3話
学校行って疲れてまったくと言っていいほど書けなかった…
今回は約九千文字と長くなったけど…気にすんな!
物語スタート!
公園からの帰り道。
白を先頭に歩いているが、その中に会話はない。
だけどその沈黙に耐え切れず、桜は立ち止まってエレナを指差しながら声を出す。
「白ちゃん! さっき、頬にキスされてそのままスルーされてたけどこの子誰!?」
「ん? 知らない」
立ち止まり振り返った白が首をかしげながらそう返す。
「それに、英語で話していたときに白じゃなくてホワイトって言われたし」
「それだよ白!」
「え? 何が?」
「いつの間に英語の勉強したんだよ! いつも赤点ギリギリの白が!」
いきなり大きな声を出した優斗に驚きながらも、顔を向ける。
「オオ! ソウダッタデスカ。それはごめんナサイ」
「ああ、別に気にしてないよ。それと、英語で話すのはあれっきりだから」
「ワかりました!」
「いやいやいや! だからどうして白が英語話せるんだって!」
エレナと会話を始める白に再び大きな声を出して顔を向けさせる優斗。
「優斗君。もう少し声、抑えようか~?」
「あ、はい。すいません」
香織に注意され、肩を落とす優斗。
「それで白。どうして英語を話せるのだ?」
葵が優斗に変わり、話を進める。
「ああ、それはあれだ。源爺さんと将棋をするとき、英語で話すからかな? たぶんそれで覚えた。8年間ずっとそうだったから、話すぐらいなら。書くとなると単語とか分からないから点数に繋がらないんじゃない?」
「なるほど」
納得したように腕を組んで頷く葵。優斗、香織、エレナも納得していたが、一人だけまだ納得いかない人がいる。
「白ちゃんが英語を話せる話せないなんてどうでもいいの!」
「いや、そこは大事だと思うのだが……」
「葵ちゃんシャラップ! 問題は白ちゃんの頬にキスしたことだよ!」
「……それこそどうでもいいような」
葵は桜に聞こえないように小さな声で漏らしたつもりだったが、それは不運にも桜の耳に届いてしまう。
そのため、葵は桜に両肩を掴まれて揺さぶられている。
「どうでもよくなんてないよ! ないよね! ね!」
「あ、あぁぁ。さ、桜さん! わ、分かりました! だから離してぇぇ!」
開放された葵、揺さぶっていた桜は共にはぁはぁと息を乱している。
それを飽きれた目で見る優斗とニコニコと笑みを浮かべている香織。興味なさげにあくびをしている白たちに囲まれてどうしたらいいか分からずにおろおろするエレナ。
もともと白たちは美男美少女の集まりで、近所や学校でも有名で華やかだったが、金髪の可愛らしい女の子が加わったことにより、さらに華やかとなっている。そのため、通行人からの視線を集めるが、状況が状況のため、引きつった笑みを浮かべて通り過ぎていく。
☆☆☆
あの後、白が1人で先に歩いていることに気づいた5人が慌てて後を走って追いかけてたため、あの場は収まった。
だが、葵と優斗から疑問の声が。
「……なあ、白。ここどこだ?」
「ん? 日本だよ?」
「いや、そういうことじゃなくてだな……」
「私たちはどこに向かっているのだ?」
「家でしょ?」
二人して「んん?」と首をかしげる。
そんな二人を見てエレナも不安そうな顔をしている。
「二人が分からないのも無理ないかな~? 通ったこと無いもんね~。こっちの道は複雑だけど近いんだよ~。いつもは真っ直ぐの道、通ってるから~」
「「ああ、なるほど」」
「どうして俺を信用してくれないのかね」
「何も言わずに黙って歩くからだよ!」
香織の助言により、ホッと息を漏らす3人。
白は納得いかないようでムっとした顔をする。
「あの、それで道は合っているのですか?」
「うん、合っているよ。やっぱり、普通に日本語話せるんだね」
「えっ…………あ」
桜そう言われ、ハッと口を手で押さえるエレナ。
それを見て白を除く4人は笑みを浮かべる。
「別に無理しなくてもいいんだよ?」
「あの……どうして分かったのですか?」
「なんとなく、かな?」
「なんとなく……ですか」
「まあ、そうだな。特にこれといって理由もないし」
「そんなことよりも着いたよ」
「そんなことでもあるんだけどね……ああ、ここに繋がっているのか」
「エレナの家はあそこだな」
家を出て公園に向かった道と反対から帰ってきた白たち。
九々里家と向かいにある家の表札にはフィナーシャと書かれていた。
「みなさん、ありがとうございます!」
「気にしなくていいよ~。私たちも帰るところだったから~」
「いつでも遊びに来ていいからね!」
「はい!」
手を振って桜、香織、優斗、葵と順番に家の中へと入っていくが、白はそのまま玄関先で立ち止まっている。
「白ちゃん、どうしたの?」
「いつでもが早速きたよ」
「へ?」
立ち止まったまま入ってこない白を心配して見にきた桜は白が指差すほうへと目を向ける。そこには目を潤ませ、玄関先で白たちを見ているエレナの姿があった。
「どんまい」
「うぅ……お邪魔しますぅ」
白はエレナを呼び、家へと招き入れてリビングへと案内する。
リビングではすでに優斗たちがお菓子の袋を開けてのんびりとしていた。
「お? どうした?」
「家の鍵、お母さんが持っているんです……」
「ああ……なるほどね」
「だから優斗。紙とペン、あとテープを持ってきてくれ」
「はいよっと」
イスから立ち上がり、白に言われたものをテーブルの上に揃えていく。
「内容は……そうだな。これでいいか」
白がペンのキャップを取り、紙に文字を書き込んでいく。
書き終えたものを5人が見てみるとそこには。
『大事な娘、エレナ・フィナーシャは預かった! 返して欲しければ迎えの家である九々里家に来い! もちろん、警察に通報なんてするなよ? どうなるか分からないからな! 九々里』
と書かれていた。
「それじゃ優斗。これ、貼ってきてくれ」
「アホか!」
真剣な顔をして紙を渡そうとしてくる白の頭を優斗は遠慮なく叩く。そして葵が白の手から紙を取り、細かく破ってゴミ箱へと捨てて一言。
「アホか」
「何も間違ったことは書いていないと思うけど……」
白は葵に言われたことを無視し、頭をさすりながら納得のいかない顔をする。
桜、香織。そして誘拐された(笑)エレナは苦笑を浮かべている。
「確かに間違ったことは書いていないと思うが……表現に問題があるんだよ」
「そうか。なら優斗。書いて貼ってきてくれ」
「ああ」
頷いて紙に文字を書いていく優斗。
そこには丁寧な文字で。
『お宅の娘さんは預かった! 返して欲しければ警察に通報せずに九々里家に来い!』
と書かれていた。
「それじゃ、貼ってくる!」
そう言って紙を持ち、イスから立ち上がろうとした優斗の頭を、白は取り出した大きなハリセンで思いっきり叩く。
「っっ!」
声にならない悲鳴をあげてイスから転がり落ち、のた打ち回る優斗。
横に落ちた紙を葵が拾い、白い目をしながら破いて優斗の上に撒いていく。
「痛い! ものすごく頭が痛い! ってか、なんでそんなものが家にあるんだよ!」
「これか? この休みで暇だったときに作った」
「アホか! アホなのか!」
「ん? もう一発いくか?」
「いえ! もう大丈夫です!」
「貼ってきたよ~。って何してるの~?」
白と優斗、葵がふざけていた間に、香織が玄関に貼ってきていた。
そして今、戻ってきたとき、白に向かって優斗が頭を押さえながら下げている光景を見て首をかしげる。
「これね、俺が休みの間に暇だったとき作って、テーブルの下に備えておいたやつ」
「面白いね~」
「香織さん……まったく面白くないっす」
ニコニコと微笑む香織に項垂れる優斗。飽きれる葵と桜。興味を失った白。
いつもの光景だが、いまこの場にはもう一人いる。エレナは居心地が悪そうにキョロキョロと目を動かしている。
「そういえば自己紹介。してなかったな」
それを白がお菓子に手を伸ばしながら見つけ輪の中に加えるように話を振る。
「俺の名前は白。九々里白だ」
「私は白の姉で九々里桜」
「村雨葵だ。よろしく頼む」
「人氏優斗。よろしくな」
「月永香織だよ~。仲良くしてね~」
「わ、私はエレナ・フィナーシャです! 今日から仲良くしてください!」
わざわざイスから立ち上がり、白たちに頭を下げるエレナ。
それを微笑ましげに見る4人。白はすでにお菓子へと手を伸ばしている。
「エレナちゃんも一緒にお菓子食べよ!」
「あ、ありがとうございます」
桜に勧められてイスに座り、お菓子に手を伸ばす。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
リビングにただお菓子を食べる音だけが響く。誰も話さずにお菓子を食べ進めていく。
エレナは緊張して。優斗たち4人は何を話したらいいか分からずにいる。
「誰か何でもいいから話せばいいじゃん」
白はお菓子を食べる手を止め、10分もの静寂を打ち破る。
5人は食べる手を止め……ずに白へと目を向ける。
「んー……俺たちは丘が丘高校って名前の高校に通っているんだけど、エレナもそこに?」
「え、は、はい。そうです」
エレナはお菓子に伸ばしていた手を止め、頷く。
「新入生? 転校生?」
「えっと、今年から高校生なので新入生のほうですね」
「なるほど……俺たちにとって初めての後輩か。よし、ここにどんな不可能も可能にする男がいる。困ったことがあったら頼るといいよ」
そう言って白は向かいに座ってお菓子を食べている優斗を指差す。
「人を指差すな白」
「それと、エレナを助けた葵は物理的な意味で力が強いから、力仕事とかを頼むといい。あ、俺の隣でお菓子を食べている桜姉さんも力があるから人手が必要だったら声をかけるといいよ」
優斗の注意を無視して話を続け、そのまま指を優斗の隣に座って丁寧に両手でコップを持ち、ジュースを飲んでいる葵に向けたあと、自分の隣に座っている桜を指差す。
「ならば白は何をやってくれるのだ?」
両手でコップを持ったまま葵にジト目を向けられながら問いかけられる。
「俺? 別に頼ってくれてもいいけど、余計なことしかしないと思うよ?」
「……すまない。聞いた私がバカだった」
「何を今更なことを」
「……少しは努力してくれてもいいんだぞ?」
「いや、頑張るとか無理」
そこで状況が悪くなったと感じた白はお菓子に手を伸ばす。
「あの、ありがとうございます」
「気にしなくていいよ。俺は何もやらないし。でも、優斗や葵らに頼る前にクラスで友達作ってそっちを先に頼りなよ? それでも困っているのなら優斗らも喜んで我が身を差し出して助けると思うからさ」
「はい!」
口に入れていたお菓子を飲み込み、一言付け足してから違うお菓子に手を伸ばす。
「なあ優斗。クレープ作って」
「急にどうしたんだよ」
じっと見てくる白に合わせて優斗も手を止め、白の目を見る。
「食べたくなった」
「ダメだよ、白ちゃん」
「だとさ。また今度」
「ヤダ。今がいい」
白は目の前にあったお菓子をどかしてスペースを作り、テーブルの上に上半身を凭れかかせ、優斗にクレープを作るように頼む。が、優斗が答える前に桜が首を横に振ったため、優斗も首を横に振るしかない。
「あの、月永さん。一氏さんの作るクレープは美味しいのですか?」
「呼ぶ時は香織でいいよ~。あと、他のみんなも~。私たちもエレナちゃんって呼ぶから~。それと質問の答えはね~、とっても美味しいだよ~」
「そ、そんなに美味しいのですか……」
生唾を飲み込みながらエレナは優斗に目を向ける。
桜にダメと言われてもなお白にクレープを作るように頼まれていた優斗はエレナの視線に気がつき、これ幸いにと白を無視してエレナのほうを向く。
「ごめん、エレナ。白が無理だからまた今度にしてくれ。白が大丈夫な日で作るって話になったら呼ぶからさ」
「は、はい。楽しみに待ってます」
「じゃあ今日は~私と一緒にこれを食べよ~。とっても美味しいよ~」
色々と思うところがあったエレナだったが、申し訳なさそうに誤る優斗に何も聞かず、今回は諦めるようにしたようだ。
すると香織からお菓子の袋を差し出される。お菓子の口がエレナに向いているため、エレナはそれが何のお菓子か分からない。だけどお菓子ならば手に取り、すでに食べている。だけど差し出されたお菓子に手を伸ばせないでいた。
もう1人の自分というのか、第六感が働いているのか。はたまた本能か。エレナはなぜかこのお菓子を食べてはいけない気がしているのである。
「ん~? いらないの~?」
「い、いえ! いただきます!」
香織にそう言われて反射的に袋へと手を伸ばし、お菓子を手に取る。
そしてエレナは手に取ったお菓子を見て冷や汗を浮かべる。
なぜなら、そのお菓子はとてつもなく赤かった。ただただ赤かったのだ。
よくよく思い返してみると、誰も香織の持っているお菓子に手を伸ばすどころか触れさえもしなかったことをエレナは今更ながらに気がつく。
「とっても美味しいよ~」
手に取ったお菓子……もとい、赤い物体を手に固まっているエレナをよそに、香織はパクパクと食べていく。
それを見たエレナは、『あれ? 本当は辛くなく、美味しいんじゃ?』と思ってしまった。
そしてついに手に取ったそれを口へと運んでいき…………。
「けほっけほっ! か、かはいかはい! みふ! はへはみふ!」
むせた。
そしてすぐさま優斗から牛乳の入っているコップを受け取り、一気に飲み干す。
「うぅぅ……まだ、舌がひりひりします……」
「大丈夫~?」
3杯目を飲み干し、ようやく落ち着きを取り戻したエレナ。
頬を膨らませて白たちに目を向けている。
「どうして教えてくれなかったんですか……。口の中が大変なことになりましたよ……」
「え~。こんなに美味しいのに~?」
「香織さんが辛党なのはよく理解しました……」
コップの縁を指でなぞりながらエレナは香織が手に持っているお菓子の袋に目を向け、顔を歪ませる。
その袋にはでかでかと、『辛さ100倍! いままでにない体験をあなたに!』なんて書いてあるのを見てしまったからだ。
「白。俺たちはそろそろ帰るよ」
「あ、なら私も途中まで一緒だし、ついでに送ってってもらうね」
「分かった」
時計は5時を少し過ぎていた。
優斗と葵、香織がイスから立ち上がり、帰り支度を始める。
「あ、エレナちゃんはお母さんが帰ってくるまで家でのんびりしてていいからね」
「ありがとうございます」
「それじゃ~エレナちゃん。また明日、学校で~」
「またなエレナ。明日また会おう」
「明日ね、エレナちゃん」
「また明日、です。みなさん」
香織、葵、優斗の順でリビングから出て行く前に一言、エレナに声をかけていく。
「じゃあな、白。小母さんによろしく言っといてくれ」
「今日はすまなかったな白。でも、楽しかったぞ。また明日な」
「おやすみ~白ちゃん~」
「おやすみ、みんな。また遊びに来いよ……って言わなくても来るか」
3人を玄関のところで見送った白はリビングに戻る。
そこでは桜とエレナの2人が協力してテーブルを片付けていた。
と言っても、もともと3人が帰るときにみんなである程度は片付けていたため、ゴミを捨てるのとテーブルを拭くだけなのだが。
「さて、エレナ」
「は、はい」
「明日の朝は一緒に学校行くぞ」
「そうだね白ちゃん。登下校の道のり、教えてあげなくちゃだね」
「あ、ありがとうございます!」
キッチンにゴミを捨てて戻ってきた桜が白の後にそう続けるとテーブルを拭いていたエレナは手を止め、2人に頭を下げる。
「今日1日、とても楽しかったです!」
「それはよかった」
「はい! 今日引っ越してきたばかりで、不安だらけだったんですけど、白さんたちに会えてよかったです!」
下げていた頭をあげ、エレナは満面の笑みを浮かべる。
「…………なあ、エレナ」
「はい、なんでしょう?」
「今日、引っ越してきたんだよな」
「そう、ですけど……」
「荷解きとか終わっているのか?」
「…………さあ、なんのことか私にはさっぱり分からないですね」
それを聞いて白はため息をついてソファーに座り、桜は苦笑を浮かべる。
ソファーに背を預けながら携帯を手に取り、誰かにメールを打ち始める。
「まあ、いいや。明日は午前だけで午後は暇だ。頑張れ」
「……はい」
「な、なんとかなるよ! エレナちゃん!」
肩を落とすエレナを元気付けようと桜が声をかけるがあまり効果は見られない。
そこでチャイムが鳴る。
「母さん……が帰ってくるにはまだ早いか。エレナの母さんか?」
「私が行ってくるよ」
桜がリビングから出て行き、玄関へと向かう。
リビングには帰り支度を始めるエレナとソファーの上で横になった白が残る。
「白さん。今日は本当にありがとうございました」
「何回目だか……。お礼は俺だけじゃなくて他のみんなにも明日、また言っておけよ」
「はい。ですけど、白さんに一番お礼を言いたいんです」
「そりゃなんでまた」
「白さんたちと出会って、他のみなさんも気を使ってくれているのは分かっていました。ですけど、いま思い返してみても白さんが一番私に、みんなに気を使ってくれていると感じたから、ですかね?」
「最後が疑問で終わらなかったらよかったのにな。……俺にそんな気はまったく無かったんだがな。ただやりたいように。生きたいように生きただけだよ」
「ふふっ……そうですね」
エレナが笑ったところで桜と後ろに誰かを連れて戻ってきた。
「白ちゃんにお礼を言いたいって」
「そうか」
白は返事をしてソファーの上で横になっていた体を起こし、桜の後ろに立っている人に目を向ける。
その人は女性で、エレナと同じ金髪だった。……まあ、親子だからそうなのだが。そしてまだ20代と言っても通じるほどの容姿に見事としか言いようの無いほどのプロポーション。
「…………」
そんな人を目の前にしたら同性だって言葉を発しなく……。
「エレナのお母さんですか。俺は九々里白。そこにいる桜の弟です」
「は、初めまして。私はエレナの母親のミオラ・フィナーシャです。今日はエレナが大変お世話になったようで」
なるはずなのに、白が平然と挨拶をしたため、ミオラは驚いたが、すぐに姿勢をただし、頭を下げる。
「気にしないでいいよ。俺たちも楽しかったですし、これから近所付き合いで話す機会も多くなると思うし」
「そう言ってもらえると嬉しいです。今後ともよろしくお願いします」
そして初対面で年上にもかかわらず、白は友達に接するように話している。
その様子に気分を悪くした様子も無いミオラ。むしろ、少し嬉しそうにしている。
「それじゃエレナ。明日の朝7時50分に家の前集合ね」
「分かりました!」
「また明日ね、エレナちゃん」
「はい! お邪魔しました」
白も立ち上がり、桜と一緒にフィナーシャ親子を見送る。といっても家はすぐ目の前なのだが。
「それじゃ桜姉さん。俺は風呂に入ってもう寝るよ」
「おやすみ、白ちゃん。お母さんとお父さんのご飯は私が作っておくから」
「いや、もともと俺、”作れないし”」
「”作れない”じゃなくて、面倒だから”作らない”、でしょ?」
「どっちでもいいって……それじゃ風呂入ってくる」
白は着替えを取りに一度、自室へ。桜は1時間もしないうちに返ってくる親と自分の夕食の準備をするためにキッチンへと向かう。
☆☆☆
「いい人たちに出会えてよかったわね、エレナ」
「うん! とても楽しかったよ!」
夜8時。
今、風呂上りのエレナと、エレナの髪をミオラが丁寧に梳かしている2人が今日あったことについて話していた。
「それでね! 葵さんが絡まれていたところを颯爽と駆けつけて助けてくれたの! 私はそのまま道を聞こうと思っていたんだけど、すぐにどこかに向かって行っちゃったから慌てて追いかけて……。そこで白さんたちに会ったの!」
主に話しているのはエレナだけだが、ミオラはそれを嬉しそうに聞いている。
「家がたまたま近かったこともあって、案内してくれることになって、家に着いたけど鍵を忘れていてなりゆきで白さんの家に上がることになって」
「鍵のことについてはごめんなさい。すっかり、渡すのを忘れていたの」
「ううん。結果論だけど、ママが私に鍵を渡し忘れた。私がママから鍵を受け取っておくのを忘れた。そのおかげでみんなともっと仲良くなれたんだもん!」
後ろを振り返り、ミオラに満面の笑みを見せるエレナ。
その笑顔につられてミオラの顔にも笑顔が浮かぶ。
「今日引っ越したばかりなのに5人も友達を作って……ほんと、良かった」
「……うん」
だけど2人の表情が少し曇るが、すぐに気持ちを切り替えてまた明るくなり、話を続ける。
フィナーシャ家ではそうして夜が更けていく。
今日明日で書けたらいいなぁ…
次は異世界ヤンデレ物語のほう書くから!