第11話 農家、修行に出る
炎竜人とCランクボスが土に沈んだまま動かなくなり、協会の調査員たちが慌ただしく出入りを始めた。
その中で、俺はこっそり秋山リーダーに近づく。
「……やっぱ、俺、戦い方わかってないなって思いました」
「まぁな。動きは素人そのものだった。けど、力は……化け物級だ」
褒められてるのかディスられてるのかよく分からない評価だ。
「どこかで鍛えられる場所、ないですかね」
「あるぞ。自衛隊が覚醒者向けに短期訓練をやってる。3ヶ月コースだ。基礎体術、武器、対モンスター戦法まで一通り叩き込んでくれる」
――よし、強くなる。
今度こそ、自分の力をちゃんと使いこなせるようにしてやる。
帰り道、村の入口でレイカにその話をすると、彼女は少し目を逸らしながら言った。
「……私も行くわ」
「え? いや、危ないし」
「私も村を守りたいの。それに……」
一瞬だけ言葉を詰まらせ、ほんのり頬を赤くした。
「……ほら、あんた一人じゃ心配でしょ」
ツンデレの照れ隠しは、時々やたらと破壊力がある。
――こうして、俺とレイカは村を出て、訓練校へ向かうことになった。
まだ見ぬ戦いに備えて。
そして、いつかまた現れるだろうSSSランクの脅威に、胸を張って立ち向かうために。
出発の朝、村人たちは笑いながらこう言った。
「稲刈りまでには戻ってこいよ!」
……農家としての義務を忘れるな、ってことらしい。
とりあえず第一章までまとめて投稿させていただきました。
続く第二章は訓練編です。
よろしくお願いします。