表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/13

色々あって現在ロリエルフです:3

………ねぇ、エルフにとって一番大事なものってなんだと思う?

急にこんなことを聞くのも難だけど、ちょっと今はこの質問をさせてもらいたい。

いや、この質問をすることもちょっと現実逃避に近いね。諦めて現実を見ないと………あ、ちなみに答えは弓だよ。英語で言うとアロー………ボウだっけ?まぁ、とにかく弓。

で、何故エルフにとって一番大事なものが弓なのかと言うと。

エルフにとって己の使う弓ってのは成人の証であって、そしてある意味自分の半身のようなものでもあるんだ。

まぁその材質はその人の趣味によってさまざまなんだけど………その弓の質が良ければ良いほど弓の腕のいいエルフだって見てもらえるんだ。

だから、エルフにとっての弓と言うものはステータスであり、プライドであり、大人の証明書でもあるわけなんだけど………


「あ、アルカくん?それは?」

「僕の弓の設計図だよ?」


転生生活も15年と少しが経っていたこの日の昼下がり、教師?の仕事も休みだったために暇を持て余していて里の中を無意味に散歩がてら歩き回っていた私はあるものを目撃してしまっていた。

それは弓の設計図。

しかも、弓と言ってもファンタジーによくある分かりやすい方の弓じゃなくて、なんというか弓と言うより………パチンコ?に近い感じの弓の設計図を。

しかもその設計者は、アルカくん。

もう一度言おう、アルカくんだ。私も正直別人かなーとか思ったけど、アルカくん(小学校低学年くらいの子供)なのだ。

ありえない………そう、ありえないんだよ。

前世では一応高校の授業も受けていた私だってそんな弓の設計図は書けないのに、この子は何故か書いてしまっている。


わけがわからないよ………というか、この子は本当にアルカくんだって言うのかな、もしかして宇宙人が入れ替わってでも………いやそれはないか。

ただまぁ、私には理解ができないということだけが理解できるってくらいしか分からない。

もはや自分で何を言っているのかすら分からないけどね………


「でね、でね?これはスリングショットっていうもので………」


あ、でもどうやらアルカくんは説明をしてくれるみたいだね。

うんうん、勝城も昔から自分が好きなものについての説明だけは恐ろしく理解がしやすくて面白い説明が出来たからなぁ………その前例に倣うなら、アルカくんの説明もきっとわかりやすいはずだよ。

だって男の子だもん。

好きなことにはとことん拘りまくっちゃう、男の子だもん。


「えと、よく分からないんだけど、とっても遠くまで石を飛ばせるんだよ!」


………しまったアルカくんは勝城ほど理論派じゃなかったんだった………

同じく感覚派である私が言えた義理じゃないけど、でもこの説明じゃ機能以外分からない!

なんとか見た目からパチンコみたなものだと分かるから、Y字型の棒にゴムを掛けてその力でものを飛ばすってことが辛うじて分かるけど………


これ、多分弓じゃないよね。というかどう考えても弓ではないよね。完全にパチンコ………しかもなんかすごいやつの方だよね。

それとなく目を逸らしていたけど、これはちょっと怪しいよ。

何がって………おっと。

私が少しだけ目を逸らしていたことに目を向けようとしたとき、不意にアルカくんがこっちに抱き着いてきた。

なぬっ………いつもあまりボディタッチをしてこないアルカくんにしちゃ珍しい抱き着き攻撃、だと………?

でもこれはチャンスだ!アルカくんの方からの抱き着き、それ即ち本人公認でおさわりの許可が出たってことなんだよ!


「すごいでしょ!」


………私は、無邪気に褒めて褒めてと催促するアルカくんに対して年頃の乙女としては浮かべて良いのかどうか微妙な表情を浮かべながら、そのお願いに応えようと頭を撫でるのであった。

あぁ、やっぱり可愛いなぁ………うん、そうだ。こんな可愛い子を怪しんだらいけないよね。

ははっ、一体何を考えていたんだか………バカめ。

私は、自分の思考に一区切りつけると、少し思考を停止してデレデレとアルカくんを撫でまわすのであった。

ただ、この行動は今考えてもどう考えてもバカだった………と、私は思う。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


そしてその五時間ほどあと。具体的には夕方。もっと言えば普段であるのなら花嫁修業的なアレをやっているような時間でもある。

私は少しだけ上の空だった。

なんというか、見てはいけないモノを見た気がするというのかな、そう………周りに広めたら絶対に良くないことになるのは目に見えているというのに、どうしてか広めたくなってしまう。

人の秘密を知ったら言いふらしたくなってしまうあれに近いね。ただもう本当にそれを我慢するのはつらいよ。

前世で子供の頃読んだ、王様の耳がロバの耳になっていて、その秘密をどこかに言いたくなっちゃって、井戸………だっけ?に叫ぶって話に出てくる秘密を知っちゃった男の気持ちが良く分かるね。そりゃ井戸に叫んじゃうわ。


まぁこのエルフの里じゃ川の水に頼ってて井戸なんてないから、出来ないんだけどね………あぁもどかしい!

私は、このもどかしさをどこかに伝えたい衝動に駆られそうになっていた。

あぁ………誰でも良いからとても口の堅い人、いないかなぁ?出来ればあのパチンコみたいな弓について詮索しないような人とか、さ………

そんなことを花嫁修業の一環である裁縫………と、言っても初歩の初歩みたいなものだし道具の性能が前世のそれよりも幾分か低いことさえ乗り越えればそこまで変わらないけどね………をしながら考える。

私の周りに口が堅くて、なおかつあまり詮索しない人居たっけ。

知ってから一日と経たないうちにこんなにも誰かに言いたくなる衝動に駆られるとは………ぐぬぬ。なんとしても早く話しても問題のない相手を見付けないとね。

明日から時間を見付けて信頼の出来る相手を探さないと………そう思う私であった。


「あいたっ」


おっと、余計なことを考えてたら針で手を刺しちゃった………あちゃー、血も出ちゃってるよ。

やっぱ細かいことをしている時に考え事をするのはダメだよね。

反省反省、と。

まぁこのエルフ生では一度もケガらしいケガをしたことがなかったから、油断していたのもあったかな。

私はお母さんの方を見て、ジェスチャーで傷薬か何かがないかを尋ねる。


「あ、ちょっと待っててね………」


しかし、お母さんは立って傷薬やら包帯(今思うと絆創膏って本当に便利だったよね)を出してくるでもなく、不意に変な呪文を詠唱し始めた。


おぉ、これはエルフ生初の魔法って奴じゃないかな。

なんというかちょっと期待が膨らむね。

お母さんはどんな魔法を使うんだろうか。ホ〇ミかな、ベホ〇ミかな。あるいはべホ〇ムかな。

魔法というとドラ〇エくらいしか連想しないけど、でも期待感は凄いよ。

私はわくわくしつつ、お母さんの詠唱が終わるのを待った。

そして、大体三秒ほど経ち、お母さんの詠唱に一区切りが着くと………


「………【魔法薬生成ジェネレート・ポーション】」


………目の前に一本の瓶が現れた。


え?瓶?なんで?瓶なんで?

ここは魔法なんだから、パパッとぽーいでぴかっとなって癒すもんだとおもってたけど………

マジですかお母様。お薬なんですか。

魔法なんてものを使いつつもお薬を作るだけなんて。

わけがわからないよ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ