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その5話 または、如何にして新任の小隊長は鬼軍曹になったのか?

おかしな国の、おかしな騎士団の物語です。

今回は、鬼と呼ばれた小隊長の、内面の話。


俺、騎士団小隊長。

新人から卒業して間もないけれど、後輩の教え方が上手いと上司に評価され、この度、新任の小隊長になった。


俺なんかが小隊長で大丈夫か?

と思ったりもするけれど、それが許される、宮廷騎士団の訓練量ではない。


毎日毎日、死ぬ一歩寸前の訓練、あるいは高レベル魔王、あるいは高レベル魔物への討伐参加が義務付けられたのは、一昨年のこと。

そこから、生き残るという基本的なサバイバルになる戦いの日々が始まった……


信じられないかも知れないが、この3つの過酷な選択肢の中では、魔王または魔物討伐のほうが安全である。


訓練では、まかり間違うと死亡する危険性があるが、魔王や魔物討伐では、なぜか倒れたものには、それ以上の攻撃はないという基本原則が魔王や魔物には存在する。

人間相手のほうが過酷な騎士団なのだ。


私は、宮廷騎士団に入団して、まだ丸2年経つかどうかという新人騎士であるが、ここには丸3年以上という古参騎士もいる。


ん?

古参騎士で丸3年以上とは、おかしくないか?だと?


確かに、この宮廷騎士団が創設されたのは、先々代の王の時期であり、そこから長い年月が経って、今の騎士団がある。

そこでの3年、確かに短い。


しかし、これには訳がある。

この国では、一年経つと、今までのレベルから一気にレベル1に戻ってしまうのだ。


他の国では、そうではなく、ちゃんと経験値もレベルも一年経ってもそのまま上がっていくらしいのだが、この国は、おかしい。


だから、丸3年以上も宮廷騎士団にいるのは、レベル1戻りを2回以上繰り返している、よほどの気丈夫という事になる。


通常、レベルが戻ってしまうと、やる気が無くなり、モチベーションも下がってしまい、宮廷騎士団を辞して、この国からも去る者が多いのは確か。

まあ、去るものよりも、新入りが多いので、宮廷騎士団が無くなることはないのだが……


この国、おかしいのは、それだけではない。


洞窟の魔王という、戦うレベルを選べる魔王という変なシステムが存在するのだが、この魔王、日替わり当番制なのだ。

今日の魔王と、明日の魔王は違う。

日付が変わる頃に戦っていると、ようやく討伐完了して、次!というタイミングで属性の変わった魔王が出てくることになる。


新人が、これで何回も倒されて洞窟から運びだされている。

初心者殺しというやつだろうが、なかなか変なシステムだ。


今日も今日とて、初心者殺しに引っかかった新入りが、洞窟から運びだされていく。

人手が足りない時には、なぜか魔物や魔王が倒れた新人を洞窟から運び出してくる時もある。


まあ、変わった国だわ、ここ。


季節の変わり目には、なぜか小規模なんだが美味しい、兎狩りとかハチ退治、ミニ死神退治とか、はたまた雪だるま退治なんてのもあったりする。

報酬と経験値が大きめなので、初心者とか、ある程度の攻撃力はあるが安全一番だとか考える者達が依頼を受けて、あっちこっちで小規模な戦いが始まるのだ。


俺は、たまに参加するときもあるが、やはり大物狙いが多い。

たまに反撃で倒れることもあるが、ここまで鍛えに鍛えた、我が相棒の旗にかけて!

あ?旗で攻撃するのかって?

失礼な!

旗はメイン武器なんだぞ。

この一振りで、低レベル魔王なんぞ瞬殺だ。


あまりの威力のため、この前のレベル1戻りの時のアンバランスさは酷かった。

体力も魔力もレベル1で極小なのに、武器の威力は最大!

ひと振りでレベル30クラスの魔王も瞬殺!


先手を取れる場合のみ、高レベル魔王の相手が出来た。

先制攻撃を食らうと、その一撃で倒れたけどね。


さて!

今日も新人たちをシゴクことにしよう!

早く一人前になってもらわないと、レベル1戻りは正直、キツイからな。


「よーし、整列!今から、俺が直々に戦闘訓練を行う。死ぬなよ?」


ニヤリと笑ってやると、新人たちの顔が引きつる……

わかっちゃいるけど、こいつらのため!


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