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第11話 聡、待望の復活

 うっかり忘れていたが今日は授業参観がある。


 僕はいつも通りに授業を受けていたが、妻が強い視線で僕の後頭部を刺している。ほんと刺してる。


 また男子たちはお行儀良くしている。全員だ。


 どうも妻の美しさと高潔な雰囲気、輝くオーラが飛び抜けていて、男子はこんな女性と将来結婚したい云々と考えているよう。


 且つ女子はTVで観ている女優さんがリアルで見てくれているという事で心はドキドキ、アクセル全開。


 今まで何回とあった妻が出席する授業参観の一幕である。数学の問題で質問を指名されたので、黒板に向かってサクサクと回答をカリカリした。


 先生が「正解」と褒めてくれ、僕は余裕の雰囲気で自席へと戻る。座る際に、ハルさんの方をチラリと見て、目があえば微笑みを加える。


 ハルさんがこそっと「数学苦手じゃなかったかしら?尊敬だわ」と小さな声でこぼす。「勉強したからね」と僕。


 好い感じだ。


 それはさておき、今夜あたりに、いよいよ妻が過去にタイムリープし、当時の僕に出会って叱咤激励、タイムトラベルを続けさせず止めさせる。


 自然と時間軸を元に戻すようにする実行の作戦日だ。


 その結果、僕は肉体共々復活し、息子の聡の魂は僕が使っている肉体に戻り、ハッピーエンドを迎えることになる。いや、あくまで予定だけれども。


 僕は、娘の由衣とハグが出来るし、頭なでなでも遠慮なく出来る。夫婦の営みも。


 聡は右隣のハルちゃんや幼馴染の絵美ちゃんと仲良しこよし、恋人つなぎに加えてハグもしちゃえなどと連想。


 娘の由衣は「好きな男性がいる」とか言っていたのでそれを追求しよう。お父さんは「娘をやれん」などとは言わないよ。でも家に連れて来てね。吟味するから。


 これらのことから・・・今夜の作戦が失敗するとは想定していない。


★★★★★


 結果から言えば、妻のタイムリープは成功し、過去の僕に将来に発生する危険性を指摘して理解させ作業は終了。


 空間がぐにゃりと曲がって暗転し、明るく戻ったとなったら僕がおじさんに戻っており、聡の肉体には短期間の記憶喪失になった彼自身の魂が入り込んで、全てが目出度しめでたしと相成った。


 最後はあっけないもので、元に戻った時の妻と僕が抱き合って喜び、聡が倒れて魂が入ったら寝ぼけた雰囲気で「何日間ぼく寝てた?」と第一声。


 僕が生き返ったことで困ったのが焼却してしまった以前の僕の遺体。なにせ死んだ本人が生きて存在しているのでDNA鑑定で一致しているし司法解剖でもあらゆる法医学鑑定記述が僕と同一人物を示していた。


 生き返ると肉体までも戻るという科学者泣かせの結果を生み出してしまったので後世の学者に考察と解明を任せようと放り投げた。


 次の週末には、トラブルの最中に優しく接してくれた絵美ちゃんとハルちゃんを家に呼び、皆で感謝パーティを開こうと決まった。


 絵美ちゃんとハルちゃんは「???」という感じだったが、折れそうな僕の心を助けてくれた優しさには本人の知らない以上の感謝の気持ちを持っているので、受け入れて頂きたい。


 聡にも恋人候補としてもっと仲良くなって欲しいしね。



 娘の由衣に聞いてみた。


「好きな男の子がいるんだって?」


「お父さん、なに、お兄ちゃんから聞いたの?」


「うん。で同級生なのか、先輩なのか、同じ学校なのか」


「ちょっとぉ、そんなこと言えないよ」


「誰でもいいが、一途な相手を選ぶんだぞ。幸せになれるから」


「当たり前じゃん。お父さん、変」


……そう、忘れがちだけど当たり前の話だった。



【Fin】


いや、ちょっと待った。


to be continued....

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