表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

自己破産

作者: 洒落
掲載日:2017/12/11

なやみごと

穴が空いていた。

経験が積もり、感情を産み落とし、個性を作り出すその場所に、覗けば底の見えない、大穴が空いているのだ。

今までの数々を振り返ると、理性は仕方ないと言って前を向き、意志と感情は泣き喚きながら過ちの謝罪と後悔を繰り返していた。

後悔は先に立たずに後を追い続け、謝罪はそれを振り切ろうと身勝手に走り続けている。

そうして全くの無関係のような顔をして、役目を忘れた理性は並走している。

大穴から一つ、また一つと後悔の感情が湧き上がって、間違いや、最善の選択を後になって考え始めていた。

悩み続ける事で進歩出来ると思い込んでいる自我を、理性は真っ向から否定した。

思考は熟成され、人間性は衰えていく。

既に諦めたはずの環境に、心はより所を求めて迷走する。断片的な思考は集団になって自我に問いかけた。

問の内容は必要性で、自我はその返答に詰まっている。理性がすまし顔を辞め、苦悩と虚栄を存在しない怒りに乗せて否定する。

理性は自分の役目を履き違え、忘れていた役目を思い出したつもりになりながら、否定のみを担う。

心が理性に否定され、理性は思考との縁を切り、理性は感情へと変化していった。

残された理性の欠片が、間違いだと訴え続ける。

欲望は訴えが聞こえないようにと叫び続けている。

自身の正しさを証明するために欲望が大穴を埋めようとすると、自我がそれを必死に食い止め、熱情がその最中大穴から湧き出ようと苦心し、汚された心は涙を流しながら諦め、後悔と謝罪は自分の出番を伺っていた。

大穴が地獄に変わると、それを理性の欠片が何事も無いかのように平然を装おうとする。

思考は欲望を自我だと思い込み、熱情と欲望とを履き違え、必要性を作り出せるという虚栄を張る。

そうして尊厳はいつしか崩れさり、尊厳の居た席に自尊心が座り込んでいる。

こうして理性の欠片は自分を取り繕う事を覚え、思考は正当性の証明を諦め、熱情は欲望と共に土に埋められ、自我は自分が正しいと思い込み、感情は思考との話し合いを辞め、自尊心は影でそれを笑い飛ばしながら、心はその事に目を瞑り、憩いの場であったそこには、諦念が寝そべり、怠惰が正当性を語り、相手の居ない怒りが獲物を探し、自分自身への失望と、定まらない虚ろな嫉妬が、それをまとめていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ