第14話:それぞれ女性陣の想い
さて、自室に当たに加わった手紙や年賀状たちを読んでいくと、僕のほんの少しの後悔の解消の結果、様々な心理的影響がそれぞれの人たちにあり、中には「2回目は告白ないの!?」と謎に嘆く人も出てくる始末であった。
息子の聡を加え、タイムワープで過去をいじった悪影響がどんなものだったのか分析し、レポートしなければなるまい。
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綾子さん:小学生からの幼馴染。初恋の相手。
「あれ?両片想いだったのね、うふふ。…元気でな、身体に気をつけて…だなんて言ってくれて。本当に嬉しかったわ。今からでも遅くないかも、よ」
恵子さん:中学時代からの恋人。ファーストキスの相手。
「あのね違うわよ!貴方のお手紙、私と別れたがってるように見えたから怒ってビリビリに破いたの。あなたに頬をぶたれて、ただの誤読、先入観だったって知ったから、凄く後悔していたわ」
「私達お終いなのって本気で落ち込んだよ。でも貴方が帰省した際にカフェに誘ってくれて、逢うことができて良かった。結婚を約束していた彼がいなければ、、、もう一度あなたと……」
坂本さん:大学時代に暴行され亡くなる筈だった娘。
「貴方は、すごく大人びた男の子でした。当時に彼氏がいなければ、もちろん告白…ゴホン…ご好意を受けていたと思います。だって、私も入学当時に素敵な男性だなって想っていたから」
「あの時、声をかけて頂いて本当に嬉しかったんです。ビリヤード楽しかった。もっとデートしたかったな。救ってくださって、ありがとうございました」
加奈子さん:大学時代の恋人。初めての体験。
「貴方、本当にひどかったわ。私から告白したからだけど別れようと考えることが出来ずに、貴方の言葉の暴力を我慢し続けた。長い間、最後の別れが心に突き刺さったままだったし」
「それと!私の悲しむ顔が好きだっただなんて倒錯してるし、嬉しいやら悲しいやら。貴方の部屋が火事で燃える夢を観たぐらい恨んでしまったわ」
「でもね、思い出せば初めての経験を色々と教えてくれたよね。お嬢様育ちで世間知らずだった私に。私も対等な目線でお付き合いしていれば未来が変わっていたかもって反省していたの。今の貴方は正直に言うと魅力的よ」
ボンちゃん:社会人の同僚。初めてだったらしい。
「黙ってたけど、あなた、会社にね、あなたの高校時代の後輩の女の子から電話があったのよ。大学ではなくて高校時代のよ。連絡が取れなくなったって」
「それを知って浮気じゃないかしら?と疑ってから、あなたに対するイメージが悪く固定されちゃってね、あなたに接する私の態度も悪くなっていったの」
「それは申し訳なかったと思うけど、2回目の際、告白してくれなかったよね?ものすごくショックで泣いたわよ。(実は私、記憶が残ってるの)」
「ねーねー、どうして告白なかったのよ。ネーネーネー!」
元妻さん
「ごめん、ほんとゴメンナサイ。私のことは忘れて下さい。思い出さないで!」
妻さま
「ほんと私より先に死なないでね。約束したでしょ、ラブラブのまま長生きするって。夕飯、何にする?」
聡くん:息子、長男
「ちょっと、父さん。絵美ちゃんやハレさんが急に親しく距離感が近くなっているんですけど!」
「そりゃ嬉しいけどさ、俺の記憶のない間に何したんだよ」
「妹の由衣は、頭を撫でられるのはイヤーッ、ハグなんてキモい!とか意味不明なセリフを吐いてるし!泣くよ、オレ泣くよ」
絵美ちゃん:聡の幼馴染
「また今度、恋人つなぎをしちゃおう。フフ、聡ったら、大人の雰囲気を出していながら器用に子供っぽいんだから。キュンとしちゃうじゃない」
「長い付き合いなんだからさ、少し関係が進んでも良いかなって想っているんだよ。そんなことを考えている私も可愛い。いやーっ!(ベット上でバタバタ煩いと母親から叱られる)」
ハルちゃん:聡の隣席ゆるふわクラスメイト
「聡くんのお父さん、お家にお邪魔して初めてお会いしたらビックリ。ナイスミドルだったわ」
「聡くんも格好いいけど、お父さんは飛び抜けてるわ。知的で鼻が高くて髪の毛もフサフサ。年齢もお若く見えるわ。渋い、いぶし銀ね」
「これが大人の魅力ってやつよね?優しく抱きしめられて、むふ~。イヤだわ、暖かく包まれたい。素敵」
由衣ちゃん:娘、長女
「はぁ……、ウチって大丈夫かしら。お父さん大好き」
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後悔の解消で絡んだ女性たちからの好意的な手紙や年賀状などが感動の渦を巻き起こしていた。ひょっとしてモテ期が来たのか?嬉しいじゃないか。でも妻帯者だよ僕は。
ハッとして後ろを振り向くが妻のチョップは見当たらなかった。良かった。
否、違う。当時に後悔した選択をしなければ、もっと好い青春が送れたのではなかろうか、という命題。しかし後悔があってこそ大人として成長できたのだという必要性もある。
失恋や誹謗中傷などの人を死へいざなう事もありうる挫折。結局、僕が想定した後悔の原因と、彼女たちの実際の理由とは若干異なっていた。
いずれにせよタイムリープは僕を救ってくれた。
娘の頭でも撫でてこよう。