8話:スパルタな夏休み
今日は真夏日らしい。
シャツをぱたぱたさせながらコーラを飲もうとした。
「こら! コーラはカロリー高いんだから!!」
レアはそう言って、飲もうとしていたコーラを取り上げた。
やっぱりあのしゅわしゅわ感が恋しくなる。
「えっと、ちょっとだけでも……」
「ルールを忘れたの!?」
すごい剣幕で言われたため、一瞬怯んだ。
夏休み……太る原因でもあるが、痩せる機会でもある。
そう言われて、セナに夏休みのルールを定められた。
1.お菓子、ジュースは一切禁ずる。
2.毎日、腹筋50回背筋50回腕立て50回
3.半身浴30分
などなど……。
これが10項目並ぶというスパルタぶり。
はやくも私はダウンしそうです……。
「がんばってる? あ……コーラ!!」
セナは部屋に入ってきた途端、そのコーラを指さした。
はぁ、そして一つ溜息をつく。
「ねぇ、萌花? 大切なのは強い意志だよ。意志が弱い!」
セナはいつも穏やかなのだが、この事になると少し怖い。
美しい顔立ちが怒った顔になると一層恐ろしさを増す。
二つの美しい顔に睨まれた私は隅の方に縮こまった。
「あの、その……ごめん、なさい」
言い訳が見つからず、取りあえず謝った。
やっぱり怖くて、涙目になった。
「あ……ごめん。ちょっと言い過ぎた」
「萌花ちゃん、ごめんね」
二人の顔が穏やかな顔に変わる。
私はその二人の様子に安堵の溜息をついた。
「じゃあ萌花。罰として白鳥公園3周!!」
そう言われて、その安堵感は消え去った。
白鳥公園は1周約1.5㎞もある大きい公園だ。
それを3周って…地獄だ…。
「大丈夫。僕も行くから」
セナはそう言って、にっこり微笑む。
それでもしんどさは消える事はないのに……。
渋々、白鳥公園に向かう。
「それじゃ、デート行ってらっしゃい」
そんなレアの冷やかしに反論する気にもなれなかった。