<第一章:農家編>第7話 農家、梅雨の大ピンチ!
――雨、雨、雨!
今年の梅雨は手加減なし。
天気予報は毎日「大雨注意報」ばかり。
俺はスコップを持ち出したい衝動を必死で抑えていた。
だが、今回はスキルの禁止なんて問題じゃない。
「まさか、あんなことになるなんて……!」
幼馴染のレイカの家の竹山で大きな音が轟いた。
「ドッシャーーーン!!!」
山の斜面が崩れ、地面が大きく裂けていく。
その崩壊した場所から、どこか不気味な光が漏れていた。
「な、何これ……!」
レイカは青ざめた顔で竹刀を握りしめていた。
「モンスターが……出た!」
その姿は未知数の大きさで、いかにも危険な雰囲気を放つ。
迫りくるモンスターに対して、レイカは防犯用の木刀を必死に振るいながら、後ずさりする。
「や、やめてよ! 離れてよ!」
モンスターはグルルッと低く唸り、近づいてくる。
木刀がかすかにモンスターの身体を叩いた。
「効いてる…のか?」
足が震え、逃げるべきか攻撃を続けるべきか迷うレイカ。
そんな彼女の危機に――
「レイカ!!」
俺は全力で駆けつけた。
その手にはスコップはなくても、守る覚悟だけはある。
ギリギリのところで間に合った、そんな瞬間だった。
次回、再びのダンジョン攻略です。