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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

愛情表現

作者: ミヤビ

私には彼がいる。

私の彼はいま、目の前にいる。

私は彼が大好きだ。

私は彼が大好きでしょうがない。


ちょっと猫背ぎみにあぐらをかいて座ってる彼を横目で見る。

それに気付いた彼が煙草を取ろうとした手を止めて私の方を向く。

左の眉を上げてちょっとはにかんだ彼のその顔が愛おしい。

古着屋で買ったヨレヨレのTシャツの袖口をつまんで引っ張る。

13cmくらい距離が縮まった彼の唇目指して顔を近づけて「なんでもないよっ」って言ってキスをする。

ほんのりとメンソールの香りがした。


「よいしょっ」って小さくつぶやいて立ち上がる。

洗い物をしてまだ水滴の残ってる食器置きから包丁を持ち取る。

また汚れちゃうからあとで洗わないと。

ちょっと猫背ぎみにあぐらをかいて座ってる彼の後ろ姿をキッチンから見る。

花束を抱えるようにして包丁を持つ。

フローリングがペタペタと音を立てるごとに彼との距離が近くなる。

彼のすぐ後ろまできて、私はしゃがむ。

そのまま彼に抱き着くように体重をかけて背中に包丁を突き刺す。

彼から流れる血に温もりを感じた。

目を見開いた顔で彼が私を見る。

彼が不安そうにしてるときに私が言うことは決まってる。

「ねえ、大好きだよ」


私には彼がいる。

私の彼はいま、目の前にいる。

私は彼が大好きだ。

私は彼が大好きでしょうがない。

だから殺すの。


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