四畳半宇宙創世記
思いつくまま衝動的に書き殴った代物です。
「美しくない」
その四畳半一間に足を踏み入れた瞬間、思わず漏らした一言である。
四畳半を四畳半たらしめているのは、言わずもがな綺麗な正方形の形をした半畳にこそある。
あろうことかその四畳半においては、四畳半の核たる半畳が四畳半の隅に追い遣られていたのだ。
自分でもなんだかよくわからないむにゃむにゃとした衝動に駆られた私は畳を引っぺがし、全て敷き詰め直した。
「美しい」
私は自らの仕事の出来映えを褒め称えた。
見よ。この美しい四畳半を。核たる半畳をその中心に据え、それを四枚の畳でぐるりと囲う。四枚の畳が互いに絡み合う様はあたかも太極図かウロボロスの如き様相を呈す。真の四畳半とは一つの宇宙的空間を生み出すのである。
一つの宇宙を創り出した私は満足し、身体を休めるため半畳に腰を下ろす。
かくして私は四畳半宇宙を統べる神となるのだ。
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不動産情報を見ていたらむしゃくしゃしてきたので書いた。後悔はしていない。
昔から森見登美彦さんの作品のファンなのです。