19話:好き……
「あれ、起きた?」
目が覚めると、最初の第一声はセナの声。
身体を起こすと、セナは優しく微笑んだ。
「えっと、体……大丈夫?」
「うん。もう大丈夫。ありがとう、萌花」
セナはにっこりと微笑んだ。
昨日のセナとは全然違う。あれが本当のセナなのかな……?
窓を見ると、陽が差し込んでいて……もう朝!?
「あぁ……学校は欠席にしといたから」
さらりと言うセナに目を見開いた。
何やってくれちゃってんの、コイツ!?
「今日は昨日のお詫びも兼ねて……」
また変なこと言いそう……。
「どっか行こう。映画館でもいい?」
いやいや。何勝手に話進めてんの!?
ってか、それって……。
「デートだね。萌花」
くすっとセナは笑う。
でえと?
「可愛い服着なきゃね。メイクも僕がするよ」
……はぁ。もういいや、めんどくさい。
そう言われ、されるがままにメイクされた。
「できた。次は服だね」
……はぁ。もういいや、疲れた。
そして今度は高そうな服が並ぶブティックへ……。
「これとこれ、それからこれ。この女性に試着させて」
慣れた手つきですこと。初恋の子にもこんな風にしてたのかな……。
それから、またまたされるがままに試着された。
ふわりとしたピンクのシフォンスカートに白いキャミソール。
少し高いヒールのパンプス。
「もう満足した? 疲れたんだけど……」
少し不服そうに口を尖らせてみる。
しかし、セナは私をぼうっと見つめたままだ。
「な……何?」
いぶかしげに尋ねると、セナははっとしてにっこりと笑った。
「ううん。何でもないよ。じゃあ、行こうか」
そう言って私の手を握る。
もう会計は済ませたみたいだ。早すぎ……。
って、好き勝手に私にいろいろしたくせに何にもないの……?
似合ってないかな? 私の恰好。
「あ……あのさ」
少し勇気を出して聞いてみる。
「ん? 何?」
「えっと……私、似合ってない!?」
聞いた! 偉いぞ! 私!
しかし、セナは驚いたように目を見開いた。
……やっぱり似合ってないんだ。
「……っ。似合ってるに決まってるよ! 萌花が……」
「な……何?」
萌花が……何なの?
セナがまたぼうっと私を見つめる。
「萌花が……」
そしてそっと私の耳元に顔を近づけた。
「可愛すぎるんだよ」
そっと耳元で囁かれた。
ぼんっと音を立てそうなほど真っ赤になった。
セナの頬も少し赤い。
しかし、すぐにちくりと胸が痛んだ。
私を初恋の子に重ね合わせてるだけなんだよ……。
それだけ……。
真っ直ぐセナを見つめる。
どきんと胸が音を立てた。
あれ……なんでこんなにどきどきするんだろう?
なんでこんなに胸が痛むんだろう?
なんでこんなに愛おしく感じるんだろう?
好きなの?
セナの事が好きなの?
そうなんだ……好きなんだ。
「好き……」
気づいたら口に出ていた言葉。
その言葉にセナは目を見開いた。




