守備をしたい。
チェンジになり3回表を迎えた。俺はライトの守備に就くこととなった。
1人目、大岩が今日初の奪三振でワンアウト。
しかし2人目のバッターにフォアボールを与えると3人目のバッターは打ち取ったあたりがエラーとなり4人目のバッターのところでパスボールで1点献上。
その後ヒットやエラーで出塁をされる。しかしアウトを重ねてツーアウトにした。
この回9人目のバッターに回ってきた。ランナーは先ほどのアウトが犠牲フライとなったので2アウトランナーなし。
初球をバッターが振りぬきボールは俺のいるライトへ。思ったよりかなり打球速度が速い。と思ったときには後逸をしていた。
急いでボールを取りに行って中継にボールを投げるがかなりの短距離かつ山なりの送球になってしまいその間にバッターが生還。やらかしてしまった。
その後のバッターをセカンドゴロに抑えチェンジ。この回は7失点に抑えた。
大岩は淡々と投げつつも試合ができていることを純粋に楽しんでいるようだ。
すぐに3回裏の攻撃は終わってしまい4回表の守備へ。
先頭打者の初球がいきなり俺の頭上を超えていった。ホームランだ。
その後打線に火が付いてしまい俺含め外野はてんやわんや。気付いたら4回のスコアボードに16の文字が刻まれていた。
俺はふと1回の60点が刻まれているスコアボードを見て記録されていることに感動を覚えた。
そしてその後俺のところにも数回ボールが飛んできて4回表は25失点で終わった。
2回からずっと投げている大岩は見るからに疲れが溜まっている。
気休みになるかどうかすらもわからないがこの回はツーストライクまで見送って少しでも大岩が回復するように努める作戦となった。
それが功を奏したのか2者連続フォアボールと3年生の7番副主将が必死に食らいついてバントをしてボールをとったキャッチャーが悪送球。その間に1人生還し4点目を得た。
8番もフォアボールでノーアウト満塁のチャンス。ここでバッターは・・・俺?
ここで相手守備陣がマウンドに集まって話をしていた。
そして背番号1を付けたガッチリとした人がグローブをもってマウンドへ。背番号1ってエースだっけ?
「総合技術高校、6番守屋くんに代わりまして久米くんが入りピッチャー。6番ピッチャー久米くん。背番号1」
開会式が終わっても残っていたスタンドの人たちがざわめいた。すごい人らしい。
投球練習を見た後俺は自信を喪失した。速すぎる。変化球も12番の人と比にならない。
打席に立った俺はやけくそになりバットを長くもって相手ピッチャーが振りかぶったと同時に全力フルスイングした。
相手ピッチャーのぽかーんとした顔が印象的だった。
その後すぐに手にビリビリをも超える衝撃が。
手首を抑えながら一塁へ向かって走っていると1塁側ベンチから歓声が聞こえてきた。
審判を見ると手をまわしている。
一塁のランナーコーチに何事かと聞くとどうやらホームランとのこと。
えええええええええええええええええええええええええええ!?
ホームインしてからも疑問で渦巻く。ベンチで手荒い祝福を受ける。スタンドもざわめきに包まれた。
どうしてこうなった。
その後大岩が動揺を付きスリーベースを打ちその次のバッターがスクイズを成功させた。そのあとのバッターはアウトになり攻撃終了。背番号1の相手ピッチャーの泣きそうな顔が印象的だった。小さく見えた彼の姿とは裏腹に彼を慰めに行く相手チームメイトを見ているとなにか申し訳なくなった。
試合は4回を終え8-99。5回に10点差がついていたら試合終了になるそうなのでこの回がこの試合最終回になる。最初の試合最後まで楽しもう。