと思ったら次気付いたら自宅前に着いていた。バスの運転手とメンバーにお礼を言い自宅へ帰った。県中で中継されていたらしく祖父母にとてもいじられた。中学の同級生からもLINEやTwitterでいじられたり祝福の言葉を受けたり慰めの言葉を受けた。どこから情報を得たのかと思ったらスコアはもちろん俺のホームランも含めネットニュースにもなっているらしい。とても恥ずかしい。
とても疲れているが敗者復活戦まで時間がない。ゆっくり休もう。