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IF LIFE   作者: 惣
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monEy&woRld&wAr

子供は大人に「お酒は体に悪いものだ」と教育されます。

では、なぜ大人はそんな悪いものを楽しそうに飲んでいるのでしょうか。

お酒や歴史にあまり詳しいとは言えない素人が描く、「想像」したお酒を飲んで楽しんだり、泣いたり。いろんな感情を吐き出すそんな大人たちの世界

をどうか楽しんでいただけたら幸いです。

・・・monEy&woRld&wAr・・・

自分らがいつから話はじめたのか、どんな話題を持ち出したから今ではこういう仲になったのかは互いに記憶にない。

それだけでなく結構な間話ているのにその結構な間が何年、何日、いや何分なのかすらおぼえてないし、互いに互いの本名を知っているわけでもなかった。

でも、二人は今夜も語り明かす。片手には、冷たいお酒。時々つまみを交えて。



自称暗殺者の男は客がまったく寄り付かない、酒飲み場を知っている。

一ビン一〇〇円という店主の頭が狂っているのかのような安すぎる酒を仕事帰りに日課、あるいは趣味として飲みに行く。

昼間は街が祭りのようにさわがしいからあまり外に出ない。

何ていうか、人が笑っている姿を見るのが嫌らしいのだ、彼は。

一人でいるほうが落ち着くのだろう。というより、自称暗殺者だから一人でいるのかもしれない。

「いらっしゃー」

めんどくさそうに、厨房から店主が迎え入れてくれた。自称暗殺者は店主に軽く目を合わせて会釈をしたあとカウンター席に座った。

「一〇パーセント、あとサラミ。こってこての油のやつ」

無造作にポケットに手を突っ込み、中から銀貨を出しながら言った。

店主はめんどくさそうに、一〇パーセントアルコールの酒とサラミを二本、もちろん油がこってこてのやつをこれもまた無造作においた。銀貨はカウンターに置いたままである。

カランカランカラン

店のドアが開く音だ。自称暗殺者はまゆをピクリと動かして、一〇パーセントアルコールの酒をグラスに注いだ。

この店に自分以外の客が来るなんて、というより自分以外に客を見たことがないから、少しだけびっくりしたのだ。

外は吹雪いているらしい。来店した男の顔はひどく赤くなっている。おまけに適当に巻かれたマフラーには少量の雪が散らばっていた。

来店した男は自称暗殺者が座っている席から右へ四つ離れた席に座った。四つ離れたといっても人が四人入りきる距離なのだけれど。

「らっしゃー」

店主はやはりめんどくさそうに来店した男へと声をかける。「おっちゃん今日もやる気ねぇのな。一〇パーセントちょーだい」と銀貨を一枚、カウンターに置いたのだが店主はやはり置いたままにするのである。

自称暗殺者は特に気にする素振りなど見せなかったのだが、どうやら来店した男はそうでもないらしく、 自称暗殺者の方へと顔を向け、ニヤニヤとした笑みを浮かべていた。

「はじめてみた」

「・・・」

「俺以外にここに来る物好き」

自称暗殺者は「それならお前も」という言葉を飲み込んだ。今は酒に夢中になりたかったから、グラスに入った酒をイッキに飲み干し、またグラスに注いだ。そしてまたイッキに酒を飲み干して注いだ。

「なあ」

来店した男は自称暗殺者に声をかけた。自称暗殺者は注いだ酒を口に入れながら、横目で来店した男をみた。

「アンタは、何してる人」

おそらく、この来店した男は自称暗殺者に職業を聞いたのであろう。自称暗殺者は少し溜めてから「@「暗殺」と答えた。

「へっ、いいね。かっけー」

来店した男は疑うこともなく、言った。グラスに注がれた酒は一度も口をつけていなかった。

「アンタは」

自称暗殺者が珍しく、声を出した。来店した男は「俺は・・・俺は軍師」と悩みの末言った。その時点で自称暗殺者は先ほどの言葉を根から信じていないことを悟ったし、自称軍師の男が軍師をしていないことを理解した。

そんな様子を見ていためんどくさがり屋の店主はさりげなく、自称暗殺者と自称軍師が置いた銀貨を二枚、手に取った。のち、客二人の背後へと投げた。二人はピクリともしない。

銀貨の行き先は、というとよくわからない。めんどくさがり屋の店主もよくわかっていない。ただ、背後へ投げただけであって理由もない。

「暗殺者さんよ」

未だ自称軍師は酒に手をつけていなかった。つけていないどころか飲む気がない様子だ。

「・・・なんだね」

グラスの酒から珍しく目を離して自称暗殺者は言った。これもまた珍しく、珍しい来客との久しい会話だからなのか、少々嬉々としている様にも見える。

「アンタ、なんでこの店知っとるんだ」

自称軍師はどこか寂しそうに、カウンターの奥を見つめていた。先ほどまでのにやにや顔はまるで姿を消し、まだ誰も踏み入れたことのない、別の世界を見つめていた。真っすぐ、見つめていた。

そんな自称軍師の顔を見て、自称軍師は理解した。

あぁ、こいつも俺と、同じような男なのだ、と。

同年代の友人とは趣味が合わない。

例えば好きな漫画や、そのキャラクター。

友人は若い世代(高校生や大学生など)。

私は二人のおじさんのやりとりが好きです。

あいまいなやり取りや、よくわからない言葉を使いこなしたり、くだらないことで笑ったりするおじさんたちが。

そんな自分が大好きなおじさんたちの様子をこれから詰め込んでいく予定です。

誤字脱字などすると思いますがなにとぞあたたかい目で見守ってくださるとうれしく思います。

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