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その1話 または、如何にして騎士団は日用品で魔王を倒すようになったのか?

2話目ですが、ストーリーとしては最初回。


連載にして、本当に良かったのだろうか?

不安な作者です。


今夜は、宮廷騎士たちの宴会の日である……

違った。

年に一度の慰労会、パーティの日である。


ハチやハチの巣退治やったり、小さな死神退治やったり、畑を荒らす兎狩りやったりと、


「俺達は、栄光ある騎士団なのか?」


とか言う疑問の声も上がるが、それもこれも、このパーティで憂さ晴らし!

もう、酒の勢いに任せて何を言っても無礼講なのが、王主催の、このパーティの日なので、あちこちから不満と不平の声が上がっている。


「俺は、俺はなぁ!ハチの巣退治を、民衆と王のためだということで一生懸命やってたんだぜー!それが何だ?!40個以上のハチの巣は買い上げないと来たもんだ!何のためにハチ退治に回らなかったと思ってるんだよ―!これじゃ、ハチ退治のほうが良かったんじゃねーか」


「お前なんか、お前なんか、まだ良い方だ。俺なんぞ、小さいけれど死神退治だぞ!よりにもよって死神だよ!命がけだぜ……ああ、それなのに、報酬は相手が小さいってだけで功労勲章のみ…命がけで、こんな勲章目当てに死神退治なんか、やってれるかーい!」


「お前らなんか、お前らなんか、まだいい。俺は国境付近の森で魔物退治やってたんだが、その時に、おかしな呪いを受けてな……魔物倒しても倒しても、魔物に盗まれた物資ばっかり落とす呪いに掛かっちまったんだよ!信じられるか?圧倒的に強い魔王を、ようやく退治したと思ったら、他の奴らにゃアイテムや資源が出てるのに俺だけ物資だぞ。おかげで、物資運最高!とか言って運送屋ばかりが俺の後ろに着きやがる。落とした傍から付近の村や都市に配るんんだとさ。俺は、俺はな―、こんな物資専門の供給屋になるために騎士団に入ったんじゃねーよ!」


まあ、このくらいは穏やかな方だろう……

あっちでは、更に物騒なことも言ってるようだ。


「王は良いのだ、回りがバカとアホウで固められているだけでな。大体、戦闘中に強制休憩とは何事?!めんてなんす、とかいうものの為らしいが、こんなバカな話があるか?!我々は、命をかけているのだ!バカアホウのお間抜け官僚のためじゃない、王と民衆のために命をかけているのだぞ!」


とか、


「功労を積んで、王からいただく特別の戦闘服や鎧なんだがなぁ……あ、性能が良いことは使えば分かる。しかしなぁ……なんとかならんのか、あのデザインは。儂の知人の女性騎士なんぞ、王からの賜りものだと喜んで開けてみたら、黒い網タイツだったんだと。それも、上着がドレスだったからタチが悪い。性能は良いのだが何とも言えぬ格好になってな。今では無表情で魔王を狩っておるようだ……怒りを通り越して、感情が無くなったのだろうな、あれは」


などと、危ない話をしていると……

生暖かい風が巻きおこり、ロウソクが全て消え、光源はマジックライトのみの薄暗い世界となる。


「かーっかっかっか!まともに仕事もしてない、のろま騎士団の連中が集まっているかと思ったら、こんなところで愚痴のたれあいか。王がアホウなら、官僚も騎士団もバカ揃いだな!」


あれは!

獣魔王じゃないか!

それも、めったに人里には出てこない高レベルの魔王!


「何を言っておる?頭の足りぬ魔王よ。少々の酒くらい、この者らにとっては、肩慣らしの油に過ぎぬ。ものども!迎え撃つのじゃ!」


王の一喝により、騎士団が目を覚ました。

しかし、パーティということで、城内に入る時に武器は全て預けている。

丸腰で、どうやって魔王と戦うというのだ?!


「皆の者、今こそ平時の戦闘を思い出すのだ!そなた達、通常の武器など極小数しか使わんだろう?」


そうか!

王は、この時のために!


「うぉーっ!」


「魔王を倒せ―ッ!」


絵筆で戦うもの、網タイツで戦うもの、ゴスロリコスチュームで戦うもの……

果ては、額縁を手にして、絵で戦うもの。

強いのだ、強いのだが……

これは本当に戦闘場面なんだろうか?


帽子(遊戯帽やら紅白帽、ベレー帽に麦わら帽子)で戦うって、信じられるか?

ハイヒールで戦うって、自分が倒れないのか?

まあともかく、武器・武装以外で戦う騎士団。

あっちじゃ、猫や犬を振り回して、当たるを幸い、敵をなぎ倒している……動物虐待にならんのか?あれは。

こっちじゃ、だぶだぶの着ぐるみで格闘戦やってる奴もいる……ほっこりした絵と戦闘場面がイコールにならん。

信じられないのは、グラスで敵の剣を受け止めている奴。

あ、グラスで殴った……

相手は吹っ飛ばされているが、グラスにはヒビも入っていない……


数時間後、魔王の軍は撃退され、あっちこっちでドロップ品の山ができている。

素材の山、物資の山、エネルギーや強化用石の山ができているところもある。


某国の某騎士団では、それからというもの、武器に頼らない、日常品で相手を倒す訓練が日常的に行われるようになったのだそうな……


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