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目覚めると美女


 ルゴス伯爵領で彼女の名を知らぬ者はいない。


 領主の娘であるということもその名を轟かすのに一役買っているが一番は彼女に付きまとう悪評だろう。


 紅茶が不味いといって屋敷のメイドをクビにしたとか、庭の花の香りが気に入らないから火の魔術で焼き尽くしたとか、気に入らない護衛の騎士を叩きのめして治癒院送りにしたとか・・・


 「関わってはいけない相手」


 それがルゴス伯爵領での彼女の扱いである、物語に書かれるならば彼女は恐らく「悪役」であろう。


 だが自分には関係ないと思っていた、私はしがない冒険者であり、そも貴族と接点を持つことなど無いし、相対するのは人間ではなく魔物だ、偶には盗賊などを相手にすることもあったが進んで関わったことはないし関わるつもりも無い。


 貴族というのは自分には関わりのない者達である、というのが私の認識だったのだ。


 今、こうして鏡に映る美しい女を見るまでは。


 今、過剰なまでの装飾や眼がチカチカするような宝飾品の並ぶ部屋を見るまでは。


 今、仕立ての良い侍女服に身を包んだ女が部屋に入ってくるまでは。




 「お嬢様、朝食の準備が出来ておりますが、お部屋でお召し上がりになりますか?」


 オジョウサマ?それは誰のことだ一体、と思ったが鏡に映り私を見返しているのは紛れも無く「お嬢様」だ。


 「すまないが私の名を言ってみてくれないか」


 昔読んだ大衆小説には俺の名を言ってみろ!などという巨漢の悪人がいたが、口調こそ違うものの私がこんな台詞を口にする日が来るとは思ってもみなかった。


 「ロザリア・ソル・ルゴス様で御座います、お嬢様」


 そうか、これが、この鏡に映る女が、かの有名な『カラミティ・ローズ』か、確かに大層美しい、その名の通り唇は薔薇のように紅く、肌は吸い付きたくなるように瑞々しい、絶世の美女というのはこういう者のことを言うのだろう。


 だが、これはどういうことだろうか・・・、私はまかり間違っても伯爵令嬢ではないし、そもそも女ではなかったはずだ。


 とりあえず現状把握、現状把握が大事だ、それは迅速にかつ確実にせねばならない。


 まずは侍女と思われる女に話を聞かねばならないが、たしか朝食がどうとか言っていた、ここで彼女をあまり長く引き止めるのは良くないだろう、せめて朝食を持ってこさせ、なおかつ二人きりで暫くいても怪しまれないようにするべきだ。


 「とりあえず朝食はここに運んできてくれ、それと運んできたら少し話がしたい、いいかな?」


 「畏まりました、お嬢様」


 侍女が部屋から出ると軽く息をつく、恐らく、奇跡でも起きていない限り私は相当に怪しまれているだろう、一般的な令嬢は私のような喋り方はしないだろうし、貴族とはもっと尊大で高慢で、とにかく偉そうな感じなはずだ、まぁあくまでイメージだ、本当は違うかもしれないが十中八九怪しまれているだろう。


 とにかくまずはこの場を乗り切らねばならない、そしてもう一つ。



 私は探さなくてはならない



 恐らく、この領内にいる「平民冒険者ウェイン」という人物を。



 ローズの体に「入っている」私と同じように、ウェインの体にはローズの精神が「入っている」筈なのだから。





試し書き、そんなに長編にはならないかな・・・、短くもならないかもだけど、

結局は気分ってことだな!

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