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召喚されました

気づいたら石造りの床の上に横たわっていた。


「ん……ここ、は……?」


さっきまでは確かに学校にいた。でも学校にこんな部屋はない。それに、なんだか頭が痛い。


「せ、成功したのか」

「本当か……!」

「おい、5人いるぞ」

「なんだあの格好は」

「これで我らは救われるんだ!」


周りがなんか騒々しい。頭を抑えながら少し上体を起こす。床から離れたことで床に何か描いてあるのが分かった。

円に囲まれるようにしてこれは、文字なのかな、が書かれている。なんだか魔法陣っぽいな。

円の中には私の他に4人いる。みんな同じ学校の制服を着ている。


「ここ、どこよ」

「さっきまで学校にいたはずじゃ……」

「ドッキリか何かか?」

「ま、まさか異世界……!?」

「は? 何言ってんだ」

「異世界召喚……チートでTUEEEEが約束の……!」

「コイツ、頭おかしーんじゃね?」


他の人達も目を覚めたみたいで次々と体を起こしていく。

私たちが目覚めてから周囲のざわめきが一層増した。


「静粛に!」


一際大きな声が響き、ビクッと体が跳ねた。その一声でざわめきは止み静まり返った。

声の方に目を向けると階段の上に豪華で大きな椅子に座っている人と傍らに佇んでいる人がいた。声を発したのは立っている方の人のようだ。


「うむ、お前らが異邦人か。わしはブリカーラ国国王ヘーゼンベル・ブリカーラである。訳あってお前らを召喚した」


異邦人に召喚って……もしかして。


「やっぱり異世界召喚だ!!」

「あ? なんだそれ」

「知らないんですか!? 異世界に召喚されるとかラノベでよくある設定ですよ」


私もラノベはいくつか読んだことがある。国の危機を救うために召喚されたり、神様からチートを授かったりするんだよね。

でもそれは物語の話であって自分の身に起こるなんて思ってもみなかった。


「異邦人の皆様、こちらにお越しください。この鑑定板に順にお触れください」


全身を覆うほどのローブに身を纏った人が階段の前に置いてある板を指しながら指示を出してきた。顔が見えないからとても怪しく見える。

立ち上がってお互い顔を見合わせる。異世界召喚に興奮を表している男の子がさらに目を輝かせている。


「失礼、そこの可愛い人。お手をどうぞ」


私の他にいたもう一人の女の子に声を金髪の人が手を差し出し声を掛けた。キラキラの金髪に蒼眼、整った顔立ちに高そうな服を着ている。なんだか王子様を体現した人だ。


「なに、あんた」

「私はアルフォウス・ブリカーラと申します。あちらの鑑定板までエスコートする名誉を私にいただけませんか?」

「ふーん、王子、ね。まあいいわ。アヤをエスコートさせてあげる」


王子様は本当の王子様だった。リアル王子様にエスコートされて女の子はまんざらでもない顔をしている。王子様の手に自分の手を重ねた女の子は鑑定板と呼ばれた板までエスコートされた。


「で、どうすればいいの?」

「この板に触れるだけで構いません」


ふーんと板を一瞥して触れた。その瞬間、ステータス画面のようなものが空中に表示された。


名前:アヤ・ヒメサキ(姫咲綾)

職業:聖女


えっ、それだけ? こういうのってもっとこう、HP、MPだとかスキルだとかが表示されるんじゃないの?


「なんと、聖女でしたか! お美しいあなたにぴったりの職業ですね」

「ふふん、当然よ」


王子様と姫咲さんが話している。って腰抱いて手を握っている。いきなり距離感近くなってない!?


「じゃあ次! 次は僕が!」


名前:アイト・ニワ(丹波歩斗)

職業:賢者


「賢者!! これは魔法で無双する輝かしい未来が……!」

「俺も行くか」


名前:リュウジ・タケトウ(武藤隆仁)

職業:戦士


「僕の番かな」


名前:ヒサメ・タカナシ(小鳥遊久明)

職業:勇者


「最後は私だね」


名前:リン・オウエ(近江鈴)

職業:聖女


……聖女。姫咲さんと同じ職業だ。


「国王、これなら」

「うむ」

「異邦人の皆様、あなた方をお呼びした理由はただ一つ、人類の敵である魔王を倒してもらいたい。そのためならどんな支援も致しましょう。もちろん、倒した時の報酬もご用意しております」


魔王か……。


「魔王討伐キター」

「魔王ねぇ、まっオレはいいぜ」

「僕もいいよ」

「アヤはどーでもいい」

「だ、大丈夫です」


「快諾していただきありがとうございます。では、早速明日から訓練を始めていただきます。各々客室をご用意しておりますので今日はごゆっくりとお休みください。案内しろ」


客室を用意しているなんて至れり尽くせりだな。いや、召喚するって決まっていたんだからそりゃ用意しているか。


「ご案内いたします。私の後に続いてください」


メイドの格好をした女性が目の前にやってきて頭を下げた。


「アヤの客室には私が案内します。……それとも、私の部屋に来ますか?」

「あら、アヤを誘っているの? えー、どうしよっかな~」


あれ、あの二人いつの間にかに凄く仲良くなっている。さっきも思ったけど距離感近すぎない!?

謁見室っぽいところから退出して客室まで案内してもらった。


「ありがとうございます」

「職務ですので」


案内してくれたメイドさんは一礼して下がった。


「なんか、いろいろあって疲れた。いきなり異世界だとか、未だに実感がわかないな……」


疲れが溜まっていたのかベッドに横になったらすぐに眠りに落ちた。

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