1話:ブスとは付き合えない
「ごめん。俺、ブスとは付き合えない」
そう言われたのは、高2の少し肌寒い感じが残った頃。
人生の中で一大決心をして告白したのは片思い中の彼だった。
「はははっ……そうだよねー」
こみ上げてくる嗚咽や涙を抑え込んで、愛想笑いをした。
「わかってんなら、言うなよな~~」
彼も顔が引きつっているのが分かる。
はぁ、ブスなのはわかってるけどさ……。
自分はかなりのブスだ…と橘 萌花は断言できる。
目は小さくて、前髪をだらーと伸びている。
肌はぶつぶつだし、髪はねちねちしてるくせに首のあたりまでのびている。
それにかなりのデブだし短足。
だからあだ名はブス子。そのまんまだ。
……余計なこと考えるともっとしんどくなる。
ただでさえ苦しいのに…。
一つ溜息をついたと同時に笑い声が聞こえた。
「くっくっく……」
そこにはなんとも美しい美少年が立っていた。
透き通るような白い肌に茶色がかった髪。
すっと通った鼻筋、涼しげな口元。
180ぐらいありそうな長身ですらっとした手足に程よく筋肉がついている。
しかし、その整った顔は意地悪な歪んだ笑みを浮かべている。
「誰?」
「へえ、僕の事、知らないの? 僕はね……」
笑みを浮かべたまま近づいてくる。
そして私のすぐ目の前に立つと、囁く。
「セナ……っていうんだ」
ふわっと漂うバニラの香りと甘い声が耳朶をくすぐる。
「セ、ナ?」
「そう。セナ」
意地悪だった笑みが優しいものへと変わる。
「萌花……。僕が君を可愛くしてあげるよ」
優しい笑みを浮かべた謎の美少年。
私は彼をただ呆然と見つめるしかなかった。
新連載!!
胸キュンでドキドキな小説…書いてみたかったんですよね~^^
がんばって連載していくの、是非読んで下さい!!