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閑話 〜最近…(フィンレー視点)〜


________***


僕の名前はフィンレー・オルティス。七さい。

オルティス侯爵家のあと取り息子でエキドナの弟、アンジェリアのお兄さまだ。


……とは言っても、最近になって実はお父さまとお母さまの本当の子どもではない事を知ったんだけどね。



その事を知った時は、頭が真っ白になって、何も考えられなくなった。

同時に足元がガラガラと崩れ去ってまっくらなやみの中を落っこちていくようなこわさを感じた。


ショックだった。

信じられなかった。

悪い夢を見ていると思った……そうであってほしいと神様にお願いした。


でも、次の日には両親…ぎりの両親から、僕の本当の父親はお母さまの弟だった事、本当の両親は僕が生まれてすぐに事こでしんでしまった事を聞かされた。



あの時は本当の話を聞けば聞くほど、ただこわくておそろしくて、知りたくなくて……でも同じくらいに、


『なんで今まで言わなかったんだ!』


『どうして、これからも言わないでくれなかったんだ!』


『僕はもういらないってことなのか!!』


って、ものすごくはらが立った。

思わず、いつもやさしくしてくれている姉や両親に当たってにげて、部屋にとじこもってしまった。


これ以上のことは…部屋にずっといた時のことはあまり思い出したくない。

家族や使用人のみんなにとてもしんぱいをかけてしまったし、たぶん特に姉さま…もし僕の本当の両親が生きててくれてたらいとこになるはずだったエキドナ姉さまを、悲しませちゃったから。

そして、いきおいで部屋にとじこもった僕は……今度は部屋から出られなくなっていた。



僕はお父さまとお母さんの子どもじゃない。

じゃあ、今までみたいにわがままを言ってこまらせたらもうゆるしてくれないの?

『いらない』って捨てられちゃうの?

僕にわらいかけてくれなくなるの?

…………きらわれちゃうの??


そんな事をぐるぐるぐるぐる考えてはこわくてないて……ごはんもあんまり食べられなくなった。


僕はずっとこのままなの?

もう元にはもどれないの?


こわくて…さびしくて、本当にもうダメだって思ったその時、





姉さまが部屋に入って来てくれた。

そんな僕を、姉さまは見捨てないで向き合ってくれた。


(フィン)との過ごした時間は宝物だ』


(フィン)が弟で幸せだ』


『これからもそんな時間を過ごしたい』


たくさんのやさしい言葉が、泣くのをがまんしようするその顔が、つないでくれた手の温かさが…『僕を必要だ』と教えてくれた。

姉さまがこんな僕を受け止めてくれて、だきしめてくれたから……一緒に部屋を出てくれたから、僕はゆう気を出してずっととじこもっていた部屋からぬけ出してお父さまとお母さまにあやまりに行けたんだ。

二人ともいつもの、前と変わらないやさしい両親のままで…だからなか直りができた。

僕だって本当は、お父さまもお母さまも…姉さまも、リアも、みんなみんな大好きな家族だと思っているから。




色々あったけど、今ではより家族としての思いというか…なんだろう、気持ちの強さが、より大きくなって良かったのかなって思ってる。

そりゃあ今でもなきそうになる時がある。

本当のお父さまとお母さまに会いたいと思う時だってある。

でも、今の僕には大好きな家族がいるから…きっともうだいじょうぶだ。

僕をいつもやさしく引っ張ってくれる姉さまには『いつもありがとう』って思ってる。

…はずかしいから、声に出したことはないけどね。


そういえば、最近の姉さまは少し前とだいぶ変わったと思う…もちろんいいいみで!

もともと姉さまはしずかであまり気持ちが顔に出ないんだけど、昔からすっごくやさしくて、まだ(リア)が生まれる前、僕がころんでないた時は『フィン!』ってすぐかけつけてくれた。

きれいなハンカチがよごれるのも気にしないで血が出てるところをおさえてくれたり、『フィンは強い子だね』と頭をなでてほめてくれたりしてくれた。

…たぶん、(リア)が生まれた今でもころんだら同じことをしてくれそうだけど。

うまく言葉にできないけど…前より明るくて元気になった気がする。

王子さまに自分から会いに行ったり、剣を習いたいってお父さまに言ったりするのは、今までの姉さまなら考えられなかったもん。

姉さまが、楽しそうなら僕もうれしいからそれでいいと思う。


ただ一つだけ心配なのは…姉さまとリアム王子とのこんやくだ。

姉さまは、リアム王子とけっこんしてお妃さまになりたくないんだって。

お妃さまはえらくてすごい人なのになりたくないなんて変だなー、もったいないなーと思う。


でも姉さまが『男の人がダメだからけっこんはできない』って聞いてあぁなるほどと思った。


だって姉さま、今はそこまでじゃないけど昔は…若くてお兄さんくらいの男の人達が声をかけて来ると、ものすごくこわがっていたから。

ひどい時はお父さまやお母さまの後ろにボロボロ泣きながらかくれてたっけ。

その時は『お兄さん達やさしいのに姉さまおかしいな』って少しからかったらお父さまにおこられたな〜。

そう思うとあの時姉さまにはひどいことしちゃったな…姉さまごめんなさい。


そんな男ぎらい? な姉さまなのに、なぜかリアム王子とのこんやくをつづけている。

『大人のじじょうでこんやくするフリをしてる』んだって。

大人になるまでは僕たちと一緒に同じお家でくらすけど、大人になったら『じりつ』して家を出て、一人で生きていくんだって。

僕より一つ年上なだけなのに、もう先のことまで考えてるなんてかっこいいなー。

剣が僕より強いのもすごいなっていつも思ってる。



でも、それならずっとここにいてくれたらいいのに…。

姉さまは僕のこと大好きだし、僕も姉さまのこと大好きだからずっとずっと一緒にいてくれたらいいのに。

だけど…さびしいけど、今は姉さまをおうえんしたいと思う。

姉さまがわらってくれると僕もうれしいから。


でもねっ もしも、もしもこんやくしゃのリアム王子が姉さまを泣かせたりしたらたとえ王子さまでも僕がゆるさないし姉さまを守るんだ。


今度は僕が姉さまをたすけるんだ!!



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