24話:スカウト
「~っ、離してください!!」
気持ち悪い。何なの、このおじさん。
その時、ごつんと何かを殴ったような音が聞こえた。
途端にこの変なおじさんは倒れ、その後ろにはセナが居た。
「萌花!! 大丈夫!?」
そう言って、私の肩を抱き寄せてくれる。
「あんたは何やってるんですか。 警察よびますよ」
驚くほど冷やかな声にびくっとなった。
するとそのおじさんはよろっと立ち上がった。
「な、何か誤解があるようですが……わ、私はこういうものでありまして」
震えた声でそのおじさんは名刺らしきものを差し出した。
私はそれを恐る恐る手に取った。
……芸能プロダクション 代表取締役
三藤 恵一
「そこの女の子ををスカウトしたいんです」
スカウト……?
って、ええーーーーーーーーーーーーーー!!
セナも驚いたように目を見開いている。
「えっと、芸能事務所のだ、代表取締役だったんですか!?」
私はそのおじ……代表さんを見た。
頭のてっぺんは少し禿げていて、歯は黄ばんでいて……。
どう見ても、不審者にしか見えなかった。
あっでもスーツ着てるか……。
しかし、その代表さんはどう見てもイメージとは違いすぎた。
「まぁ、考えといてください」
代表さんは少しお辞儀して、禿げた頭をさすりながら遠くにある大きい車に乗っていった。
本当にお偉いさんなんだ……。
ふとセナを見ると、どこか真剣な顔だった。
私と目が合うと、にっこり微笑み返してくれる。
きゅん。ギャップ萌え?
いやいや忘れてないんだからね! 今日の事。
しかし強引に手を握られると、私も忘れてしまいそうになる。
結局その手を振り払えなかった。
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「今日はごめん」
リビングでいきなり謝られた。
本当に申し訳なさそうな顔をしている。
うぅ……なんかイジめてるみたい。
「う、ううん。私もごめん。大嫌いなんか言って……。でも、何であんなこと言ったの?」
そう尋ねると、セナは顔を真っ赤にした。
怒ってるというよりも照れてる?
「いや、何でもないよ。本当に忘れて」
そう言うと、今度は気難しい顔をして言った。
「それにしても、スカウトって……萌花はどうしたいの?」
「あれ、本当なのかな? 私みたいな人が……スカウトなんて」
本当にそう。ありえないことだもん。
そう言う私にセナはにっこりと微笑みかけた。
「大丈夫。今の萌花はミスコンも優勝間違いなしの可愛さだよ。……まぁ、あんまり優勝させたくないんだけど」
「えっ?」
ぼそっとセナが言った最後の言葉はあまり聞き取れなかった。
「いや、こっちの話」
セナはごほんとわざとらしく咳をした。




