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2015年 2月11日 あらまし
徹郎は、随分と、遅れてやってきた。
半日以上も、待たせたのだ。
誰も、いるわけがなかった。駅舎の中は、空っぽ。待ってるはずも、なかった。
自分が、そう仕向けたのだから。
別れとは、こんなものか。
出会ったことに、意味はなかったように、零に戻る。
一生守り抜くから。ドラマでもなく、漫画でもなく、小説でもない。心から思った言葉は、自分で打ち砕いた。
砕かれた思いは、自分を、殺した。誰かを愛するなんて、一回きりでよかった。
ただ、初めて繋がった相手が、沢子じゃなかった。それが、許せなかった。心と体が繋がって、肌がくっついて、いっぱいキスをして……。
愛は、自分が思っていたほど簡単じゃない。
深くて、愛しくて、苦しくて。
沢子に、自分を知ってほしくなかった。
薄汚い自分を。愛してるも、好きも、軽い。零に戻ったのだから、全てに重さはない。
楽しかった、幾つもの思い出は、霞む。喧嘩も、ろくにしなかった。
大切なものだから、壊したくなかったから、全部壊れた。愛は思っていたより、綺麗じゃない。
交わす粘液のごとく、べったりとしていた。