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猫二匹と始める異世界下水生活  作者: 友若宇兵
第三章
49/75

0話

見てる方がいらっしゃるかわかりませんが、ご無沙汰して申し訳ありません。

第三章の開幕でございます。

一応これで終わらせるつもりではありますのでよろしくお願いします。

短いので0話と1話の同時投降になります。

* ??? *


 

 私は今、朝方フォド・ニールを出発した駅馬車に揺られていた。明日にはニールに到着する。大陸でも東の方に来たのは久しぶりだと思う。長いこと馬車に乗っていたので腰もお尻も痛くてしょうがない。この歳での長旅は本当に堪える。しかし、話を聞いて居ても立っても居られなかった。


 あの子に最後にあったのは二年前だったか? 流石に新しい環境にも慣れてるだろうし、少しはまともになってると良いのだが。偶然とはいえ、とても面白そうな出会いをしたようだった。私も手紙に目を通した時は年甲斐もなくはしゃいでしまった。


 人語を解し、魔導を操り、盗賊の群れを瞬く間にひき肉に変える猫たちを引き連れた異世界からの旅人! 


 まるでおとぎ話から出てきたような人物じゃないか。最近気落ちするようなことが続いていたところにきた珍しい知らせで、今からワクワクしている。


 現状、自分の仕事を放りだして旅に出ることに問題が無かったわけじゃあない。あの街に関しては私にできることは限られているので、部下に任せてきた。まぁなんとかなるだろうし、なんとかならなくても仕方ないだろう。世の中なるようにしかならないものだ。


 とはいえ、観光だけして気楽に過ごしたいところだがそうもいかないだろう。皆年寄りをこき使いすぎだ。実際年齢を考えると働きすぎなのだが、今はどこも人手が足りていない。きちんと下を育てて来なかった自分の責任という気がしないでもない。せめてあの子が残ってくれてたらとは最近よく思う。


「この先によく使われていた野営地があったんですが、先日の騒動で酷いことになって使えなくなりまして」


 前で手綱を握る御者が乗客に声を掛けてきた。丁寧な話しぶりは一応こちらの地位に気を使っているのだろう。先日の騒動というのは、手紙に書いてあった内容か。そこで二十人以上の盗賊が細切れにされたらしい。さながら戦場跡のような惨憺たる有様だったそうな。


 続く御者の話では、もう匂いは残ってないし獣がうろついているようなことはないが、あちらこちらに骨が転がっているとのこと。誰もそんなところで泊まりたがる訳もないか。町から離れたところで、犯罪者が相手では月光神殿も動きたがらないだろうし仕方あるまいて。文字通り細切れにされたものが多いらしくて、不浄なるものどもに転化することも無いだろうから、放置しているようだ。


 神に仕える身としては思うところが無いわけではないが、他所様の領分だ。あとは流石に盗賊の中にうちの信徒が居たとは考えにくい。


 さて、ニールについたらまずはうちの神殿に顔見せをするんだが、面倒事を押し付けられる可能性がある。旅先でも出来ることはあるだろうし、今のニールの状況だからこそ私にしか出来ないこともあるだろう。陥落した都市のものとはいえ司教なんてのをやってると俗事が放って置いてくれない。伯爵家にも挨拶せにゃあならんだろう。ロク・サイネデンの現況について知りたがる人間も多かろうし、私の来訪を聞けば面会申込みが引きも切らないなんてことになりそうだ。


 噂の猫使いに話を聞いて見極めるのは随分あとになりそうだ、とは思うものの……。ダメだ、我慢できない。逆に神殿に寄る前、私の到着を皆が知らないうちなら逆に自由に動けるというものか。


 よし、すぐ太陽神殿のジャイオを訪ねて猫使いのところへ案内してもらおう!

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