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罵り

それにしても梅の木って…と思い、紅梅の方を見ると紅梅は居らず、一本の淋しい梅の木が植わっているだけだった。だが、今まで此処には梅の木など植わって無かったから、突如姿を消した紅梅と何か関係があるンだろう、と考え、一先ず梅の木のことは忘れることにした。

「それで、本日はどうなされたの?…紅梅はもういらっしゃりませんけれど…はぁ…あぁ!!私の可愛い紅梅!!何故自死なぞ…愚かな決断だと気付かなかったのですね!?あぁ、私が相談にのってあげられたなら…。」

「あァ?…本当に手前達は芝居が好きだなァ?俺相手にンな芝居したって騙される訳ねェだろ。」

それを聞いた桜女が目を細め、俺を蔑むような目で見た。

「あら…そうですわね、貴方様のような人間のクズに、高度な芝居をうつ必要なぞ…皆無ですわね。」

「ふん、言いたきゃ言っとけ、手前達みたいな糞みてェな人間に何言われたッて俺は鼻で笑ってやるさ。」

「ぐ…。貴様、此の私をく、く、糞みたいな人間なぞと!思い上がるでないぞ、今此方は大勢、そちらは一人。勝ち目がないのは一目瞭然でしょう?さっさと諦めなさいな。」

「残念。俺は一人じゃない。紅梅がいるからな…!」

先程紅梅から、本人の前で見える奴がその幽霊の名を口にすると、相手にも見えるようになると教わったのだ。幸い、桜女にも効果はあったようだ。

「あっ、あっ、あっ…。なぜ?何故?なにゆえ!?は、え、ちょ、紅梅!?」

「よっほー、元気してる?私をいじめぬいたお姉ちゃん♪…天照桜女!」

「ひいぃぃああああああ!!何で居るのよ!!死んだんでしょ!?あっち行ってよ!!気持ち悪い!此方へ来ないで!!馬鹿!!」

紅梅はひきつる口元を扇子で隠してなんとか余裕のある顔に見せている。

「というか今日は罵り合いに来た訳じゃねェンだよ!!ほら、これ紅梅の…」

「もう紅梅の話はしないで!!」

「…へーい。」

桜女は紅梅という単語に過剰反応をし始めた。相当ショックだったのだろう。

「じゃあ俺が借りてた本返す、ならいいか?」

「本…?誰も貴方なんかに貸してないわよ!?」

「だァから手前の言ってほしくねェ誰かに借りたんだよ!!」

「!?…わかりました、承ります。…だからはやく帰って下さい!!」

「はいはい…」


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