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2話

英訳は調べたまんまを使ったからおかしいかもしれないけど…まあ、気にするな!

ってことで物語スタート!

「んで、ビリになったんは誰?」

「私が作ったのだが……どうだ?」


 時計の針は11時30分を指している。

 白の視線の先にある机の上にはカップラーメンが。……カップラーメンが。


「どうもなにも、お湯を沸かして3分とかそんなんじゃないか」

「ざ、材料がなかったから仕方ないじゃないか!?」

「買いに行くなりなんなり出来るだろう。子供じゃあるまいし。…………お財布兼荷物持ちもここにいるじゃないか」

「お財布言うな。荷物持ちならやるけどさ」


 何か言っている葵をスルーし、白は優斗の頭に手を置くが、その手は払いのけられる。

 そんな中。香織と桜は話しに加わらず、出来上がったカップ麺のフタをはがして食べ始めている。


「私は別に気にしないよ? だって美味しいじゃん。カップラーメン」

「白ちゃん。みんなも。麺、伸びちゃうよ?」


 香織は相変わらずニコニコとしていながら麺を啜り、桜も久しぶりに食べるインスタントものを、頬に手まであてて美味しそうに食べている。


「あ、葵。俺のと変えてくれ」

「別にいいが……白は醤油しか食べられないんだったっけ?」

「最近は豚骨と豚骨醤油もいけるけど、醤油が一番だね」


 白は座ったところにあった味噌味のカップ麺と葵が食べようとしていた醤油味のカップ麺を取り替えてもらう。

 ちなみに、桜が塩味。優斗が豚骨で香織が食べているのは激辛豚キムチだ。


「カップ麺、久しぶりに食べた気がするな」

「ああ。いつもは手料理だもんな」

「まあ、体に悪いし。たまにはこういったのも悪くないが」


 それぞれ感想を言いながらも食べ進めていく。

 半分ほど食べたところで白が。


「これ食べたら家に戻るとして、その後どうする? 午後も暇だし」


 みんなも箸を止め、考える。

 この春休み、宿題やることはやった。みんなで遊びにも行った。

 そして今がある。


「ブラブラとみんなで散歩、してみない?」

「んー、たまにはそういうのもいいか」

「おやつとか持って」

「どこかの公園で昼寝でもして」

「ありだね」


 香織の一言で午後にやることが決まった。

 そこからの行動は早く……なかった。

 まだ、カップの中には半分ほど残っている。みんなは慌てずゆっくりと一定回数噛みながら食べ進めていく。そして食べ終えた後もすぐには動かず、10分ほどお茶を飲みながら雑談をして休憩を入れ、香織の支度を待っている間に優斗が洗い物を終え、香織の家を出る頃には12時30分になっていた。


「1時間でこれなら十分か」

「そうだな。白がマイペースだからいつもはもう少し遅いが」

「まるで俺が悪いみたいじゃないか」

「「まあ、そうだな」」


 優斗と葵に口をそろえて言われ、白は優斗の背中で頬を少し膨らませる。

 白のカバン、制服を持って出たはいいが、靴を持っていくのを忘れていたのだ。

 なので優斗が背負っている。


「今日の3人は抜けてるね~。春休みにネジが緩んだのかな~?」


 いつもポワポワとしている香織に言われ、3人はなんとも言いがたい表情をするが、事実なので何も言えない。


「俺は楽だからいいんだけど。むしろ優斗。散歩もこのままおんぶして行ってくれよ」

「さすがにそれは嫌だぞ」

「なら、葵は?」

「優斗がダメなら私という発想に驚きなのだが……」

「優斗とどっこいどっこいでしょ?」

「確かにそうだが……さすがに、なあ?」


 葵が腕を組んだことにより、大きすぎず小さすぎない。程よい大きさをした胸が強調される。だが、ここにはそんなことがあっても不躾な目を向けるものは……。


「……どこを見ている」

「あ~、優斗君。葵ちゃんの胸見てた~」

「お、男ならしょうがないって。……なあ?」


 葵は桜の陰に隠れ、香織がニコニコしながら緊張感の無い声を出し、優斗に指を指す。

 優斗は背負っている白に同意を求めるが、目を閉じている。


「あ、こら白。寝たふりとかして逃げるなよ!」

「うるさい。元はといえば優斗が悪いんだから自分でなんとかしろ」


 白は右目だけを開け、言うだけ言って再び目を閉じる。


「さすがにこれはキツイって……あ、着いた! 準備をしなきゃな!」


 優斗はこれ幸いにと家へと走って向かう。

 その姿を女性3人はやれやれといった感じで苦笑を漏らしながら、少し足を速めて着いていく。


☆☆☆


「それで、どこに向かって歩いて行こうか」


 パジャマからズボンにシャツ、ぼうし付きのパーカーに着替えた白。他の面々も寒くない格好をしている。

 今日は日差しもあって暖かいが、夕方ごろになるとやっぱり冷える。そのためだ。


「ふふふ。白ちゃん、早いよ~」

「白も何か持ったらどうだ?」


 靴を履いて先に家から出ていた白の後を香織と葵が追って出てくる。

 香織の手にも葵の肩にも手提げ袋がある。

 袋の中には昨日、葵や優斗らが持ってきたお菓子が入っている。


「別に持ってもいいけど……落としても知らないよ?」

「聞いた私がバカだったな。白はそういう奴だった」

「そうだぞ葵。白は自分からやる以外はとことんダメだからな」

「む、二人とも。白ちゃんはやれば出来る子なんだから!」


 優斗と桜も手提げ袋を持っている。袋の中身は優斗が飲み物。桜はコップ、もしものための折り畳み傘が人数分入っている。

 葵は白の答えにため息をつきながら頭を横に振り、後ろから優斗が笑いながら同意して、鍵をかけている桜がとどめをさす。


「桜姉さんが一番酷い」

「なんで!? ……あ、待ってよ~」


 白の一言に鍵をかけ終えた桜が凄い勢いで振り向くが、当の本人はすでに歩き出している。

 その後を4人は何も言わずについていく。


「なあ白。どこに向かってるんだ?」

「……ん? 分かんない」


 ポケットに手を突っ込んでいる白を先頭に進み続けること数分。

 優斗がふと尋ねる。

 それに対し白は立ち止まって振り返り、首をかしげながらそう答える。


「あ、葵。グミ頂戴」


 そして葵の下に行き、袋からグミのお菓子を取り出して食べ始める。


「まあ、もともとどこに行くかとか話してなかったこともあるけどさ……」

「これはこれで私、楽しいと思うよ~?」

「ああ。私も楽しいぞ」


 香織と桜にそう言われて、優斗は何も言えなくなってしまう。

 なんだかんだ言いながらも優斗は優斗で楽しんでいる。


「それに、こっちに行けば面倒に会わなくてすむ気がしたから」

「それが一番の理由か」

「でも白ちゃん。そんなこと言うとね、フラグって言って何か面倒なことに遭っちゃうことがあるかもしれないよ?」

「……そうしたら優斗と葵で解決してくれるさ」


 グミを片手にどこか遠くの空に目を向ける白。

 そんな白の手からグミを奪う優斗。


「あ、俺のグミ」

「お前だけのじゃ無いわ! ……って、もう入ってねぇ!」


 袋を開け、グミを食べようと取り出そうとしたが、中には何も入っていなかった。

 優斗がそんなことをしている間に白は手に持っていた最後のグミを香織に食べさせていた。


「ん~。グミ、美味しいね~」

「ね、ねえ白ちゃん。お姉ちゃんの分は?」

「今ので最後だよ?」

「……うぅぅ」

「さ、桜。なんかごめんね?」


 手で顔を覆って泣く桜を香織がなだめている。すぐ近くでは葵が優斗を落ち着かせており、その原因である白はその光景を見てあくびをし、眠たげに目を擦っている。

 だが、いまこの場にいるのは白たちだけではない。

 昼過ぎだが白たちから少し離れたところに公園があり、主婦や子供たちもいる。

 つまりは、周りから視線を集めている。ということだ。


「みんな、周りから見られているけど……恥ずかしくないの?」

「「お前が言うな!?」」


 そう呟いた白に葵と優斗から鋭いツッコミが入る。

 2人の……いや、桜と香織も入れて4人の頬は赤くなっている。

 そして白を置いて4人はさっさと歩いて行ってしまう。


「あ、待ってよ」


 白は慌てて追いかけようとしてが、面倒になったのか一歩目を踏み出す前から走るのを止め、先程までと同じようにゆっくりとしたペースで歩いていく。


☆☆☆


 草がいい感じに伸びていて、木なども鬱陶しくないようにと考えられて植えられているそこそこ大きな公園に白たちはいる。

 少し傾斜になっている場所。そこで白はパーカーを脱いで下に敷き、寝転がって規則正しい寝息をたてている。


「白ちゃん。気持ちよさそうに寝ているね~」

「1日に何時間寝れば気が済むのだろうか……」

「俺には分からん」

「私も分からないかな。……お菓子、食べようか」


 優斗たち4人は近くにシートを敷いてお菓子を広げている。


「ん~。やっぱり外に出て正解だったね~」

「そうだね。家に引きこもってばかりじゃやっぱりダメね。さて、何やる?」

「今度は大富豪やろうよ~」


 桜は袋からトランプを取り出し、シャッフルしていく。


「いいですね。白がいないからいい勝負になりそうですし」

「そうだよな~。いまそこで気持ちよさそうに寝ているあいつの強さはおかしいって」


 その気持ちよさそうに寝ている白を見て、4人は合わせたわけでもないのに同じタイミングで笑い出す。

 その笑い声に白は身動みじろぎをしたため、口を押さえて笑うのを止める。

 しばらくしてからまた、規則正しい寝息が聞こえてきて4人はホッとする。


「始めようか」


 4人は順番を決めるためにじゃんけんをしようとしたが、それは叶わなかった。

 なぜなら、公園に悲鳴に近い女性の声が響き渡ったために。

 そちらのほうを見てみると、少し離れたところで金髪の可愛らしい女の子が柄の悪い男二人に絡まれていた。


「助けに行くか」

「いや、私が行ったほうがいいだろう。優斗が行ってしまえばここには可愛い女の子が3人しかいないことになる。そうしたとき、絡まれたら面倒だ」

「自分で可愛いとか言うなよ。……まあ、でもそうだな。任せたよ」


 公園には他にも人がいるが、遠巻きに見ているだけで誰も助けようとはしなかった。

 優斗が立ち上がって助けに行こうとしたが、葵がそれを止め、自分が行くと言い出す。

 ちゃんとした説明もされ、素直に納得して座りなおす優斗。

 その顔は何かあったらすぐ行くからな。と書いてあった。

 葵はそれを見て苦笑しながら立ち上がる。


「それじゃあ、ちょっと行ってくるよ」


 靴を履いて女の子を助けるために走って向かう。

 それを見送った3人は……。


「あ~。あの男の人たち、ご愁傷様だね~」

「でも、自業自得だもんね」

「桜さんも香織さんも、葵はそんなにすぐ暴力は振るいませんって」


 などと好き勝手に言っている。


「ねえ、優斗君。あれ……」


 優斗はお菓子から視線を外し、香織の指差すほうに目を向ける。

 そこでは男2人に蹴りを入れている葵の姿が。


「……ゴリラか」


 小さくそう漏らした優斗。

 しかし本来聞こえないはずなのに、葵が凄い表情で優斗を睨む。


「う、嘘だろ……」


 男2人は這うようにして逃げていっているが葵の目には優斗しか映っていないらしく、ズンズンと足音が聞こえてきそうな勢いで戻ってくる。


「なあ優斗。誰が何だって?」

「は、はいぃっ!? 葵さんはとても可愛らしい女性です!!」


 あまりの気迫に優斗は正座をし、背筋をピシッと伸ばす。

 納得のいく答えが聞けたのか、葵は満足したように頷き、先ほどまでの様子が嘘のようだった。

 それを見て優斗は助かったとばかりに息をつく。


「だが優斗。次は無いぞ?」

「アイアイサー!」


 頭を鷲掴みにされ、脂汗を浮かべる優斗。

 葵は一度、ニッコリと優斗に微笑み、手を離す。

 そして座っていた位置に戻ろうとしたとき。


「……Excuse me」

(……すいません)

「え?」


 先程、葵が助けた可愛らしい金髪の女の子がそこにいた。


「ア……スイマセン。ちょっといいデスカ?」

「は、はい。何でしょう」


 同性である葵や香織、桜でさえも見とれるほど可愛らしい少女。異性である優斗は固まっている。

 話しかけられている葵は緊張から口調が堅くなる。


「サキホドはたすけてくれてアリガトウございます」


 そう言って頭を下げる女の子。それを見て両手をわたわたと動かして慌てる。


「と、当然のことをしたまでですから。あ、頭を上げてください」


 ゆっくりと頭を上げる女の子。

 腰まで伸びた金髪を三つ編みで一つに纏めているそれが揺れる。

 その動きにも目を奪われる葵たち。


「たすけてモラッておいてナンですけど……ココにはどうやってイけばいいデスカ?」


 申し訳なさそうな顔をしながらも、肩から提げていたカバンの中から四つ折りにされていた紙を取り出して葵に渡す。

 それを開いて中を見た葵は。


「あ、ここって白の家の目の前だ」

「オウ! しりあいのイエのちかくデスカ! ……ソレでそのシロさんというのはドナタデスカ?」


 女の子は嬉しそうに目を輝かせて手を合わせ、葵、桜、香織、優斗と順番に見ていく。


「えぇと……白はあそこで寝ている目が前髪で隠れている男の子で……」

「ソチラでしたカ!」

「あ、ちょっと!」


 女の子は寝ている白のもとへと向かう。葵が止めようとするも、女の子はすでに白の体を揺すっていた。


「スイマセン! シロさんデスカ?」

「…………誰?」

「ワタシのなまえはエレナ・フィナーシャです! じつはココにいきたいのデスが、シロさんのいえのちかくだとおしえてモラいマシタ!」


 起こされ、寝起きで不機嫌なのもお構いなしに女の子、エレナ・フィナーシャは白に尋ねる。

 それに対し、白の返答は。


「……Because it is troublesome,will you talk in English?」

(……面倒だから日本語で話してくれない?)


 流暢な英語だった。優斗たち4人は呆然としている。


「I see. I had you tell me when it was the neighborhood of the house of white when I asked it when I wanted to go to here to that person. So will you guide him?」

(分かりました。あの方にここへ行きたいと尋ねたら、白さんの家の近くだと教えてもらいました。なので案内してくれませんか?)


 白は少し考える素振りを見せ、空を見上げる。

 空はまだ明るいが日は沈みつつある。


「……Sure. Because I go home from now on.」

(……いいよ。これから帰るから)

「Thank you!」

(ありがとう!)


 エレナは白の頬に軽くキスをする。

 白は気にせずにそれを手で拭いながら起き上がり、パーカーについた土を手で払い落とす。


「みんな、帰るよ」

「あ、ああ……」

「う、うん……」

「分かった……」

「お、おう……」


 白は4人の様子に首をかしげながらも片付けの手伝いをして、エレナを加えた6人で一度、九々里家へと帰路につく。

そろそろほのぼのした気分になったから異世界ヤンデレ物語のほう、書き進めるか!

ってことでまたね〜

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