表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/13

色々あって現在ロリエルフです:2

私の転生生活はすごいと言えるほど恵まれてはいない。

いや、むしろこの老化しない体質を勘定に入れて考えればちょっと冷遇されている方なんじゃないかと思う。

まぁ世の中には転生したら奴隷とか、転生したけど親がクズとか、転生したけど貧乏ですぐ死ぬとか、そういう外れくじもあるだろうけど………そういうのを除いたら、ちょっと冷遇されている気がする。

私にも多少と言うかそれなりに責任があるとはいえボーナスの能力?は使い方が分からないし、私自身がバカかつこんなことを想定していなかったから産業革命を起こすのも無理そう。

あのバカ(勝城)ならきっとそこら辺も簡単にやってのけるんだろうけど、勝城はここにいないからないものねだりをしても仕方がない。

そして私の現在の人生目標は彼氏を作ってゆくゆくは結婚、ってところだけど………勝城がくれやがった体質のせいで私はこの世界における需要が皆無に近い。

つまり正攻法で異性を落とすのは難しい。


………でもね?彼氏いない歴=年齢の底力を舐めてもらっちゃ困るよ。

正攻法でダメなら、正攻法以外でやれば良いじゃないか!

あの勝城も前世で『正攻法を出来ない時は裏技でもなんでも使っとけ』とか言ってたし、その精神のもとに私はある作戦考えた。

この世界基準で異性に対する魅力が中身とルックス以外に存在しない私が、どうやって彼氏を作るのか。

その思案の末に思いついたのが………そう、光源氏計画だ。

元々は光源氏において主人公が幼女を誘拐して自分好みに育てたって話から来てるこの作戦は、勝城がずいぶんと前に学校で面白半分に話していたのを不意に思い出したからやることにしたんだけどね?

この世界においてその作戦は恐らく私が結婚するためには絶対に必要になる作戦だって、思いついた瞬間に確信したんだよ。

だってこの作戦なら私みたいな女以外に魅力を感じないようにすることもできるし、あるいは純粋に私を好きにさせることもできる。あるいは私が居なければ何も出来ない男の子ってのも………案外悪くないかも。

まぁ、何より重要なのは対象が子供だってところ。なんだかんだで頭の悪い私でも、相手が子供であれば成功の目はあると思ったんだ。

フフフ………ここまで私にとってやりやすい要素があるなんて、まさに私のための作戦と言えるよね。


だから………


「おねーちゃん………助けて………」


私は現在、学校………というか、私くらいのそれなりに時間があって頭のいいエルフが個々につくことから考えて、どちらかと言えば塾の方が近い………でちょっと他より頭が良いと目される少年(ショタ)に足し算を教えていた。

いやー、驚いたね。結構頭が悪いからすぐに追い抜かされると思っていたのに意外とこの里で私より頭の良いエルフが居ないなんて。

だからこうしてちょっと頭の良い少年(ショタ)に計算を教えられるんだけどね。

そんなことを考えつつ、教えている少年………もといアルカくんに近付き、後ろから彼の詰まっているところを見てみる。


「はいはい、どこで詰まってるのー?」


私は彼がどこで詰まっているのかを確認する。

えーと………あ、これ2ケタ+2ケタから2ケタ+3ケタに問題が変化して計算しきれなくなっているのね。可愛い。

昔2ケタの計算ですら躓きまくっていた私が言えた話じゃないけど、可愛い。

というかアルカくん普通に可愛いし絶対カッコよくなると思うから息子さんを私にくださいアルカ君のお母さ………


ハッ、私は何を口走って………いやまだギリギリ口走ってなかったね。言葉にする直前で踏みとどまっていたね。

まぁとりあえずくだらないことを考えるのはやめて、真面目にアルカ君をサポートしようじゃないか。

この場合はどんなことをすれば良いのかな………前に勝城が言っていた知識を信じるなら、人に教える時は答えではなく答え方を教えてあげた方が良いって言ってたけど、ここまで簡単な問題だとむしろ暗算で出来ちゃうことが多いからやり方が分かんないんだよなぁ。逆に。

あ、でも『極端に年下の奴に教える時は自分が当たり前だと思って使っているものを教えてみるのもいい』とも言ってたな。

つまり私が普段足し算を………それこそ7ケタとか桁数の多いするときに使っているものは?

考えろ、これはアルカくんと言う今のところ私が唯一落とせるかもしれない可能性を秘めた少年のためなんだ。

限界を超えて考えればきっと思いつくはず………


………あれ?そういや私筆算教えたっけ?

筆算、つまり小1だか小2辺りで習ってそのあと延々と使い続ける割と便利なあの計算法………教えたっけ?

少し記憶を漁ってみる。

彼に教え始めたのはつい数ヶ月前くらいで………んでもって、その間に教えたのは簡単な1ケタ同士の計算から2ケタ同士の計算までとさほど難しくないエルフ語の基本、あと最低限の植物知識(森に近いどころか森の中にある里に住むエルフにとってとても重要)………あ、やばい。

アルカくんがそこそこ頭良くて2ケタ同士の計算の時に筆算が必要なかったせいで完全に失念していたよ………

これは完全に私が悪いね。うん。

あぁ………今思うと日本の教育なんちゃらがいかに凄いものだったかが分かるよね………誰かちょっと持ってきておくれよ。アルカくんに最適な教え方なんてわからないよ………


………まぁ、ひとまず沈んだり現代日本の凄さを思い知るのはここまでにしてアルカくんに筆算を教えることにしようか。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


そして、わずか数十分後。

アルカくんは筆算を完璧に習得してしまった。

いやぁ、うん、これはとんでもないね。教え方が悪いとかいうレベルじゃないくらいに酷い私の指導で健全に習得するとか、どこの天才よ?

ここの天才だけど。

それにしても天才ってすごいよね。

私はそもそもの覚えが悪いから話にならないだろうけど、あの地味に頭の良い勝城でさえ数日かけて覚えた筆算をレベルの低い私の指導で覚えるとか、とんでもない。

しかもだよ?今はなんと3ケタどころか12ケタまで行っちゃってるんだよ。

12ケタっていうと………10億くらいかな?

何故そこまでやっているのかよく分からないけど凄いぜアルカくん!小学生の当時とても優れた教育なんちゃらのカリキュ………カリキュ………カリキュレーター?による指導であっても筆算を中々覚えられなかった私の数百倍は凄いんだよ!

流石私の教え子だね!私は特に何もやっていないけれど!


いやー、なんというか誇らしい気分だよ。私が何か行ったのではなくただただアルカくんがすごいだけなんだけれど、やはり誇らしい………自分で言っててとても虚しい気分だけどね。

ただ、これだけは迷いなく、かつ間違いなく言えるよ。

アルカくんはただ天才なだけじゃないんだ。

天才的な才能+乗り越えたときの達成感が好き

という2つの特徴の驚異的な組み合わせを産まれながら持っているんだ。


しかしそれは良い面だけじゃなくて………


「できたよおねーちゃん!」


問題解くたびに楽しそうに見せてくるアルカくんが可愛すぎてもうこのままだと色々業の深い沼にどっぷり嵌ってしまいそうになるんだよね………

それが(私の計画的に)よろしくない面なのだ。

………間違っても好感度を低下させるようなことをしないようにしないと。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ