<第一章:農家編>第9話 農家、ダンジョンに潜る
「入口が壊れてる以上、早急に攻略を始める必要がある」
協会リーダーは冷静な声でそう告げた。
リーダーの名は秋山。武器は長槍。
パーティは全部で四人。
剣と盾のタンク役ナオト、遠距離担当の水・氷属性魔法使いミズキ、バッファー兼回復役のカナ。
「今回のダンジョンはCランク。俺たちはBランクダンジョン8層まで攻略済みだから問題なし」
秋山が力強く言う。
俺はその言葉に少し安心しつつも、心のどこかで「まだまだ余裕か?」と感じていた。
パーティは迅速に攻略を開始。
9層目までは特に大きな問題なく進行。
俺は初めて生の魔法を目の当たりにした。
ミズキの放つ氷の魔法は、YouTubeで何度も見た映像よりずっと迫力があって、思わず感心してしまった。
「魔法って、本当にあるんだな……」
戦いには参加しないのかと思われていた俺だが、実はあぶれたモンスターを素手で瞬殺し続けていた。
――みんなが前に立っている間に、俺は裏方で確実に戦果を積み上げていたのだ。
しかし10層に入った途端、状況は一変した。
そこには正規のCランクボスがいた。
さらに、信じられないことに――
「ボスが2匹だと!?しかも炎竜人!? これは……Cランクどころじゃない!まさかSSSランクのダンジョンから転移してきたのか?!」
場は一気に緊迫。
秋山は顔を引き締め、パーティに指示を飛ばした。
「油断するな! これが本当の地獄の入口だ!」
俺もその場に立ち尽くしながら、深く息を吸い込んだ。
「ここからが、本当の勝負だ……」
出てきた炎竜人は水没ダンジョンから転移してきた中ボスです。
ダンジョン間の転移は本来出来ませんが、距離が近かったことと水没の危機で力を振り絞ってなんとか転移できたという設定で。
書き方が悪く、秋山が2回出てる様に見えてしまったので若干修正してます。