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再会

「おらァッ!」

ガスッ

「うりゃァッ!」

グシャッ

「この野郎ッ!」

ゴシャァッ

…こんな奴らを傷付けたところで、彼奴は還って来ねェ。それくれェわかッてる。けど…





一年前のあの日、彼奴―天照紅梅は自殺した。ヤンキーで手のつけようの無かった俺に、自分への恋心を植え付けた後に。理由はクラスメイトからのいじめと、家族からのいじめだった。そのいじめにより、厭世した彼奴は死を選ンだ。一人取り残された俺は、始めの内こそ後悔の念ばかり浮かんできたが、半年もすれば元ヤンの俺は、簡単にぐれた。折角紅梅が更正した俺は、すぐに元のヤンキーに戻っていった。




足りねェ、全然足りねェ。彼奴を傷付けた此奴達を、幾ら蹴っても殴っても、ぽっかりと空いた穴はふさがってくれねェ。彼奴の家族は泣いていたなァ。手前達もいじめてただろ、そう叫びたかった。世間体ばかり気にして、紅梅のことなど微塵も想ってない、此奴達…。


「なァ、紅梅。手前、死ンじまッて良いことあッたか?俺には世界が一瞬にして色を失ッちまッたようにしか感じられねェンだがよ?彼奴達は全く反省してねェし、手前が楽しんで無きゃ、利点も糞もねェ自殺になッちまうぜ?」

「うーん、やっぱり、あんまり無かったかも☆」

「そうかよ、だったら……はァ!?」


…紅梅の死から一年、初めて此の神社で梅が咲いた日、俺は生まれて初めて幽霊と話しました。

ッて行ってる場合じゃねェ!!幽霊なんて居るわけねェ、幻覚だ、幻覚!!

「ところが幻覚じゃ無いんですよぉ、憇進さん?実はぁ、向こうで滅茶苦茶ゆったりと君の動向を見ていましたらですねぇ、どうやら期限があったようでして、幽霊になるしか君を見守る方法が無かったのですよぉ!」

「はぁ!?なんだそりゃァ?…見守って欲しいなんて頼んでねェぞ!?はぁ…やっぱ手前と居ると調子狂うわ…。」

「いやいや、見守って欲しいなんて頼んでねェ…って言ってますけど滅茶苦茶ぐれてたじゃないですか!?私と約束しましたよね!?もう暴力は封じると!!」

「…手前が死んだんだから無効だ、あんなもん!そもそもあの約束だって脅して結ばせたじゃねェか!!」

「あーはーん?今更そんな細かいこと言い出すのですか?ちっちゃいですねー器糞ですねー蟻んこですねー失望しましたですよー。」

「うぜェな手前、糞うぜェな!!わかッたよ、居ても良い。けど、あんまり俺を煽ると追い出すぞ?わかッたか、紅梅?」

「ういーす…流石は草薙様!!お優しい!!」

「なンだよその変わり身の速さ…呆れを通り越して尊敬するわ。」

「ありがとー☆」


…こうして、紅梅(幽霊)との生活が始まった。


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