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プロローグ
この学校の屋上は、今は立ち入り禁止になっている。もともと屋上に出入りするのは、僕と、彼女くらいだったが。まあ、無理もない。
半年前。この学校の生徒が死んだ。
屋上から飛び降りて。自殺した彼は、左門幸人は、同じクラスだったが話したことはなかったし、自分とは正反対の人間だと思っていた。悩んでるようには見えなかったし、いじめられていた訳でもない。
むしろ、明るいタイプだったように思う。僕は行かなかったが、彼女が言うには彼の葬式にはたくさんの参列者が訪れていて、この学校の制服で溢れかえっていたという。
彼女、惣田優歌と、自殺した左門幸人は異母兄弟だったらしい。それを聞いたのは左門幸人が死んでからだったが、彼女は彼が死んでも泣くことはなかったし、自分と彼の関係は僕以外のクラスメイトは知らなかったようだ。
そのことについて、特にこれといった疑問は抱いていなかった。今、この瞬間までは。