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6/10

4話

えーっと……

遅くなってすいませんんんん!

ほんとうはだいぶ書けてたんですけど、どこで切るか迷ってたら……

…………

……嘘です。はい。本当は艦これを始めてずっとやってたからです

ま、まあ、物語スタート!

(しろ)。そろそろ起きてくれ」

「……ん……ああ、優斗(ゆうと)か。どうした?」

「どうしたじゃない。7時になったから起きないと遅刻するぞ」


 優斗は現在の時間が表示されている時計の画面を、上体を起こして眠たげに目をこすっている白に見せる。


「……ん、分かった」

「よし、なら顔を洗いに行って来い。リビングにみんないるからな」


 眠りそうになるのを堪えながらも頷いたことを確認した優斗は寝るなよ。と言って部屋から出て行く。

 残された白はのそのそとベッドから降り、一度伸びをしてから部屋を出て階段を降り、顔を洗うために洗面所へと向かう。


「…………」


 顔を洗い、ふと、白は鏡に映る自身の黒髪へと目を向ける。しばらくそのままじっと見ていたが、目を外し、タオルで顔についている水滴を拭う。

 2回ほどうがいをして口の中を綺麗にしたあと、リビングからただよういい匂いにつられるようにして、まだ眠気が残っているのかフラフラとした足取りで向かう。


「……みんな、おはよ」

「おはよう、白ちゃん」

「もうご飯できてるよ~」

「おはよう。白」

「お、意外と早かったな」


 香織(かおり)(さくら)(あおい)、優斗の順で言葉を交わしていく。

 4人はすでに制服を着ており、パジャマの姿でいるのは白だけだった。


「……眠い」


 そう呟きながらもイスに座り、テーブルに用意されている朝食のトーストを食べ始める。


「……みんなはもう食べたの?」

「俺と葵は家で。香織さんと桜さんはさっき食べ終えたところだ」


 ゆっくりと少しずつ朝食を食べ進めていく白。すでに朝食を食べ終えている4人は(くく)()家に置いてあるマイカップで牛乳やコーヒー。お茶に水などを注いでそれらを飲みながらのんびりとしている。

 コーヒー牛乳を飲んでいた白がコップから口を少し離し、ボソッと呟く。


「……昨日メールした件、大丈夫?」


 白が4人を見回すと、嬉しそうに笑いながら頷き返す。


「まあ、本人がダメって言ったらそれで終わりなんだけど」

「いやいや、そこは許可とっておけよ」

「今日の帰りにでも聞いてみるよ」


 そう言って朝食を食べ終えた白はイスから立ち上がり、空になった皿を流しにおいて、着替えるために自身の部屋へと戻る。


☆☆☆


「そろそろ行こうか」

「ん? いつもより早くないか?」


 着替えを終え、カバンを肩にかけてリビングに戻ってきた白がそう言うと、葵と話をしていた優斗が反応した。

 他の3人もどうしたのかと白に目を向ける。


「いや、さ。昨日エレナに一緒に行くって約束したから。玄関前に集合って話」

「あ、そう言えばそうだった!」


 約束をしたときに一緒にいた桜が声を上げる。


「なるほどな。なら先に行って待ってなきゃな」


 時計の針は7時40分を指していた。

 優斗が流しに置いてあった皿とコップを素早く洗う。そして4人はリビングの隅に置いてあったカバンを手に取る。


「いつからか知らないけど、エレナはもう待ってるよ」

「それ、早く言おうよ!」

「いや、だって気付いたの着替えているときだったし」


 ゆっくりと歩きながら玄関に向かっていた4人は、白の一言で慌てて玄関に向かうが、それでも白は自身のペースでゆっくりと玄関へと足を向ける。


「あ、みなさん。おはようございます」


 慌てて靴を履いて玄関を出た4人をエレナが笑顔で迎える。


「エレナちゃんおはよう! ……じゃなくて! 待たせてごめんね!」

「おはようエレナ! 待たせてごめん!」

「おはよ~エレナちゃん。待たせてごめんね~」

「待たせてすまない、エレナ。おはよう」


 4人から挨拶と謝罪を一気にされたエレナは両手をワタワタと振る。


「い、いえ! 私が早く来て待っていただけなので気にしないでください! それと、昨日はありがとうございました!」


 そして頭を下げ、お礼を言う。


「おはよ。エレナ」

「あ……おはようございます。白さん。……先輩の方がいいですか? みなさんも」

「エレナの呼びやすい方でいいよ。さて、行こうか」


 後からゆっくりと来た白によってその場は流れ、6人は学校に向けて歩き出す。


「……あの、白さん」

「ん? どうした?」

「い、いえ……やっぱり何でもないです」


 後方を歩く白にエレナが振り返って声をかける。声をかけられた白はエレナに目を向けるが、エレナは白が手に持つ”それ”に目をやるだけで首を横に振る。


「んー、やっぱり気になっちゃう?」

「……はい」


 遠慮して聞いてこなかったエレナに苦笑いしながら触れにくいであろう話題を月から振る。それを申し訳なさそうな顔をしながらも素直に頷くエレナ。

 白はそれに関して気にした様子もなく、少し歩みを速めて桜の隣からエレナの隣に移動して話し始める。


「俺ね、生まれたときから肌が弱くて。今も日焼け止めを塗っているんだよ。だけどそれでも足りないから日傘これが必要なの」

「……あれ? 昨日は日傘、差していなかったですよね?」


 エレナは顎に人差し指を当てて昨日のことを思い返す。


「そんなどうでもいいこと、よく憶えていたね。……昨日も本当は日傘が必要だったんだけど、日光浴が好きだから1日だけ特別に許可を貰ったんだ」

「そうだったんですか。……あ、危ないですよ」

「ん、ありがと」


 道の端を歩いていた白が電柱にぶつかりそうになるのを、エレナが白の腕を引くことによって回避する。


「……もしかして、目が悪いんですか?」

「少しだけね。気が向いたときにはメガネかけているけど」

「さっきみたいに歩いててぶつかりそうになったりとかよくあることなんですか?」


 エレナは前を歩く優斗たちに尋ねる。


「まー、いつもこの5人は一緒に歩いているからな。基本は俺か葵が月の隣を歩いていて、助けているって形かな」

「私と優斗は本来、家は反対方向にあるから下校時はたまに私たちはいないときがあるんだが、そのときは桜さんか香織さんのどちらかが一緒にいるからね。月が1人で外を歩いていることはないな。……最近だと白がぶつかったことってそんなにないかな?」

「いや、今朝方に頭を壁にぶつけた」

「白さんってドジっ子さんだったんですね」

「……まあ、そうだね」

「そういえば、学校に着いたらどうしたらいいですか?」


 悲しそうに微笑む白の表情に首をかしげながらも次の話題に移すエレナ。


「新一年生は外にクラス分けと学校の地図が貼ってあるからそれを頼りに自分に割り当てられた教室に行って、後は先生の指示に従う、かな?」

「私たちは校舎内に貼ってあるからそこで別行動になるな」


 白がまた少し歩く早さを遅くし、後ろに下がるのと入れ替わるように葵も歩みを遅くしてエレナの隣に立ち、先程の質問に答える。


「あ、そう言えばエレナ」

「はい、何でしょう?」


 一通り葵からの説明が終わったところで白が後ろからエレナに声をかける。


「今日はどの学年も午前中で終わるから、みんなで一緒に帰ろう。行きと帰りは景色が違って分からないかも知れないから。……余計なお世話だったら別にいいけど」

「いえ! 凄く嬉しいです!」

「そうか。それじゃ、学校に着いたらどこに集合か場所を教えるよ」

「はい!」


 そんなことを話しているうちに白たちのほかにも制服を着た生徒たちがちらほらとおり、遠くのほうに校門が見える。


「終わったらここに集合で」


 白は校門に入って右手にある桜の木を指差す。


「はい、分かりました」

「クラス分けと校内の地図はあそこに貼ってあるから。じゃ、また放課後に」


 エレナが離れ、クラス分けの紙が貼ってある場所へと向かう。そこは他の新一年生たちが自分の名前を見つけるのに苦戦しているのかたむろっているため、黒髪、地毛か分からないが茶髪の集団の中に綺麗な金髪のエレナはものすごく目立っていた。


「エレナは1人で大丈夫だろうか?」

「俺も心配だな。エレナがどこにいるか一目で分かるし、周りの反応を見てみるに、良い意味でも悪い意味でも目立っているな。……ここにいる王子様もな」


 優斗の言ったとおり、エレナがたむろっている中に入ったことで周りから視線を集めていた。だが、その視線も羨ましいや綺麗などといった目線だけでなく、嫉妬などの負の感情が込められた視線も混ざっている。そんな視線に慣れているのかエレナは気にせずに自分の名前を探している。

 その集団の中にはエレナに視線を向けずに自分の名前を探しているものもごく少数いるが、その他の者たちは白へと目を向けていた。

 そして今も、新一年生が校門に入ってくると、紙が貼ってあるところで目立っているエレナよりも先に日傘を差している白へと目が向いている。

 高2、高3の人たちは見慣れているために顔見知りだと軽く挨拶などをして行ってしまうが、見慣れていない新一年生たちは好奇の目を向けていた。


「……2人とも、悪いね」

「いつものことさ」

「そうだ。気にする必要は無い」


 そんな視線から遮るように葵と優斗が白を庇うように移動する。


「そろそろ行こうか」

「そうだね。……あ、エレナが携帯を持っているんだったらメアドとか交換しておけばよかったかもな」

「今からでも俺が聞いてくるよ。白たちは先に行っててくれ」


 いつまでもここに突っ立っていても意味が無いので、自分たちも教室へと移動しようとしたとき、ふと白が前に出そうとしていた足を止め、再びエレナのほうを向いて漏らす。

 それを優斗が即実行に移す。カバンを葵に預け、エレナのほうへと歩いていく。


「それじゃ私たちは先に行っていようか」


 白たちはエレナのことを優斗に任せ、下駄箱へと向かい、靴を履き替える。そして白たちはクラス分けの紙が貼ってある場所へと向かう。そこには先程のような新一年生みたいに生徒がたむろっているわけではなく、1人の女子生徒が立っている。


「おはよう、美花みか

「おはよう、白さん。葵さん。桜さん。香織さん」


 白が挨拶をすると、美花と呼ばれた女子生徒はニッコリと微笑みながら澄んだ綺麗な声で挨拶を返す。そして首をかしげながら。


「優斗さんの姿が見えないけれど、どうしたの?」


 と白へ尋ねる。


「ああ、優斗はちょっと俺の頼みごとを引き受けてくれている。すぐに追いつくと思うよ」

「分かった。白さん、葵さんに優斗さんは今年も私と一緒。4組よ。よろしくね」

「よろしく頼む。美花」


 白は手に持っている日傘で床を軽く叩きながら答える。それに納得した美花は紙を見ずに3人のクラスを言い当てる。


「桜さんと香織さんの2人もまた一緒のクラスで2組ですね」

「ありがとう、美花ちゃん。また一緒に遊ぼうね」

「はい、桜さん」

「ありがとう、美花。また後でな」

「うん、また後で」


 またも紙を見ないで桜と香織、2人がどのクラスなのかを言い当てる美花。

 そのことに対して白たちは驚いた様子を見せずに会話を続け、手を振って美花と別れ、教室へと向かう。


「相変わらず、美花ちゃんはすごいね~」

「そうだね。瞬間記憶能力だっけ?」

「たしかそんな名前だったよね~」


 階段を白のペースに合わせてゆっくりと上っていく。


「また一緒のクラスになれてよかった」

「ん~? 白ちゃんは美花ちゃんに気があるのかな~?」

「そうなの白ちゃん!?」

「あ、危ないですよ桜さん!」


 白が漏らした言葉を香織がからかい、それを真に受けた桜が階段の途中だというのに白に近づいていき肩を掴み、揺さぶる。それを慌てて葵が止める。


「桜姉さん、俺を殺す気か。……香織の言ったことは桜姉さんをからかっただけだよ。俺はそういった意味で言ったんわけじゃない」


 葵によって桜の手から逃れた白は少し距離をとり、ジト目を香織に向けながら答える。

 そのことに桜はホッとし、白からジト目を向けられている香織はニッコリ微笑むだけ。


「……まだこんなとこにいたのか」

「お、優斗。早かったな」

「いや、お前らが遅いんだと思うんだが」

「まあ、細かいことは気にするな」


 エレナに携帯のメアドを聞きに行っていた優斗が追いつき、白たちと合流する。

 今度は葵からカバンを受け取った優斗を先頭に教室へと向かう。

 階段を上りきったところで、教室がもう一つ上の階にある桜、香織と別れる白たち。


「おーっす、おはよー」

「おはよ~」

「おはよう」


 教室に入ると、すでに来ていたクラスメイトたちから挨拶をされる。


「おはよ」

「おはよう、みんな」

「おはー」


 白たちも軽く挨拶を返していき、自分の席の場所が書かれている紙が貼ってある黒板へと向かう。そして各々席を確認し、カバンを自分の席に置いた葵と優斗は白の座る真ん中の一番後ろの席へと近づいていく。


「あと10分あるが……何かするか?」

「10分しかないのか。今日は少しゆっくりしすぎたようだな」

「まあ、間に合ったんだからいいじゃないか」


 イスに座って肘をついてボーっとしている白をよそに2人で話し始める。

 白は少しの間そうして2人のことを見ていたが、ふと口を開く。


「今日の夕食は俺が作ろうと思う」

「「…………え?」」


 話していた2人は話を止め、驚いた顔で白へと目を向ける。それからすぐに心配そうな表情へと変わる。


「エレナの歓迎会をやろうと思って。……ってか歓迎会については昨日、メールで……送ってないか。手伝うって話だけか」

「いや、歓迎会をやるのはいいんだが……大丈夫、なのか?」

「んー、今日は調子がいいから。たぶん、もつ」

「月がそう言うなら私は構わないが……誰かと一緒にだぞ?」

「分かってる」


 そこでチャイムが鳴り、席を離れて話をしていた葵や優斗、クラスメイトたちは自身の席へと戻っていく。

 そして教室にいた全員が席に座ると同時に教室の扉が開いて誰かが入ってくる。

 担任となる先生は前情報がなく、今このときになってようやく知ることが出来るため、一名しろを除いて全員が目を向ける。


「えっと……なんかごめん。私で」


 教室に入ってきたのは、さっきまで下で誰がどのクラスになったのかを教えていた美花だった。チャイムが鳴ったので戻ってきたのだ。

 彼女は残念そうな顔をしているクラスメイトたちに申し訳なさそうな顔をして一度頭を下げ、席に座る。

 美花が席についたと同時にまた教室の扉が開く。

 そして今度こそ本当に担任となる先生が入ってくる。


「おっはよーみんな! 今日も元気かい? 私はねー……ものっそい元気だよ!!」


 教壇に立つなり大きな声で話し始める女性。

 彼女の名前は花咲はなさきすず

 背は170センチ。可愛いというよりも綺麗、かっこいいなどが似合う顔立ちで、生徒のみんなからは鈴先生。すーちゃん(ごく少数)などと呼ばれて慕われている。

 そんな慕われている先生である彼女がハイテンションなのにも関わらず、それと反比例するかのように生徒たちの顔には冷や汗が浮かび、先程まで担任が誰か、といったワクワクや元気がない。


「あれあれ~? みんなー! 元気~?」

「「「「「…………」」」」」


 高身長で見た目もいい女性の痛々しい姿にみんなは目を逸らし、黙り込む。これが綺麗やカッコいいでなく、可愛らしい顔立ちで、背ももう少し引くかったのならばまだマシだったのかもしれない。


「……すーちゃん、またダメだった?」


 葵と優斗が席に戻ったとき、机に伏せて寝ていた白が上体を起こして地雷を踏みに行く。

 クラスメイトたちが『お前、何やってんだよ!?』と顔に出しながら白のことを見るが、当の本人はのんきにあくびをしている。


「……また……ダメ、だった?」


 白が言ったことを繰り返し呟き、俯いてしまった鈴。そのまま白の下へと歩いてゆく。

 それを見たクラスメイトたちは『ああ……終わったな』と心の中で白に合掌をする。


「…………」

「…………」


 白の下まできたが、俯いたまま黙っている。

 しばらくそのままでいたが、いきなり顔を上げて白に抱きつく。


「白ちゃぁぁぁぁん! どーしてダメだったの! 私の何がいけなかったのー!!」


 鈴は白の腹にしがみつき、そのまま泣きながら愚痴を言い始める。白はそんな彼女の頭を優しく撫でながら一言。


「残念美人だからじゃない?」

「…………」

「…………」

「…………」


 ピタッと泣き止み、白の腹に顔を押し付けたまま動かなくなる鈴。

 そんな彼女の様子を見てさらに怯えるクラスメイトたち。


「やっぱりそうなんだぁぁ!」


 3分とカップ麺が出来るほどの時間が経った頃。鈴が顔を上げて白の目を真っ直ぐに見つめる。

 普段、日常を過ごす上で3分ほどなんてあっという間に過ぎていき、長いとなんて感じないが、白を除くクラスメイトたちは緊張からかその3分という時間がとてつもないほどに長く感じていた。

 再び止まっていた時が動き出したとき、最悪の事態がなく、クラスメイトたちはホッとため息を漏らす。


「もう。こうなった私には白ちゃんしかいないの! 18になって卒業するまで私待ってるから!」

「……教師が何を言っているのさ。落ち着いて」

「あうっ!」


 目元を赤く腫らしながら混乱している鈴を白はデコピンをして意識をしっかりとさせ、カバンから緑茶の入ったペットボトルを取り出して手渡す。


「ほら、これ飲んで落ち着いて」

「……うん。ありがと」


 素直に頷いて白から少しはなれ、ペットボトルを受け取って少しずつ飲んでいく。


「もう大丈夫?」

「大丈夫よ。ごめんなさいね、情けない姿を見せて」

「今に始まったことじゃないし、気にしなくていいよ」

「それはそれで私、教師としてどうなのかしらね……。みんなもごめんなさいね、迷惑かけて。今から今日と明日以降の日程について簡単に説明するわ」


 先程までの痛々しい姿はどこへいったのか、背筋をピンと伸ばし、ポケットからハンカチを取り出して涙を拭った顔は凛としており、出来る大人の雰囲気をかもし出している。

 教壇に立ち、黒板の半分を使って今日の日程について詳しく書いていき、もう半分には向こう3日分の予定を大まかに書いていく。


「みんなならこれを読めば説明なんて要らないわよね? これでこのホームルームの時間にやることが全部終わったのだけれど……特に何もやることがないから教室から出ないなら好きに過ごしていていいわよ」


 それを聞いたクラスメイトたちの反応は、先程までの怯えていた様子とは大違いでいる。口々に『ありがとー!』や『先生でよかった!』などと言っている。

 そして各々、鈴が言ったように好き勝手にし始める。

 ある者は携帯ゲームを始め、またある者は机に伏せて寝に入る。また別の者はカバンから本を取り出して読み始め、ある者はイスを持って移動して仲の良い友達と話を始める。


「そういや白。エレナの歓迎会に出す料理を作るのはいいんだが、何を作るか決まっているのか?」

「んー、今はまだ何も決まっていないよ。帰り、エレナに会ったら好きな食べ物を聞いてそれを中心に合うものを適当に作っていく、って感じかな? 後はエレナの母親とかも出来れば参加して欲しいからいつ帰ってくるのかを聞いたりして調整したりするつもり」

「なるほどな」


 イスを持って白の席に葵と優斗が集まる。

 白の考えに優斗は納得したように頷く。


「それなら後で私から桜さんと香織さんに連絡を入れておこう」

「サンキュー」

「あと、俺が料理をするときは香織についてもらうことにするよ。桜姉さん、葵、優斗はエレナに拒否されなかったら手伝いに行ってくれ」

「ああ、分かった。確かにそのほうが効率がいいもんな」

「それも含めて連絡しておこう」


 粗方あらかた、午後にどうするか話がまとまったところでタイミングよくチャイムが鳴る。


「それじゃ出席番号順に並んで講堂のほうに移動ね」


 ゲームをしていたは人すぐに電源を落とし、寝ていた人は起き、本を読んでいた人は栞を挟み、話をしていた人は話を止め、鈴に言われたとおりにすぐさま出席番号順へと並び、ゆっくりと講堂に向かい始める。

 先頭の子だけでなく、みんながゆっくりと歩いているのは、全部ではないが白についての事情を聞いているため、一番後ろを歩いている白のペースに合わせているからである。

 もちろん、隣には優斗が並んで歩き、白の補助をしている。




 チャイムが鳴ってからすぐに教室を出て講堂へと向かっていたのに、途中で後から来たほかのクラスに追い抜かれたりとして、たどり着いたのは始業式が始まる時間ギリギリになってからだった。

 すでに他のクラス、学年の子たちは座っており、近くに座っている人と話をしている。

 席は一番前が1年生の1組。2列目が1年生の2組。3列目が3組といった順で座っている。

 一学年は10クラスまであり、白たちは2年4組だから14列目のところに座る。

 そして白たちが座ったとき、タイミングよくチャイムが鳴り、始業式が始まる。

5話もあと少しで実は書き終わるけど、いつになることやら…

できるだけ間を空けないように頑張ります

…異世界ものの方も書き進めなあかん…

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