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2青い髪の少年

少しシリアスな回になります


俺の家はあまり裕福ではなかった


それでも

いつも笑顔を絶やさない父や、厳しいけど優しい母。

そして2歳下の可愛い妹がいて幸せだった


戦争が始まるまでは



俺たちの国、ここリーア王国は何百年と大きな争いはなく平和そのものだった


しかし、その平和は長くは続かず、3年前……俺がまだ12歳の時、いきなり戦争が始まったのだ


男は戦争へ兵として行かなければならなくなり、村の男は俺みたいな子供と年寄り意外全員都へと向かった


それからちょうど1年後、帰ってきたのだ


父の死を告げる者が



悲しかった

父と行った他の人は何人か帰ってきているのに


何故、何故……何故父なんだ?


俺は恨んだ

村の父と一緒に行った人達を、国を、そして一緒に戦場へ行くことの出来なかった幼い自分を


けれども生きるためにはその感情など捨てなければならなかった


母が倒れたのだ


父が死んだと告げられた時、1番悲しんだであろう母は俺なんかよりもすぐ、動いた


少しでも父の代わりになるように今まで以上に働き始めたのだ


一方、俺はずっと父の死を悔やんで下を向いて生活してきた


今思うと母にはどれほど見苦しく見えていただろう


そんな生活が半年ほど続いたある日、働き詰めだった母は疲労で倒れたのだ


俺は母が倒れるまで何故気づかなかったんだろう


「母さん、ごめんなさい…俺がっ…もっと、しっかりしていれば…っごめんなさい」


母の傍で母の手を握り、父の時と同じようにひたすら悔いた


「ウェル…悲しいと、悔しいと思うならば止まるんじゃなくて進みなさい。前を見て、歯を食いしばって、しっかり歩くんだよ」



俺はそれから必死で働いた


疲労で倒れた母や、まだ幼い妹を働かせるわけにはいかない


自分が頑張らないと、だめなんだ。そう自分に言い聞かせて働いた


けれども、まだ本当は学校に通わないとだめなくらいの幼い俺にはできることが限られていて、収入を多く得られなかった



そんな時だ、異世界人が村を訪れたのは


この国では異世界人はとても珍しいという訳ではない


1年に2、3人は訪れる


異世界人の見分け方は簡単。

黒髪黒目で全員同じ服を着ているからだ


そして、そいつらの服や持ち物は質がいい


高く売れるんだよ


どうせ、異世界人は都で保護されて何不自由なく暮らせる決まりになっている


ならば少し何かを盗るくらい、いいだろ?


俺は異世界人にわざとぶつかりにいった


男2人に女1人…なら女へと狙いを定める


盗れるものならなんでもいい


「わっ!?」


ぶつかった時に素早く何かを掴み、懐へと隠した


どさりと尻餅をつく…フリをする


「ごめんなさい。大丈夫か?」


あくまでも自然に振舞わなければ


「いや、こっちこそごめんね。怪我してない?大丈夫?」


本当に心配そうに尋ねてくる女に良心が痛んだ


「大丈夫」


「よかったー!!」


ズキリと女の笑顔が心に突き刺さる


その笑顔のまま数秒見つめられたかと思うと、女の手が俺の髪に触れ、わしゃわしゃと撫でられる


「わー、ふわふわっ!!この髪の色はもとから?」


やめろ

俺はお前から盗んだんだぞ

もう少し警戒しろよ


そう、言う事もできず


ただただ困惑してされるがままだった


……いや。本当は女の撫で方が父と似ていて、少し嬉しかった


だからだろうか、ついこの世界のことを教えてしまったのは





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