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第1話 農家、貯水池で世界を救う(予定はなかった)

梅雨。

雨。

そして雨。

おまけにカエルの合唱が5.1chサラウンドで流れている。


俺――高山拓海、22歳。

農家の長男であり、山口県の片田舎で「田んぼの水番」をしている青年である。

農業用貯水池の管理は農協から任されており、水位の調整も俺の仕事のひとつだ。

都会の人に説明すると、「ダムのミニ版のバルブ係」みたいなもんだ。かっこよくないけど。


「んー、今日も雨だな……貯水池、そろそろ溢れるなぁ」

長靴をズボズボ言わせながら取水口まで行き、ハンドルをぐるりと回す。

ジャーっと水が放水路に流れ込む――はずが。


……ゴゴゴゴゴ。


「え? なんか吸い込まれてる音しない?」


次の瞬間、俺の目の前で取水口の奥が、ありえないほど暗くぽっかりと口を開けた。

黒い穴の中へ、水がドバドバと吸い込まれていく。

あれは……え、ちょっと待って。ニュースで見たやつじゃない?


そう。ダンジョンである。


「いやいやいや、なんで貯水池の中にできてんだよ! 水中ダンジョンとか聞いてないぞ!」


俺は慌てて農協に電話をかけた。

『はい、農業協同組合です』

「あ、すみません、高山です。取水口の奥に……あの、なんか……ダンジョンできちゃったみたいで……」

『あー……うちで対応できる案件じゃないですねー。国に言ってください』

「軽いな!? いや、今めっちゃ水吸ってるんですよ!?」

『雨続きですし、まあ、そのうち満水になるよりはいいんじゃないですか』

「ダンジョンに貯水池の水全部流していい案件なんですか!?」


こうして、俺は世界で初めて「農業用貯水池でダンジョンを水攻めにする」という前人未到の偉業を成し遂げることになる。

……この時はまだ、それが“SSSランクダンジョン”だなんて知る由もなかった。

初投稿です!

不慣れで至らぬ点もありますが、楽しんでもらえると幸いです^^

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