第8話 農家、守護る
「や、やめてよ! もう無理……」
竹刀を必死に振るうレイカは、明らかに追い詰められていた。
巨大なモンスターが一歩また一歩と迫る。
その時――
「レイカ!」
俺は全力で駆け込み、素手でモンスターの首根っこを掴んだ。
「こんなもんだ」
一気に振り払うと、モンスターは地面に叩きつけられ、動かなくなった。
「な、なにそれ……!」
レイカは驚きの目を俺に向けた。
その瞬間、レイカの身体にほのかな光が差し込み、彼女は息を整えた。
「……ステータス覚醒、だ」
彼女の瞳が輝き、身体が一回り強くなったのを俺は感じ取った。
しかし、問題はまだ終わっていない。
崩れた山から露出したダンジョンの入り口は大きく壊れており、モンスターが次々と外へ出てきていた。
「このままじゃ、村が危ない……」
俺とレイカは緊迫した空気の中、協会に通報した。
15分後、ダンジョン協会のスタッフ数名が駆けつけた。
彼らは即座にダンジョン入口の状況を確認し、緊急対応を決定する。
「入口が壊れているため、今すぐにでも攻略を開始しなければ被害が拡大します」
協会のリーダーが告げる。
そして、俺にも協力要請が届いた。
「高山さん、あなたの力が必要です。ダンジョン制圧のために力を貸してください」
俺は覚醒したステータスを改めて意識しつつ、決意を固めた。
「わかった、協力する。村を守るために全力を尽くす」
協会のスタッフは属性とランクの調査を開始する。
「属性は無し、ランクはCランク相当の通常ダンジョンと判明しました」
「ちなみに先日、水没させて全討伐したダンジョンは……SSSランクでした」
リーダーが低い声で付け加える。
「水没の際、残骸は全てダンジョン内に吸収されて解析に時間がかかっていました」
俺はその言葉に改めて身が引き締まるのを感じた。
「ならば、このダンジョンも油断できない。みんな、いくぞ」
こうして、また新たなダンジョン攻略の幕が切って落とされた。
次回、ダンジョン攻略です。